11 / 13
恋バナ ( °ω°):∵グハッ!!
ヴァンパイアの騎士と眠り姫の日常
しおりを挟むある夜……
いや、この場合はいつもの夜と表現した方が正しいのかもしれない。
俺はーー……再び、彼女の部屋に来ていた。
いつものように、窓から部屋に入る。
何度も開けた鍵は見た目は立派で頑丈そうなのに呆気なくも小さな音をたてて外れた。
それが……どれほど俺が……彼女に会いに来ているのかーーその年月を際立たせる。
彼女について考えていた所為か……これから彼女に会うという事実の所為か……早鐘がなり始める。
その警鐘とは少し異なり、甘ったるい音を俺は……再度……胸の奥底に沈めた。
その……警告に従ってしまえばーー……どうなってしまうのか……想像に難くないからだ。
胸の高鳴りを鎮めたあと……ゆっくりと音をたてず、気配を感じさせずに……俺はーー……彼女の部屋へと足を踏み入れた。
「……んーー……………?」
半分、覚醒しているようなーー……焦点のあわない眼で俺の方を向く彼女。
まだ、意識が戻っていない彼女にーー……
……ランの頬に俺の利き手を添えた。
普通の人よりも低い体温である、俺の手を気持ち良さそうに触れる……
……その彼女の反応に、忘れていた熱が再び灯る。
「おい、ラン!!!!」
「んにょー?……すやすや」
二度寝をし始めそうな……
騎士が来ても起きないアホな眠り姫に呆れつつも
今度は、両手で彼女の頬に触れた。
「……むーん?」
舌足らずな声で俺の名をランが呼ぶ。
それがどれほど、俺を煽っているのか……彼女への愛しさを溢れさせるのか……
鈍感な眠り姫はーー……
自覚せずに少しうるんだ眼で俺を見る。
君への気持ちがグラスから零れ落ちそうになる瞬間
……俺は両腕に力を込めた。
「起きろって言ってんだろーが……
じゃねーと、あの机の上にある小説を読みあげr 「うわぁぁぁ!!!!起きます!!!!」……」
俺の長年鍛錬された身体から出される声の大きさか、それとも俺の言葉が意味することに気がついたのか……かなり慌てながら彼女が起きた。
「もう!!ムーンてば、毎回私を起こすためとはいえ……冗談にならないことを平気で言わないでよ!?」
僅かな光が灯る部屋で彼女は少しだけ怒気を含んだ声色で俺に告げる。彼女はーー……というと……
「うるせぇな……元を辿れば、お前が起こしてくれって頼んだんだろーが…」
「仕方ないじゃん!創作活動を親に反対されてて昼間じゃできないんだから……ムーンだって本当は、画家になりたいんでしょ?画材は私が提供してるんだからね」
「はいはい……従いますよーー……ラン姫様」
そう……彼女は、この国のお姫様……
そしてーー……
作家志望のどこにでもいる女の子だった……
彼女と会うのは真夜中……
それが俺達の日常だった。
そう……あのときまではーー……
「ムーン?食事は?」
「ああーー……まだだ」
考え事をしていたせいか反応が遅れた。
「じゃあーーーー…………どうぞ?私はさっき食べたから好きなだけ食べていいよ?」
そう告げて彼女は俺に食べ物を差し出した。
「……」
俺はそれをーー……食べ尽くしたい衝動にかられるが何とか理性を使う。
そしてーーーー…………
俺はーー……ランの首元に口付け、彼女の柔肌を俺の牙で傷付けた。
痛みで彼女の身体が強張るのがわかる。
鼻腔に鉄のような匂いとともに血とは異なる甘い香りが入ってくる。
普通の人間ならしない香りーー……
その香りを嗅いでしまうーー……
ーー……俺は吸血鬼だった。
これくらいが限界だろう……
と推測してーー……本能がある程度満足することができるくらいの量の血を啜るのをやめた。
対してランはいつものように、気を失っていた。
俺が血を吸い過ぎたのか……
それとも、眠くなったからなのか
理由はハッキリとは知らない。
でも……だからこそ、俺はーー……
彼女の意識がないと分かっている今だけは……自分に正直でいられる。
「……おやすみーー……ラン」
朝になったら……ただの騎士と姫になる。
ただの大切な友人として会えるのは夜だけ。
どうか……君が悪夢を見ませんように。
騎士は……姫にキスを1つ落とすと闇に紛れて消えていていった。
闇には、
今宵も美しい月と星が空に輝いていた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。
「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…
なお、スピンオフもございます。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる