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科学的な奇跡
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染夢子の体からスっと抜けていくものがあった。それは形を成し蛟龍の前にヌッとそそり立つ。
『私の邪魔をするのはお前か』
鬼。
蛟龍の倍はある体格であった。蛟龍は鬼を見上げる。
『邪魔などはしておらん、我の光で勝手に苦しんでおるのはお前であろう。お主はなにゆえこの者に憑く』
『この者の不幸が美味なのだ。たまらなくな。怨み、辛み、絶望、全てが心地よい』
蛟龍はチラッと染夢子を見る。
『見た所この者。元々霊力を宿しておる。その霊力が目当てであったのだろ』
『ふん、分かるか。その霊力を糧にこの者が60になった時。わしは食い破り更なる力を得るのだ。だから邪魔をするなあぁぁぁぁ!』
鬼が蛟龍に襲いかかった時だった。チリンと鈴の音と同時に飛び蹴りが鬼を襲った。
『ホゲッッッ』
あかずは倒れた鬼の上に片足を乗せた。
『みずっち、こいつ殺っちゃっていい?私こういう寄生虫見ると虫唾が走るの』
『これこれ、お転婆はよくないぞ。それにもう…』
『私が一から叩き直してやるんだから!』
『まあまあ、ここは一つ浄化という事にしては』
あかずは少し考え『みずっちがそう言うなら』と足を渋々退けた。
『それでは。鬼よ、お前も生まれ変わり真っ当に生きよ。あかずに消されるよりはいいと思うぞ』
鬼は光に包まれ消えていく。その目には涙の様なものが見えた。
『みずっち意外と優しいとこあるじゃん』
『我も鬼の気持は分かるからな。捕食者のように見えるが、あれはあれで苦しいのだ』
『ふーん、昔やんちゃしてたんだ』
『やんちゃ…ふふ』
蛟龍といなりが鬼を消したのと同時に染夢子の息が落ち着き、死んだように動かなくなった。
「染夢子!染夢子!」と氷室は体を揺すり起こそうとするが目を覚まさなかった。
「許さんぞ!幽霊だか神だか知らんが染夢子をよくも!よくも!」
氷室は泣きじゃくりながら何も無い空間に物を投げ付ける。やがて疲れ染夢子に覆い被さった。
「よくも…やっと忘れることができたのに…染夢子は口は悪いが周りによく気がつく人じゃった…よくもわしの…」
無論、蛟龍に当たるはずもなかった。
『人間とは愚かな。神と知って向かってくるとは。バチでも与えてやろうか』
いなりは先程の蛟龍の真似をする。
『これこれ、お転婆は良くないぞ』
『ほんとにあなたという人は…』と、ふと笑う
『このお爺さんにも正義があるのよ。行きましょ』
蛟龍といなりは闇夜に消えた。
「わしの何だね?」
染夢子はよろよろと起き上がった。
「ば…婆さん!生きとったのか!」
「なんだよ子供みたいにピーピー泣いてさ、恥ずかしいったらありゃしない。それにあたしをやっと名前で呼んでくれたね」
「そんなことはありゃせん!名前など呼んではおらん!」
「まーた負け惜しみを。ほんと頑固ジジイなんだからさ」
「よくもこの!!……」
二人は笑った。
ひとしきり笑った後。氷室は染夢子を見つめる。
「わしはどうやら超常現象を信じざる得なくなったようじゃ。あんたに恋をするという超常現象を目の当たりにしておる」
「あたしも科学を信じるよ。科学を信じていれば、あたしらが畏怖するものでも立ち向かっていく勇敢な…あんたがいた」
「染夢子………」
「恭志郎さん……」
二人の影が重なった。
轟は何が起こったのか分からないままカメラに向かってマイクを取った。
「えー、私達の身に一体何が起こったのでしょう。そして我々は一体何を見せられているのでしょう。これぞまさしく怪奇現象と言えるのではないでしょうか。龍神ダムの怪奇。これにて終わらせていただきます。また来週!」
