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promitto of memory
第3話 記憶と何かの旋律。
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「…そういえばアンル。【記憶の箱】
というものは知っているだろうか?」
──記憶の箱…
それが、どういう品物かは分からない。
その為自分は問いかけた。
「知らないですね…
どういうものかもさっぱりです。」
「…分かった。なら今日はそれがある場所に行こう。」
―第3話 記憶と何かの旋律―
…師匠が先程まで言っていた
【記憶の箱】とは、一体何だろうと思いつつ
自分達は旅の支度をしていた。
そう言えば、旅に出る前の先日に
度の支度をしていた最中に少しだけ読んだ
書物にてほんの少しだけ書かれている
【約束を果たす者】とは、一体何者なんだろうと…
その謎も、何時しか解る日が来るのだろうか。
そして、翌日には正式に
アギトさんや兄さん、そしてリウラも自分達の旅団に
加入する為の手続きを、近くの旅団協会にて行った。
何故なら自分達の旅団は人手不足だったからだ。
アギトさん達も入りたがっていた為
折角だし入ってもらおうとそう考えた。
そうして、手続きを終えた後には
帰って来て旅の身支度を自分達の部屋で済ませた。
兄さんと自分に用意された部屋は一緒だった為、
道具の扱いやその他の事を全て教えた。
「えっと、コレの使い方はこうして紐を解いて…」
道具の使い方の説明をしていると、
兄さんがこんな事を言った。
「アンルってさ、説明上手だよね!」
「…そうかな」
照れくさそうにしていると、
リビングの方からリウラの声がした。
「お師匠ー!ルカさんとアギトさんの
身支度終わりましたー!」
その言葉にはーいと返事を返した。
「兄さん、自分達も
支度を早めに終わらせよう。」
そうして玄関に辿り着いた後には、
皆はもう玄関前まで歩いて行っていた。
それに追い付こうと自分も早歩きで其方へ向かう。
──自分達の旅が始まる。
少し怖いけれど、その反面たのしみにしていた。
そして兄さんとアギトさんが
楽しそうに話をしていた。
「突然だけどブラザーって、結局の所好きな人いるの?」
その質問にアギトさんがこう答えた。
「本当に突然だな?…一応居るぜ。」
「えー!本当に?誰なのー?」
ニマニマしながら兄さんがそういう。
それにアギトさんは言いたくなさそうな顔をしていた。
「ん…、まぁそのうち明かすから楽しみにしとけ。」
その後に続いて兄さんがムッとして
「ブラザーのけち!」と言って話が終わった。
一方その頃、リウラと師匠は…。
「リウラは、アンルの事が大好きなのだな。」
リウラが驚きを隠せずにいてこう答えた。
「んぇっ!?な、なんでバレたのですか…!」
「まぁ、見ればわかる。」
見透かされたと思っていたリウラが
少し照れているのか頬を赤らめこう言った。
「…る、ルカさんだって
お師匠のことどう思ってるんですか!」
そして即答するかのように師匠が
何やら顔を隠してこう答えた。
「どうって、単なる唯の師弟関係だぞ?」
あ、そっか…としか
言いようが無くなったリウラなのであった。
そうして話していくにつれて数時間後…
やっとの思いで目的地、
【深層洞窟・メフィサス】に着いた。
「ここの奥深くには
祟が多く生息すると聞いた。呉々も気おつける様に。」
そう師匠がいった通り、此処には祟が居る。
…嘗ての仲間たちを大勢、殺した奴等が。
「アンルは、私について来て欲しい。
【記憶の箱】がある所まで案内する。」
「はい、わかりました。」
草を掻き分けながら進んでいく。
そんな中、キラキラと光るそよ風が吹いていた。
「…!」
記憶の箱…
思っていた以上に煌めいていて、
金の装飾が飾られてあった。
「…私はここで待っている。
何かあれば私の名前を呼んでくれ。」
「はい。」
そうして、その箱に近づき触れる。
──すると眩しく強い光が自分を襲った。
「っ!!」
「ぁ…ぐ…っ…!」
眩しくて、目が眩んでしまいそうだった。
頭が痛い…でも、
