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promitto of memory Ⅱ
第26話 開かる扉は誰が為に。
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それから自分は
此処についての地図を、イテルから貰った。
「…」
「これは…?」
手に渡されたものを見て、その後に
彼の顔を見ながらそう問いかけるとイテルはこう答える。
「それは此処の全体が載ってある
地図だよ。これを頼りに進んで行ってね。」
そして彼は眉をしかめて、複雑な表情でこう綴った。
「それと、ここにはまだ
祟がいるから…どうか気をつけて。」
「分かりました…報告とご心配を
して頂き、どうもありがとうございます。」
…自分がそう言ってイテルがこの場から去る。
そして、暫くするとアギトさんは此処について
何か心残りがあるようだった。
「アギトさん、どうかなさいましたか…?」
「ん?…あぁ、」
「少しだけだが、懐かしいと思っちまってな。」
……。
問いかけてそう言われた途端、
懐かしいとは、どういうことなのだろうと思った。
けれどもその事はあえて聞かないことにした。
…あまり言及してはいけない気がしたから。
彼がその事を自ら話してくれるまで、
自分はその時を、じっくりと焦らずに待つことにする。
「…そうなのですね。」
少しばかり微笑んで、そう答える。
あまりその事については、
彼を焦らせるような発言をしては駄目だと
…自分はそう思った。
―第26話 開かる扉は誰が為に―
荷物を持ち支度をして…自分達は村を離れた。
そして自分達は、
この森の謎を解き明かすことにする。
…
『此処に居る人達以外には
誰にも明かさず…秘密にして欲しい。』
──そう言われたことを思い返して
自分は、その約束を守ると誓う。
そして村の皆に出迎えられながら此処を離れた。
先程から言っていた、此処にある謎とは何なのか…
…その謎は一つのみだけあった。
その謎は、【精霊の幻想郷】と言って
嘗てはここから遠く
離れている果ての樹海に居た精霊たちが、
何故その場所からこの森まで…どうやって
たどり着いたのか、という謎だ。
何か手がかりがあればいいのだけれど、
…此処にはどうやら、手探りを
入れてみてもそれ等は無さそうだった。
『此処には手がかりが
無さそうだし…他を当たってみよう。』
…そして自分達はとある場に着いた。
水が滴る森…どうやらここは雨林地帯のようだ。
滴っている水に関しては、
特に体に害はないと思われる。
イテルが言っていたとおり、やはり
此処に複数いる祟の気配がした。
…その中でも特に強い祟の気配が近くに漂う。
「皆さん、近くに何か強い祟の気配を
感じるので、警戒は解かずに進みましょう。」
草道を歩いていく音が森に響いていく、そして
自分達はその中でとある物を目の当たりにした。
「これは…」
それは、機械人形を
動かす為に必要なパーツの一部の様だった。
…だが何処か違う物の部品にも見えた。
そしてそれを見ていたアギトさんは
自分に向けてこう言った。
「こりゃぁ【遺跡護兵】の心臓部分だな。」
「仕事で何回か見た事あるが、こんな
デケェのなんざ俺でも始めて見たと思うぜ。」
「なるほど。」
「…」
──【遺跡護兵】。
神々の時代には、多くの神殿が建てられていた為
それを護る役割を果たしていた。
嘗ては【神殿護兵】とも呼ばれていたとされる。
…それにしても、こんなにパーツが大きければ
本体もさぞかし巨大な物になるはず。
そうやって考えていると、
兄さんの隣にいたリウラはとても
目をキラキラと輝かせて、それを見ていた。
「はわわ~…!す、すごいです…こんなに
大きい物を一体誰が作り上げたんでしょうね…!?」
それに続いて兄さんは、
考えるように目を閉じてこう答える。
「うーん…分からないけど、
すっごく頭のいい人……かも?」
…とりあえずこれは、何かしらの
謎を解き明かす証拠に繋がるかもしれない。
そう思ってその破片の一部を入手した。