END
『私の邪魔をするのはお前か』
鬼。
蛟龍の倍はある体格であった。蛟龍は鬼を見上げる。
『邪魔などはしておらん、我の光で勝手に苦しんでおるのはお前であろう。お主はなにゆえこの者に憑く』
『この者の不幸が美味なのだ。たまらなくな。怨み、辛み、絶望、全てが心地よい』
蛟龍はチラッと染夢子を見る。
『見た所この者。元々霊力を宿しておる。その霊力が目当てであったのだろ』
『ふん、分かるか。その霊力を糧にこの者が60になった時。わしは食い破り更なる力を得るのだ。だから邪魔をするなあぁぁぁぁ!』
鬼が蛟龍に襲いかかった時だった。チリンと鈴の音と同時に飛び蹴りが鬼を襲った。
『ホゲッッッ』
あかずは倒れた鬼の上に片足を乗せた。
『みずっち、こいつ殺っちゃっていい?私こういう寄生虫見ると虫唾が走るの』
『これこれ、お転婆はよくないぞ。それにもう…』
『私が一から叩き直してやるんだから!』
『まあまあ、ここは一つ浄化という事にしては』
あかずは少し考え『みずっちがそう言うなら』と足を渋々退けた。
『それでは。鬼よ、お前も生まれ変わり真っ当に生きよ。あかずに消されるよりはいいと思うぞ』
鬼は光に包まれ消えていく。その目には涙の様なものが見えた。
『みずっち意外と優しいとこあるじゃん』
『我も鬼の気持は分かるからな。捕食者のように見えるが、あれはあれで苦しいのだ』
『ふーん、昔やんちゃしてたんだ』
『やんちゃ…ふふ』
蛟龍といなりが鬼を消したのと同時に染夢子の息が落ち着き、死んだように動かなくなった。
「染夢子!染夢子!」と氷室は体を揺すり起こそうとするが目を覚まさなかった。
「許さんぞ!幽霊だか神だか知らんが染夢子をよくも!よくも!」
氷室は泣きじゃくりながら何も無い空間に物を投げ付ける。やがて疲れ染夢子に覆い被さった。
「よくも…やっと忘れることができたのに…染夢子は口は悪いが周りによく気がつく人じゃった…よくもわしの…」
無論、蛟龍に当たるはずもなかった。
『人間とは愚かな。神と知って向かってくるとは。バチでも与えてやろうか』
いなりは先程の蛟龍の真似をする。
『これこれ、お転婆は良くないぞ』
『ほんとにあなたという人は…』と、ふと笑う
『このお爺さんにも正義があるのよ。行きましょ』
蛟龍といなりは闇夜に消えた。
「わしの何だね?」
染夢子はよろよろと起き上がった。
「ば…婆さん!生きとったのか!」
「なんだよ子供みたいにピーピー泣いてさ、恥ずかしいったらありゃしない。それにあたしをやっと名前で呼んでくれたね」
「そんなことはありゃせん!名前など呼んではおらん!」
「まーた負け惜しみを。ほんと頑固ジジイなんだからさ」
「よくもこの!!……」
二人は笑った。
ひとしきり笑った後。氷室は染夢子を見つめる。
「わしはどうやら超常現象を信じざる得なくなったようじゃ。あんたに恋をするという超常現象を目の当たりにしておる」
「あたしも科学を信じるよ。科学を信じていれば、あたしらが畏怖するものでも立ち向かっていく勇敢な…あんたがいた」
「染夢子………」
「恭志郎さん……」
二人の影が重なった。
轟は何が起こったのか分からないままカメラに向かってマイクを取った。
「えー、私達の身に一体何が起こったのでしょう。そして我々は一体何を見せられているのでしょう。これぞまさしく怪奇現象と言えるのではないでしょうか。龍神ダムの怪奇。これにて終わらせていただきます。また来週!」
END
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