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25.つのる罪悪感
エレノア様の寝室へ入り、わたしはベッドの端に腰掛けた。
彼女が「医師はもう帰したわ。わたしが無理やりお願いしたの」と告げる。
驚いて顔を上げると、彼女は訳知り顔ではなく、ただ真摯な、痛ましげな表情でわたしを見ていた。
「こんな様子を見たら、医師はあなたがただの風邪とは思わないでしょう。
わたくしにはあなたの辛い心当たりが少しだけ見えている気がするの」
わたしはぞっとする。
心の動揺を悟られまいと、強く唇を押し当てた。
「お言葉の意味が…よくわかりません」
自分でもわかるように、声が途切れ途切れになっていた。
すると、エレノア様は少し寂しげに微笑み、そっとわたしの肩に手を置き、
「メアリー、あなたがいつからか苦しんでいるのは気づいていたわ。
そして、こんな自分が情けなくも思う。あなたに何もしてあげられなかったから」
不意に思考の糸が切れる。
エレノア様はどこまで知っているのだろう?
まさかすべてを悟ってはいないはず。
だけど、その目に宿る悲しみの色はわたしを深くえぐり、心が砕ける音を感じた。
「あなたの嘔吐や顔色の悪さ…それはただの風邪や疲れじゃない。
女性の体はもっと繊細にできているもの。
…ねえ、もしやあなた、子を宿しているのではない?」
──やはり聞かれてしまった。
心臓を鷲掴みにされたかのような衝撃を受け、声も出せない。
わたしは息を呑み、その場で崩れ落ちそうになる。
その様子を見て、エレノア様は背筋を正し、静かに言葉を紡ぐ。
「驚かないで。あなたの子の父親が誰かなど何も聞かないわ。
今のあなたは苦しんでいる。それだけで十分」
悲しげな微笑。
その情けがわたしを一層追いつめる。
──こんなにも包みこむような目で見られたら、もうわたしは嘘をつきたくない。
やがてわたしは震える声で、涙をこらえながら懇願するように言葉を吐きだす。
「エレノア様…わたし…どうしたらいいのかわかりません。
この子は、わたしには…」
続きを言おうとしても語れない。
どんなに言葉をつないでも「エレノア様の夫との子を宿した」などと告げられるはずもない。
彼女は静かにわたしを抱きしめてくれた。
その腕はあたたかく、幼い頃に孤独を感じていたときと同じように、
すべてを許容してくれるような包容力があった。
「大丈夫よ…あなたは一人じゃない。
あなたが苦しんでいるなら、できる限り力になりたい。
何があっても、あなたはわたくしの大切な友人なんだから」
その言葉に、わたしはもはや自分を保てず、声を上げて泣きじゃくった。
部屋のなかにわたしの嗚咽がこだまする。
エレノア様はそっと背を撫でてくれた。
(だめだ…こんなにも優しい人に、わたしは取り返しのつかない裏切りをしてしまった)
泣きながら、心のなかで謝罪の言葉を何度も繰り返し、
胸がちぎれるような痛みと罪悪感に押し流されていく。
彼女が「医師はもう帰したわ。わたしが無理やりお願いしたの」と告げる。
驚いて顔を上げると、彼女は訳知り顔ではなく、ただ真摯な、痛ましげな表情でわたしを見ていた。
「こんな様子を見たら、医師はあなたがただの風邪とは思わないでしょう。
わたくしにはあなたの辛い心当たりが少しだけ見えている気がするの」
わたしはぞっとする。
心の動揺を悟られまいと、強く唇を押し当てた。
「お言葉の意味が…よくわかりません」
自分でもわかるように、声が途切れ途切れになっていた。
すると、エレノア様は少し寂しげに微笑み、そっとわたしの肩に手を置き、
「メアリー、あなたがいつからか苦しんでいるのは気づいていたわ。
そして、こんな自分が情けなくも思う。あなたに何もしてあげられなかったから」
不意に思考の糸が切れる。
エレノア様はどこまで知っているのだろう?
まさかすべてを悟ってはいないはず。
だけど、その目に宿る悲しみの色はわたしを深くえぐり、心が砕ける音を感じた。
「あなたの嘔吐や顔色の悪さ…それはただの風邪や疲れじゃない。
女性の体はもっと繊細にできているもの。
…ねえ、もしやあなた、子を宿しているのではない?」
──やはり聞かれてしまった。
心臓を鷲掴みにされたかのような衝撃を受け、声も出せない。
わたしは息を呑み、その場で崩れ落ちそうになる。
その様子を見て、エレノア様は背筋を正し、静かに言葉を紡ぐ。
「驚かないで。あなたの子の父親が誰かなど何も聞かないわ。
今のあなたは苦しんでいる。それだけで十分」
悲しげな微笑。
その情けがわたしを一層追いつめる。
──こんなにも包みこむような目で見られたら、もうわたしは嘘をつきたくない。
やがてわたしは震える声で、涙をこらえながら懇願するように言葉を吐きだす。
「エレノア様…わたし…どうしたらいいのかわかりません。
この子は、わたしには…」
続きを言おうとしても語れない。
どんなに言葉をつないでも「エレノア様の夫との子を宿した」などと告げられるはずもない。
彼女は静かにわたしを抱きしめてくれた。
その腕はあたたかく、幼い頃に孤独を感じていたときと同じように、
すべてを許容してくれるような包容力があった。
「大丈夫よ…あなたは一人じゃない。
あなたが苦しんでいるなら、できる限り力になりたい。
何があっても、あなたはわたくしの大切な友人なんだから」
その言葉に、わたしはもはや自分を保てず、声を上げて泣きじゃくった。
部屋のなかにわたしの嗚咽がこだまする。
エレノア様はそっと背を撫でてくれた。
(だめだ…こんなにも優しい人に、わたしは取り返しのつかない裏切りをしてしまった)
泣きながら、心のなかで謝罪の言葉を何度も繰り返し、
胸がちぎれるような痛みと罪悪感に押し流されていく。
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