もし万が一、祟に蝕まれてしまっていたらと思い
手袋を填め、その破片を少量の水で洗った。
だが水と言ってもそれは特別な物であって、
旅団協会内でも取引され使われる【浄化水】という物。
浄化の加護石を砕き、その砕いた加護石を入れた水だ。
特に祟に蝕まれた部分を洗い落とすために使われる。
心臓の破片を持って行って、自分はとある事を考えた。
何故、あの場に遺跡護兵の部品があったのか…
本体の近くに遺跡か、それで
なければ他の何かがそこに在るのだろう。
…とも考えてみたけれど、
その様なものは近くに無かった。
もしかしてこの近くではなく、この破片の
本体と、その場所は自分たちのいる現在地から
遠く離れている場所にあるのかもしれない。
…そう自分の中で、ちょっとした仮説を立てた。
『まぁ本当に、ほんの少しの仮説だけど…』
そう思いつつ暫く歩いていると、
持っていた破片の本体を見つけた。
「…!」
だが、余りにもその本体が大きすぎて
…自分達は目を点にして驚きを隠せずに居た。
仮に、こんなにも
巨大なものと戦う羽目になってしまえば…
…その事を考えていたら悪寒がして仕方がなかった。
「…?」
「これは…」
そしてその本体の後ろに隠されていた
門のようなものを自分は見つけた。
すると、心臓が
取り外されている筈の遺跡護兵は、まだ
エネルギー原が残っていたのか起こしてしまった。
「ッ!?」
「う、嘘でしょ…!?」
兄さんが絶望的な顔でそう言うと同時に、
動いていた遺跡護兵が攻撃を仕掛けてきた。
「!!」
「リンクルスッ!」
その数秒間にリンクルスは人が乗れる位の
姿になって、兄さんを乗せそれを避ける。そして
兄さんが降りると同時に、リンクルスは杖になった。
「…ありがとうリンクルス。兄さん、大丈夫?」
「う、うん…大丈夫だよ…!」
あの遺跡護兵は、機械人形と同じく心臓と
エネルギー源を原動力に動いている筈…
そして心臓の部分が無くなれば、
弱点は一つのみとなる。
エネルギーを蓄える場所は腕と足の付け根…
そしてヴァルフの隣にいたアギトさんも、
それを承知の上で自分と兄さんに戦闘指示を出した。
「アンルとルーラは腕を攻撃してくれ、
その間に俺とヴァルフは脚を狙う。」
「…分かりました。」
「わかった!」
兄さんと自分が同時にそう返事をした。
そして自分は片方の腕部分を目掛けて、
加護で杖を剣に変えその部分に振りかざした。
その間に兄さんはもう片方の腕を、
何とか攻撃で足止めしてくれていた。
「こいつの腕ッ、すごく硬いんだけど!?」
そして自分は、普段は使わない炎魔法を使った。
すると鈍い金属音と同時に腕が切れた。
「よし…!」
そして綴って兄さんに自分はこう言った。
「兄さん!炎魔法がそいつに効くんだ!」
「分かった!…よーし、
兄さん張り切っちゃうぞ~!」
そう言うと同時に、再び兄さんが
足技を仕掛けて遺跡護兵の腕を断ち切った。
『…ほ、炎魔法が無くても切れた…』
そう思ってる間にアギトさんとヴァルフも
ようやく遺跡護兵の脚を切った。
「…」
「…うわっ!?」
脚を断ち斬った拍子に、自分と
兄さんはそこから足を滑らせ落ちそうになる。
「!…アンルっ!!」
だがそれも、なんとかそこらに生えていた
低木のお陰で…落ちた時の衝撃を抑えられた。
その事にヴァルフとアギトさんはホッとしたのか、
安堵して、すこしばかり胸を撫で下ろした。
それ等を見ていたリウラとラミジュは
目を点にして、自分達を少しばかり見たあと
リウラが瞳をキラキラと
輝かせて自分と兄さんにこういった。
「お師匠!皆さんも、とても凄かったです…!」
「…あぁ、んな事より怪我は…無いみてぇだな。」
その様子を見ていたアギトさんは、先程言った
リウラの言葉に歩み寄って、頷きつつこう答えた。
ラミジュは少しだけ躊躇っている
様子を見せつつ、ヴァルフにこう言っていた。
「あのさ…っ」
「……。」
「守ってくれて…ありがとう。」
恥ずかしげに何処か
不器用な感謝を込めたようなその言葉に、
ヴァルフは沈黙を捧げ、
唖然としたあと笑顔でこう答える。
「…」
「うん。」
そして自分は、遺跡護兵を倒した後に