この光に打ち勝てば──。
「!!」
「母、さん…?」
「思い出した。ちゃんと…ここに居るんだ。」
「アンル!…大丈夫、なのか…?」
「…ええ、大丈夫です。」
「師匠も怪我は無いですか?」
「…っあぁ、心配ない。」
帰り際に振り返ると、そこにはもうその箱は無かった。
師匠が言うには
先程の箱の名前は【記憶の箱】と言うらしく
神々の記憶が眠っており
【選ばれし者】の目にしか見えない…との事。
師匠が言っていたものはこれなのか…。
──何故、師匠にあの光が見えたのかは不明で
なぜ記憶の箱があることを知っていた挙句、
それが見えたかすら分からない。
…だが今は兄さん達と合流することを優先した。
『自分は、前世で何かいい事でもしたのか…?』
……敢えての仮説だ、そんな事は差程ないだろう。
その後に皆と合流した。
すると、兄さんが真っ先に此方に向かって走ってきた。
「アンル!ルカさん!良かったぁ、生きてるね…」
「…うん、大丈夫だよ。」
「この通り生きている、安心してくれ。」
休憩している際に
二階層にて起こった出来事を全て話す事にした。
「ほう…そんな事があったのか。」
そうアギトさんが言うと、彼もこんな事を話し始めた。
どうやら彼も、昔に記憶の箱を見たらしく
そのお陰で【神々の記憶】が目覚めたらしい。
どうやら、彼の中に眠っているのは
【黒炎神・バルド】という神の中で最強と言っても
過言では無い神の魂が眠っているのだ。
「そんでもって黒炎の加護が使えるっつー訳だな。」
「成る程…。」
但し、それを使い過ぎると
【暴徒化】する事が稀にあると、彼が言っていた。
その暴徒化とやらは、
【黒炎神・バルド】の加護が宿る者にしか成らないらしい。
そして洞窟を出て少しした後…、
自分達は昼ごはんを済ませていた。
「ごっはーんっ♪ごっはーん♪えへへっ」
サンドイッチをカバンから取り出して
それを一口、二口と食べ進めた。
「なんだかピクニック見たいですー!」
「ふふ…そうですね。」
数分が経って、リウラは寝てしまっている。
すると、アギトさんが何処かを横目で見ていた。
「…」
何かをボソボソと呟いていたが
気にせずにしていた次の瞬間、それは起こった。
バチバチと青い稲妻が走る
それと同時に赤黒く燃える炎が
アギトさんの周りで宙を舞った。
ガチン、と鉄同士がぶつかり合う様な音がした。
「!?」
そこに居たのは、青黒く長い髪をしていた
自分と同じ年と思える青年だった。
「ったく、久しぶりに面見せやがったと思えば
背中を狙ってくるなんざ卑怯だぜ?」
「…久しぶり、師範。」
余りにも一瞬の出来事過ぎて驚いてしまった。
後ろから両剣のような武器をもって
アギトさんに攻撃を仕掛けた。
まるで人間に襲いかかる狼の様だった。
それを意図も簡単に、アギトさんは大剣で受け止めた。
「…おうよ、久しぶり。」
そう彼が言うと、綴って兄さんが
久しぶりの再会を嬉しそうにこう言う
「あっ、ヴァルフ君だー!久しぶりだね!」
不思議そうに自分は彼の方を見ていた。
そこで自分はこう言った。
「兄さん、この人って…」
「ん?あぁ、えっとね──」
数分後、全て説明して貰った。
彼の名前は「ヴァルフ=ラゥル」と言うらしく
アギトさんのお弟子さんなのだとか。
「えぇと……ヴァルフさん、初めまして
オレの名前は『アンル=リュカストル』と言います。」
「…ん、どうも。」
すると、アギトさんがこんな事を言い始めた。
「まぁどっちも19だしな…
同い年同士仲良くしてやれよ。ヴァルフ」
やっぱり、自分と同い年だったのかと思った。
「…同い年なの?アンルさん」
「オレも19歳なので、そうですね。」
へぇ、と納得した様な顔で此方を見ている。
すると、ヴァルフさんがこんな事を自分に質問した。
「そういえば、アンルさんは何で敬語なの?」
「…えっ?」
別にそんなのなくても良いのに…
…そのような眼差しをしながらそう言った。
「……堅苦しいのは苦手なんだ、おれ」
そうだったのかと申し訳なく思い、
改めて言葉を訂正してこう言う。
「じゃあこれでいいかな…よろしくね、ヴァルフ」
するとヴァルフは、
