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10 襲撃者
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洞窟をしばらく進むと開けた場所に出た。
学校の教室程の大きさがあるドーム状の部屋で、壁には等間隔で松明が灯されている。
しかし、中心部がボコっと隆起し、光る苔が蒸している為、むしろ通路より明るいくらいだった。
「……薬草、あ――――あった」
小さな丘みたいになってる苔の群生地の周囲を囲む様に、
薬草っぽい植物が点々と生えていた。
納品は十本以上って事だったし、十分な数確保できるだろう。
そういえば……。
『あ、薬草があっても全部は取るなよ?』
『……減る、から?』
『そうだ。ルーキーにゃあ、たまに根こそぎ取ってくる馬鹿が居るんだよ。
そういう奴らは街に罰金払わされる事になってる。
目安は……そうさな。
三本中一本は見逃せ。
そうすりゃあ一日で元通りだ』
『……分かった』
『あ、それと根っこ事取って来いよ? そうしねえとどんなに丁寧にとっても、品質が3以上にならねえから』
『……気を付ける』
『おう、じゃあ行って来い! 浅い場所だとたまにゴブリンとか出るから気を付けろよ!』
『……ん』
受付のおっさんから薬草採取のクエストを受けた時の会話だ。
薬草採取とか、絶対盗賊ギルドの仕事じゃないと思うんだけど、この街の住人はむしろ盗賊である事に誇りを持っている節がある。
閑話休題(それはともかく)。
とっとと薬草採取を終わらせてスキルの検証の続きをしないとな。
根っこから、だったよな。
丁寧に周りの土を掘り起こして薬草を抜いていく。
一本、二本、三本目は飛ばして。
また一本…………って、なんだ……?
何か嫌な視線を感じる……。
今自分が通って来た通路の方からだ。
薬草の周りの土をどけながら、視界の端でその向こうを一瞬だけ見る。
「…………」
何かが来てる……すぐそこまで。
この部屋への入口はちょうど曲がり角の先にあり、その曲がり角の向こう側で一瞬影が動いた気がしたのだ。
それに、向こうも気付かれた事に気付いたみたいだ。
足音を響かせながら薄暗い通路を歩いてくる。もう隠す気もないみたいだ。
「ガキ一人でこんな所に来ちゃあだめじゃねぇの。
ママはどこかな~?」
二十代くらいのガタイの良い男。
筋肉質な身体つきで、金髪の刈り上げが威圧する様にツンツンと逆立ち、両肩には簡素なショルダーパット、腰にウエストポーチを引っ掛け、手は刃渡り50センチ程の分厚いサバイバルナイフを軽く遊ばせている。
「……用……?」
この時点で分かっているが、相手の目的をはっきりさせる為にあえて尋ねる。
男は舌嘗めずりして、ニタリと三日月形の笑みを浮かべた。
「決まってんじゃねぇかぁ~。
…………ガキ一人で1000Gも持ってちゃ危ねえからよお?
俺が預かっておいてやろうと思ってなあ?
くはは」
…………つまりコイツには、弱弱しく一人で行動してる格好の獲物に見えた訳だ。
……舐めやがって。
「……良い事を教えてあげる」
今取れる手段は三つ。
逃げる。
戦う。
命乞い。
この三つだが、命乞いは死亡フラグだ。
体格差が明らかな上、こちらは喧嘩慣れもしていないからマトモに戦う事すら出来ないから戦うもアウト。
実質、逃げるの一択だ。
だが、しかし――――。
「あぁ……?」
「…………お前は三手で殺す」
それじゃあコイツに対する落とし前が付かないじゃないか。
コイツが犯した罪に対する落とし前が。
「……くふふ……奪い尽くしてやるよぉ……てめえの命ごとよぉ!!」
だから身体に刻み込んでやる――――罠師患部無きまでに――――。
学校の教室程の大きさがあるドーム状の部屋で、壁には等間隔で松明が灯されている。
しかし、中心部がボコっと隆起し、光る苔が蒸している為、むしろ通路より明るいくらいだった。
「……薬草、あ――――あった」
小さな丘みたいになってる苔の群生地の周囲を囲む様に、
薬草っぽい植物が点々と生えていた。
納品は十本以上って事だったし、十分な数確保できるだろう。
そういえば……。
『あ、薬草があっても全部は取るなよ?』
『……減る、から?』
『そうだ。ルーキーにゃあ、たまに根こそぎ取ってくる馬鹿が居るんだよ。
そういう奴らは街に罰金払わされる事になってる。
目安は……そうさな。
三本中一本は見逃せ。
そうすりゃあ一日で元通りだ』
『……分かった』
『あ、それと根っこ事取って来いよ? そうしねえとどんなに丁寧にとっても、品質が3以上にならねえから』
『……気を付ける』
『おう、じゃあ行って来い! 浅い場所だとたまにゴブリンとか出るから気を付けろよ!』
『……ん』
受付のおっさんから薬草採取のクエストを受けた時の会話だ。
薬草採取とか、絶対盗賊ギルドの仕事じゃないと思うんだけど、この街の住人はむしろ盗賊である事に誇りを持っている節がある。
閑話休題(それはともかく)。
とっとと薬草採取を終わらせてスキルの検証の続きをしないとな。
根っこから、だったよな。
丁寧に周りの土を掘り起こして薬草を抜いていく。
一本、二本、三本目は飛ばして。
また一本…………って、なんだ……?
何か嫌な視線を感じる……。
今自分が通って来た通路の方からだ。
薬草の周りの土をどけながら、視界の端でその向こうを一瞬だけ見る。
「…………」
何かが来てる……すぐそこまで。
この部屋への入口はちょうど曲がり角の先にあり、その曲がり角の向こう側で一瞬影が動いた気がしたのだ。
それに、向こうも気付かれた事に気付いたみたいだ。
足音を響かせながら薄暗い通路を歩いてくる。もう隠す気もないみたいだ。
「ガキ一人でこんな所に来ちゃあだめじゃねぇの。
ママはどこかな~?」
二十代くらいのガタイの良い男。
筋肉質な身体つきで、金髪の刈り上げが威圧する様にツンツンと逆立ち、両肩には簡素なショルダーパット、腰にウエストポーチを引っ掛け、手は刃渡り50センチ程の分厚いサバイバルナイフを軽く遊ばせている。
「……用……?」
この時点で分かっているが、相手の目的をはっきりさせる為にあえて尋ねる。
男は舌嘗めずりして、ニタリと三日月形の笑みを浮かべた。
「決まってんじゃねぇかぁ~。
…………ガキ一人で1000Gも持ってちゃ危ねえからよお?
俺が預かっておいてやろうと思ってなあ?
くはは」
…………つまりコイツには、弱弱しく一人で行動してる格好の獲物に見えた訳だ。
……舐めやがって。
「……良い事を教えてあげる」
今取れる手段は三つ。
逃げる。
戦う。
命乞い。
この三つだが、命乞いは死亡フラグだ。
体格差が明らかな上、こちらは喧嘩慣れもしていないからマトモに戦う事すら出来ないから戦うもアウト。
実質、逃げるの一択だ。
だが、しかし――――。
「あぁ……?」
「…………お前は三手で殺す」
それじゃあコイツに対する落とし前が付かないじゃないか。
コイツが犯した罪に対する落とし前が。
「……くふふ……奪い尽くしてやるよぉ……てめえの命ごとよぉ!!」
だから身体に刻み込んでやる――――罠師患部無きまでに――――。
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