扉のような大きな門を見つめていた。
「…」
この門の向こうに何があるのか…
自分は、少しばかり気になっていた。
…そして後ろに居たアギトさんは、
自分の方へと歩み寄り背後に近づいてこう言った。
「…これが気になるのか?」
その気配に自分は気づいていた為、
アギトさんが居る背後をくるりと向いた。
「はい、少しだけ…
この先に何があるのかと思いまして。」
そしてアギトさんは、
腕を前に組んで考える仕草を見せながら
その後にこう答えた。
「…そりゃぁ俺にも分からねぇな。」
「…」
「アギトさんにも
分からない事があるのですね…」
自分が沈黙を捧げた後に真剣そうな顔でそう言うと、
目の前にいる彼は全くと言わんばかりにこう答えた。
「俺をなんだと思ってんだよ…」
「…まぁいいか、そんで…この先に行きてぇんだろ?」
自分はその言葉に頷いた後、またもや真剣に答えた。
「そうですが、何やら…
この門に何か妙な力を感じるのです。」
そして自分は再度、
その門を見つつ息を揃えこう答える。
「加護か、それとも魔法がかけられているような…
その力のせいで、これは開けられなさそうですね。」
自分は【加護】という分野には詳しいが、
【魔法】という一般な物には
余り知識に入れていなかったのだ。
けれども魔法については兄さんが詳しいだろう…。
「…」
「なるほどなァ…。」
アギトさんがそう言いながら門にその手を当てる。
すると、瞬く間にその門から
ゴォッと音を立てつつ黒炎をあがらせた。
「!?」
「あっ、アギトさん…!何してるんですか…!?」
自分が驚き目を点にした後そう言うと、
彼はその言葉にこう答えた。
「ん?…あぁ、そういや言ってなかったか…」
「俺が使う【黒炎の加護】は、他の加護を
無効化出来るっつーわけだな。
…まぁ魔法も例外じゃねぇと思うぜ。」
「な、なるほど…?」
そう言った後にその門が開くと、
目の前に飛び込んできた光景は、自分達が
謎を解いた場所である果ての樹海の景色があった。
「!」
「これって…」
そしてその言葉を漏らした
自分は、とある事を思い出した。
…先程から言っていた門は、もしかしたら
【転送の門】という物の事かもしれないという事に。
此処についての地図を、イテルから貰った。
「…」
「これは…?」
手に渡されたものを見て、その後に
彼の顔を見ながらそう問いかけるとイテルはこう答える。
「それは此処の全体が載ってある
地図だよ。これを頼りに進んで行ってね。」
そして彼は眉をしかめて、複雑な表情でこう綴った。
「それと、ここにはまだ
祟がいるから…どうか気をつけて。」
「分かりました…報告とご心配を
して頂き、どうもありがとうございます。」
…自分がそう言ってイテルがこの場から去る。
そして、暫くするとアギトさんは此処について
何か心残りがあるようだった。
「アギトさん、どうかなさいましたか…?」
「ん?…あぁ、」
「少しだけだが、懐かしいと思っちまってな。」
……。
問いかけてそう言われた途端、
懐かしいとは、どういうことなのだろうと思った。
けれどもその事はあえて聞かないことにした。
…あまり言及してはいけない気がしたから。
彼がその事を自ら話してくれるまで、
自分はその時を、じっくりと焦らずに待つことにする。
「…そうなのですね。」
少しばかり微笑んで、そう答える。
あまりその事については、
彼を焦らせるような発言をしては駄目だと
…自分はそう思った。
―第26話 開かる扉は誰が為に―
荷物を持ち支度をして…自分達は村を離れた。
そして自分達は、
この森の謎を解き明かすことにする。
…
『此処に居る人達以外には
誰にも明かさず…秘密にして欲しい。』
──そう言われたことを思い返して
自分は、その約束を守ると誓う。
そして村の皆に出迎えられながら此処を離れた。
先程から言っていた、此処にある謎とは何なのか…
…その謎は一つのみだけあった。
その謎は、【精霊の幻想郷】と言って
嘗てはここから遠く
離れている果ての樹海に居た精霊たちが、
何故その場所からこの森まで…どうやって
たどり着いたのか、という謎だ。