ぱぁっと少し嬉しそうな顔をしていた。
「うん、それでいい。ありがとう」
その様子を見ていたアギトさんが
兄さんと師匠ににこう言った。
「こう言うのって、中々微笑ましいもんだな。」
「うんうん、そうだねぇ…
お陰で自分達は和んでられるよ」
「…どうやら、私は眠たくなってきてしまったな。」
するとリウラが目を覚まし、起き上がった。
「おはようございますお師匠…。
……えぇっ?!そ…その方は一体…!?」
「…ええと、これには訳がありまして」
そして今までに起きた状況の説明と
ヴァルフの自己紹介を終わらせた後、
リウラは彼の名前を繰り返し呼んでそれにヴァルフが
はぁい、と答える謎の遊びをしていた。
その後に、自分はアギトさんと話していた。
「アギトさん、せっかくヴァルフとの再会ですし
彼と2人で話してきたらいかがでしょうか。」
その様な提案を出すとアギトさんは
その事に賛成するかのようにこう言った。
「そうするか…久しぶりにアイツの面ァ拝んでくるぜ。」
それに自分は承諾し、
アギトさんは早速ヴァルフの方へと向かった。
数分後場所を変え、自分達がそう遠くは無い場所に来た。
「…師範、話って何?」
「あぁ話っつーのはな…」
「ルカが所属する旅団にお前も入るか
って話だが…どうする?」
すると、ヴァルフがそれを聞き、即答した。
「……入らないかな」
「それに、入ったとしても邪魔になるだろうし。」
そうだろうなと思ったアギトさんがこう答えた。
「そんな事はねぇんだがな…まぁ無理強いはしねぇよ。」
すると、ルーラが息を切らしながら
此方に向かって走ってきた。
「ルーラさん、どうしたの…?」
息切れが落ち着いた後にルーラがこう言った。
「あ、っアンルと、ルカさんが…
っ何者かに…攫われたんだ…!」
「アンルと、ルカが…?」
一方、その頃…。
────ここは、夢の中なのだろうか。
なんだか心地のいい場所だった。
「ルカ…此処に居たの。」
「…」
「……アンルを、私の代わりに頼むわね。」
……。
───懐かしい声が聞こえてくる。
相変わらずに、優しくて透き通った声色だった。
「…」
「…ユリシス殿…。」
眩い光と共に目を覚ますと
自分が居たそこは、薄暗い部屋だった。
「っ…此処は…」
自分は辺りを見回した。
そう言えばアンルは、何処に居るのだろう。
「そうだ……
アンルを探しに行かねば…。」
ユリシス殿に彼を託されたのであれば、
私は、彼を守らなければならない。
ベッドから起き上がる。
音で気づかられないようにドアを静かに開け、
身を潜めながらアンルのいる部屋を探す事にした。
私があの部屋にいたと言うことは、
アンルも別室に居るだろうと予測した為だ。
次々とありとあらゆる部屋のドアを開け、彼を探した。
.....居ない。
此処にも居ない。
ドアを次々と開けつつ、探していくうちに分かった。
何か強い祟の気配がするという事。
自分はそれから必死に耐えながら彼を探し回った。
すると、誰かの影が見えた。
アンルでは無い誰かだった。
強大な祟の気配の正体は奴からしていた。
「…っ」
奴が去って行った。
今がチャンスだと思い、
その部屋へ足音を立てずに向かった。
……
すると、ようやくアンルを見つけた。
……しかし、彼はボロボロになって手足を縛られていた。
「!!…っアンル…!」
荒ぶる声を殺しながら、そう言った。
とにかく此処は危険だと察した。
アンルの手足を不自由にさせていたロープを解いた。
「ぁ…っ…し、しょう…」
必死に声を出してアンルがそういった。
「……っアンル、ここから逃げよう。」
おぶって此処から出ようと試みる。
廊下側から出ると同時に、必死に走った。
息が切れそうになりながらも、唯ひたすらに
逃げる事しか出来ない自分の無力さに怒りを隠していた。
そうして暫く走っていると、また祟の気配を感じた。
『アイツだ…。』
身を潜め必死に声を殺し見つからぬ様にしていた。
すると次の瞬間、
いつの間にか奴が自分の後ろに来ていた。
「……手間ぁ掛けさせおって…。」
「っ!?」
振り返った瞬間後ろに下がり、
奴に手持ちのサーベルを向けた。
『此奴…只者では無い』