何か手がかりがあればいいのだけれど、
…此処にはどうやら、手探りを
入れてみてもそれ等は無さそうだった。
『此処には手がかりが
無さそうだし…他を当たってみよう。』
…そして自分達はとある場に着いた。
水が滴る森…どうやらここは雨林地帯のようだ。
滴っている水に関しては、
特に体に害はないと思われる。
イテルが言っていたとおり、やはり
此処に複数いる祟の気配がした。
…その中でも特に強い祟の気配が近くに漂う。
「皆さん、近くに何か強い祟の気配を
感じるので、警戒は解かずに進みましょう。」
草道を歩いていく音が森に響いていく、そして
自分達はその中でとある物を目の当たりにした。
「これは…」
それは、機械人形を
動かす為に必要なパーツの一部の様だった。
…だが何処か違う物の部品にも見えた。
そしてそれを見ていたアギトさんは
自分に向けてこう言った。
「こりゃぁ【遺跡護兵】の心臓部分だな。」
「仕事で何回か見た事あるが、こんな
デケェのなんざ俺でも始めて見たと思うぜ。」
「なるほど。」
「…」
──【遺跡護兵】。
神々の時代には、多くの神殿が建てられていた為
それを護る役割を果たしていた。
嘗ては【神殿護兵】とも呼ばれていたとされる。
…それにしても、こんなにパーツが大きければ
本体もさぞかし巨大な物になるはず。
そうやって考えていると、
兄さんの隣にいたリウラはとても
目をキラキラと輝かせて、それを見ていた。
「はわわ~…!す、すごいです…こんなに
大きい物を一体誰が作り上げたんでしょうね…!?」
それに続いて兄さんは、
考えるように目を閉じてこう答える。
「うーん…分からないけど、
すっごく頭のいい人……かも?」
…とりあえずこれは、何かしらの
謎を解き明かす証拠に繋がるかもしれない。
そう思ってその破片の一部を入手した。
もし万が一、祟に蝕まれてしまっていたらと思い
手袋を填め、その破片を少量の水で洗った。
だが水と言ってもそれは特別な物であって、
旅団協会内でも取引され使われる【浄化水】という物。
浄化の加護石を砕き、その砕いた加護石を入れた水だ。
特に祟に蝕まれた部分を洗い落とすために使われる。
心臓の破片を持って行って、自分はとある事を考えた。
何故、あの場に遺跡護兵の部品があったのか…
本体の近くに遺跡か、それで
なければ他の何かがそこに在るのだろう。
…とも考えてみたけれど、
その様なものは近くに無かった。
もしかしてこの近くではなく、この破片の
本体と、その場所は自分たちのいる現在地から
遠く離れている場所にあるのかもしれない。
…そう自分の中で、ちょっとした仮説を立てた。
『まぁ本当に、ほんの少しの仮説だけど…』
そう思いつつ暫く歩いていると、
持っていた破片の本体を見つけた。
「…!」
だが、余りにもその本体が大きすぎて
…自分達は目を点にして驚きを隠せずに居た。
仮に、こんなにも
巨大なものと戦う羽目になってしまえば…
…その事を考えていたら悪寒がして仕方がなかった。
「…?」
「これは…」
そしてその本体の後ろに隠されていた
門のようなものを自分は見つけた。
すると、心臓が
取り外されている筈の遺跡護兵は、まだ
エネルギー原が残っていたのか起こしてしまった。
「ッ!?」
「う、嘘でしょ…!?」
兄さんが絶望的な顔でそう言うと同時に、
動いていた遺跡護兵が攻撃を仕掛けてきた。
「!!」
「リンクルスッ!」
その数秒間にリンクルスは人が乗れる位の
姿になって、兄さんを乗せそれを避ける。そして
兄さんが降りると同時に、リンクルスは杖になった。
「…ありがとうリンクルス。兄さん、大丈夫?」
「う、うん…大丈夫だよ…!」
あの遺跡護兵は、機械人形と同じく心臓と
エネルギー源を原動力に動いている筈…
そして心臓の部分が無くなれば、
弱点は一つのみとなる。
エネルギーを蓄える場所は腕と足の付け根…
そしてヴァルフの隣にいたアギトさんも、
それを承知の上で自分と兄さんに戦闘指示を出した。
「アンルとルーラは腕を攻撃してくれ、
その間に俺とヴァルフは脚を狙う。」
「…分かりました。」
「わかった!」
兄さんと自分が同時にそう返事をした。