この私でさえ後ろを容易く取られてしまっていた。
綴って、奴が眉間に皺を寄せつつこう言った。
「……哀れな人の子よの…」
というものは知っているだろうか?」
──記憶の箱…
それが、どういう品物かは分からない。
その為自分は問いかけた。
「知らないですね…
どういうものかもさっぱりです。」
「…分かった。なら今日はそれがある場所に行こう。」
―第3話 記憶と何かの旋律―
…師匠が先程まで言っていた
【記憶の箱】とは、一体何だろうと思いつつ
自分達は旅の支度をしていた。
そう言えば、旅に出る前の先日に
度の支度をしていた最中に少しだけ読んだ
書物にてほんの少しだけ書かれている
【約束を果たす者】とは、一体何者なんだろうと…
その謎も、何時しか解る日が来るのだろうか。
そして、翌日には正式に
アギトさんや兄さん、そしてリウラも自分達の旅団に
加入する為の手続きを、近くの旅団協会にて行った。
何故なら自分達の旅団は人手不足だったからだ。
アギトさん達も入りたがっていた為
折角だし入ってもらおうとそう考えた。
そうして、手続きを終えた後には
帰って来て旅の身支度を自分達の部屋で済ませた。
兄さんと自分に用意された部屋は一緒だった為、
道具の扱いやその他の事を全て教えた。
「えっと、コレの使い方はこうして紐を解いて…」
道具の使い方の説明をしていると、
兄さんがこんな事を言った。
「アンルってさ、説明上手だよね!」
「…そうかな」
照れくさそうにしていると、
リビングの方からリウラの声がした。
「お師匠ー!ルカさんとアギトさんの
身支度終わりましたー!」
その言葉にはーいと返事を返した。
「兄さん、自分達も
支度を早めに終わらせよう。」
そうして玄関に辿り着いた後には、
皆はもう玄関前まで歩いて行っていた。
それに追い付こうと自分も早歩きで其方へ向かう。
──自分達の旅が始まる。
少し怖いけれど、その反面たのしみにしていた。
そして兄さんとアギトさんが
楽しそうに話をしていた。
「突然だけどブラザーって、結局の所好きな人いるの?」
その質問にアギトさんがこう答えた。
「本当に突然だな?…一応居るぜ。」
「えー!本当に?誰なのー?」
ニマニマしながら兄さんがそういう。
それにアギトさんは言いたくなさそうな顔をしていた。
「ん…、まぁそのうち明かすから楽しみにしとけ。」
その後に続いて兄さんがムッとして
「ブラザーのけち!」と言って話が終わった。
一方その頃、リウラと師匠は…。
「リウラは、アンルの事が大好きなのだな。」
リウラが驚きを隠せずにいてこう答えた。
「んぇっ!?な、なんでバレたのですか…!」
「まぁ、見ればわかる。」
見透かされたと思っていたリウラが
少し照れているのか頬を赤らめこう言った。
「…る、ルカさんだって
お師匠のことどう思ってるんですか!」
そして即答するかのように師匠が
何やら顔を隠してこう答えた。
「どうって、単なる唯の師弟関係だぞ?」
あ、そっか…としか
言いようが無くなったリウラなのであった。
そうして話していくにつれて数時間後…
やっとの思いで目的地、
【深層洞窟・メフィサス】に着いた。
「ここの奥深くには
祟が多く生息すると聞いた。呉々も気おつける様に。」
そう師匠がいった通り、此処には祟が居る。
…嘗ての仲間たちを大勢、殺した奴等が。
「アンルは、私について来て欲しい。
【記憶の箱】がある所まで案内する。」
「はい、わかりました。」
草を掻き分けながら進んでいく。
そんな中、キラキラと光るそよ風が吹いていた。
「…!」
記憶の箱…
思っていた以上に煌めいていて、
金の装飾が飾られてあった。
「…私はここで待っている。
何かあれば私の名前を呼んでくれ。」
「はい。」
そうして、その箱に近づき触れる。
──すると眩しく強い光が自分を襲った。
「っ!!」
「ぁ…ぐ…っ…!」
眩しくて、目が眩んでしまいそうだった。
頭が痛い…でも、
この光に打ち勝てば──。
「!!」
「母、さん…?」
「思い出した。ちゃんと…ここに居るんだ。」
「アンル!…大丈夫、なのか…?」
「…ええ、大丈夫です。」
「師匠も怪我は無いですか?」
「…っあぁ、心配ない。」
帰り際に振り返ると、そこにはもうその箱は無かった。
師匠が言うには
先程の箱の名前は【記憶の箱】と言うらしく
神々の記憶が眠っており
【選ばれし者】の目にしか見えない…との事。
師匠が言っていたものはこれなのか…。
──何故、師匠にあの光が見えたのかは不明で
なぜ記憶の箱があることを知っていた挙句、
それが見えたかすら分からない。
…だが今は兄さん達と合流することを優先した。
『自分は、前世で何かいい事でもしたのか…?』
……敢えての仮説だ、そんな事は差程ないだろう。
その後に皆と合流した。
すると、兄さんが真っ先に此方に向かって走ってきた。
「アンル!ルカさん!良かったぁ、生きてるね…」
「…うん、大丈夫だよ。」
「この通り生きている、安心してくれ。」
休憩している際に
二階層にて起こった出来事を全て話す事にした。
「ほう…そんな事があったのか。」
そうアギトさんが言うと、彼もこんな事を話し始めた。
どうやら彼も、昔に記憶の箱を見たらしく
そのお陰で【神々の記憶】が目覚めたらしい。
どうやら、彼の中に眠っているのは
【黒炎神・バルド】という神の中で最強と言っても
過言では無い神の魂が眠っているのだ。
「そんでもって黒炎の加護が使えるっつー訳だな。」
「成る程…。」
但し、それを使い過ぎると
【暴徒化】する事が稀にあると、彼が言っていた。
その暴徒化とやらは、
【黒炎神・バルド】の加護が宿る者にしか成らないらしい。
そして洞窟を出て少しした後…、
自分達は昼ごはんを済ませていた。
「ごっはーんっ♪ごっはーん♪えへへっ」
サンドイッチをカバンから取り出して
それを一口、二口と食べ進めた。
「なんだかピクニック見たいですー!」
「ふふ…そうですね。」
数分が経って、リウラは寝てしまっている。
すると、アギトさんが何処かを横目で見ていた。
「…」
何かをボソボソと呟いていたが
気にせずにしていた次の瞬間、それは起こった。
バチバチと青い稲妻が走る
それと同時に赤黒く燃える炎が
アギトさんの周りで宙を舞った。
ガチン、と鉄同士がぶつかり合う様な音がした。
「!?」
そこに居たのは、青黒く長い髪をしていた
自分と同じ年と思える青年だった。
「ったく、久しぶりに面見せやがったと思えば
背中を狙ってくるなんざ卑怯だぜ?」
「…久しぶり、師範。」
余りにも一瞬の出来事過ぎて驚いてしまった。
後ろから両剣のような武器をもって
アギトさんに攻撃を仕掛けた。
まるで人間に襲いかかる狼の様だった。
それを意図も簡単に、アギトさんは大剣で受け止めた。
「…おうよ、久しぶり。」
そう彼が言うと、綴って兄さんが
久しぶりの再会を嬉しそうにこう言う
「あっ、ヴァルフ君だー!久しぶりだね!」
不思議そうに自分は彼の方を見ていた。
そこで自分はこう言った。
「兄さん、この人って…」
「ん?あぁ、えっとね──」
数分後、全て説明して貰った。
彼の名前は「ヴァルフ=ラゥル」と言うらしく
アギトさんのお弟子さんなのだとか。
「えぇと……ヴァルフさん、初めまして
オレの名前は『アンル=リュカストル』と言います。」
「…ん、どうも。」
すると、アギトさんがこんな事を言い始めた。
「まぁどっちも19だしな…
同い年同士仲良くしてやれよ。ヴァルフ」
やっぱり、自分と同い年だったのかと思った。
「…同い年なの?アンルさん」
「オレも19歳なので、そうですね。」
へぇ、と納得した様な顔で此方を見ている。
すると、ヴァルフさんがこんな事を自分に質問した。
「そういえば、アンルさんは何で敬語なの?」
「…えっ?」
別にそんなのなくても良いのに…
…そのような眼差しをしながらそう言った。
「……堅苦しいのは苦手なんだ、おれ」
そうだったのかと申し訳なく思い、
改めて言葉を訂正してこう言う。
「じゃあこれでいいかな…よろしくね、ヴァルフ」
するとヴァルフは、
ぱぁっと少し嬉しそうな顔をしていた。
「うん、それでいい。ありがとう」
その様子を見ていたアギトさんが
兄さんと師匠ににこう言った。
「こう言うのって、中々微笑ましいもんだな。」
「うんうん、そうだねぇ…
お陰で自分達は和んでられるよ」