そして自分は片方の腕部分を目掛けて、
加護で杖を剣に変えその部分に振りかざした。
その間に兄さんはもう片方の腕を、
何とか攻撃で足止めしてくれていた。
「こいつの腕ッ、すごく硬いんだけど!?」
そして自分は、普段は使わない炎魔法を使った。
すると鈍い金属音と同時に腕が切れた。
「よし…!」
そして綴って兄さんに自分はこう言った。
「兄さん!炎魔法がそいつに効くんだ!」
「分かった!…よーし、
兄さん張り切っちゃうぞ~!」
そう言うと同時に、再び兄さんが
足技を仕掛けて遺跡護兵の腕を断ち切った。
『…ほ、炎魔法が無くても切れた…』
そう思ってる間にアギトさんとヴァルフも
ようやく遺跡護兵の脚を切った。
「…」
「…うわっ!?」
脚を断ち斬った拍子に、自分と
兄さんはそこから足を滑らせ落ちそうになる。
「!…アンルっ!!」
だがそれも、なんとかそこらに生えていた
低木のお陰で…落ちた時の衝撃を抑えられた。
その事にヴァルフとアギトさんはホッとしたのか、
安堵して、すこしばかり胸を撫で下ろした。
それ等を見ていたリウラとラミジュは
目を点にして、自分達を少しばかり見たあと
リウラが瞳をキラキラと
輝かせて自分と兄さんにこういった。
「お師匠!皆さんも、とても凄かったです…!」
「…あぁ、んな事より怪我は…無いみてぇだな。」
その様子を見ていたアギトさんは、先程言った
リウラの言葉に歩み寄って、頷きつつこう答えた。
ラミジュは少しだけ躊躇っている
様子を見せつつ、ヴァルフにこう言っていた。
「あのさ…っ」
「……。」
「守ってくれて…ありがとう。」
恥ずかしげに何処か
不器用な感謝を込めたようなその言葉に、
ヴァルフは沈黙を捧げ、
唖然としたあと笑顔でこう答える。
「…」
「うん。」
そして自分は、遺跡護兵を倒した後に
扉のような大きな門を見つめていた。
「…」
この門の向こうに何があるのか…
自分は、少しばかり気になっていた。
…そして後ろに居たアギトさんは、
自分の方へと歩み寄り背後に近づいてこう言った。
「…これが気になるのか?」
その気配に自分は気づいていた為、
アギトさんが居る背後をくるりと向いた。
「はい、少しだけ…
この先に何があるのかと思いまして。」
そしてアギトさんは、
腕を前に組んで考える仕草を見せながら
その後にこう答えた。
「…そりゃぁ俺にも分からねぇな。」
「…」
「アギトさんにも
分からない事があるのですね…」
自分が沈黙を捧げた後に真剣そうな顔でそう言うと、
目の前にいる彼は全くと言わんばかりにこう答えた。
「俺をなんだと思ってんだよ…」
「…まぁいいか、そんで…この先に行きてぇんだろ?」
自分はその言葉に頷いた後、またもや真剣に答えた。
「そうですが、何やら…
この門に何か妙な力を感じるのです。」
そして自分は再度、
その門を見つつ息を揃えこう答える。
「加護か、それとも魔法がかけられているような…
その力のせいで、これは開けられなさそうですね。」
自分は【加護】という分野には詳しいが、
【魔法】という一般な物には
余り知識に入れていなかったのだ。
けれども魔法については兄さんが詳しいだろう…。
「…」
「なるほどなァ…。」
アギトさんがそう言いながら門にその手を当てる。
すると、瞬く間にその門から
ゴォッと音を立てつつ黒炎をあがらせた。
「!?」
「あっ、アギトさん…!何してるんですか…!?」
自分が驚き目を点にした後そう言うと、
彼はその言葉にこう答えた。
「ん?…あぁ、そういや言ってなかったか…」
「俺が使う【黒炎の加護】は、他の加護を
無効化出来るっつーわけだな。
…まぁ魔法も例外じゃねぇと思うぜ。」
「な、なるほど…?」
そう言った後にその門が開くと、
目の前に飛び込んできた光景は、自分達が
謎を解いた場所である果ての樹海の景色があった。
「!」
「これって…」
そしてその言葉を漏らした
自分は、とある事を思い出した。
…先程から言っていた門は、もしかしたら
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