「…どうやら、私は眠たくなってきてしまったな。」
するとリウラが目を覚まし、起き上がった。
「おはようございますお師匠…。
……えぇっ?!そ…その方は一体…!?」
「…ええと、これには訳がありまして」
そして今までに起きた状況の説明と
ヴァルフの自己紹介を終わらせた後、
リウラは彼の名前を繰り返し呼んでそれにヴァルフが
はぁい、と答える謎の遊びをしていた。
その後に、自分はアギトさんと話していた。
「アギトさん、せっかくヴァルフとの再会ですし
彼と2人で話してきたらいかがでしょうか。」
その様な提案を出すとアギトさんは
その事に賛成するかのようにこう言った。
「そうするか…久しぶりにアイツの面ァ拝んでくるぜ。」
それに自分は承諾し、
アギトさんは早速ヴァルフの方へと向かった。
数分後場所を変え、自分達がそう遠くは無い場所に来た。
「…師範、話って何?」
「あぁ話っつーのはな…」
「ルカが所属する旅団にお前も入るか
って話だが…どうする?」
すると、ヴァルフがそれを聞き、即答した。
「……入らないかな」
「それに、入ったとしても邪魔になるだろうし。」
そうだろうなと思ったアギトさんがこう答えた。
「そんな事はねぇんだがな…まぁ無理強いはしねぇよ。」
すると、ルーラが息を切らしながら
此方に向かって走ってきた。
「ルーラさん、どうしたの…?」
息切れが落ち着いた後にルーラがこう言った。
「あ、っアンルと、ルカさんが…
っ何者かに…攫われたんだ…!」
「アンルと、ルカが…?」
一方、その頃…。
────ここは、夢の中なのだろうか。
なんだか心地のいい場所だった。
「ルカ…此処に居たの。」
「…」
「……アンルを、私の代わりに頼むわね。」
……。
───懐かしい声が聞こえてくる。
相変わらずに、優しくて透き通った声色だった。
「…」
「…ユリシス殿…。」
眩い光と共に目を覚ますと
自分が居たそこは、薄暗い部屋だった。
「っ…此処は…」
自分は辺りを見回した。
そう言えばアンルは、何処に居るのだろう。
「そうだ……
アンルを探しに行かねば…。」
ユリシス殿に彼を託されたのであれば、
私は、彼を守らなければならない。
ベッドから起き上がる。
音で気づかられないようにドアを静かに開け、
身を潜めながらアンルのいる部屋を探す事にした。
私があの部屋にいたと言うことは、
アンルも別室に居るだろうと予測した為だ。
次々とありとあらゆる部屋のドアを開け、彼を探した。
.....居ない。
此処にも居ない。
ドアを次々と開けつつ、探していくうちに分かった。
何か強い祟の気配がするという事。
自分はそれから必死に耐えながら彼を探し回った。
すると、誰かの影が見えた。
アンルでは無い誰かだった。
強大な祟の気配の正体は奴からしていた。
「…っ」
奴が去って行った。
今がチャンスだと思い、
その部屋へ足音を立てずに向かった。
……
すると、ようやくアンルを見つけた。
……しかし、彼はボロボロになって手足を縛られていた。
「!!…っアンル…!」
荒ぶる声を殺しながら、そう言った。
とにかく此処は危険だと察した。
アンルの手足を不自由にさせていたロープを解いた。
「ぁ…っ…し、しょう…」
必死に声を出してアンルがそういった。
「……っアンル、ここから逃げよう。」
おぶって此処から出ようと試みる。
廊下側から出ると同時に、必死に走った。
息が切れそうになりながらも、唯ひたすらに
逃げる事しか出来ない自分の無力さに怒りを隠していた。
そうして暫く走っていると、また祟の気配を感じた。
『アイツだ…。』
身を潜め必死に声を殺し見つからぬ様にしていた。
すると次の瞬間、
いつの間にか奴が自分の後ろに来ていた。
「……手間ぁ掛けさせおって…。」
「っ!?」
振り返った瞬間後ろに下がり、
奴に手持ちのサーベルを向けた。
『此奴…只者では無い』
この私でさえ後ろを容易く取られてしまっていた。
綴って、奴が眉間に皺を寄せつつこう言った。
「……哀れな人の子よの…」
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