父と向き合う。

さーちゃま

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 母が亡くなり、しばらくしてからの事だった。父から一つの質問をされた。

 「妹を引き取ろうと思う。お前らはどう思う?」という質問だった。

 私と姉はもちろんすぐに承諾した。妹と暮らせるのが嬉しかった。心を弾ませ妹が来るのを待った。

 妹と一緒の生活を始め、私と姉には変化が現れた。楽しかった生活の中で見る妹の私達とは違う行動。それが妬ましかった。母を恋しく思い泣く姿、父を嫌がる姿、それが私達にはとても理解出来なかった。母のいない私達からしたら羨ましい事だったのだ。しかしその思いのぶつけ方が
わからなかった私達は妹に手をあげた。泣けばうるさいと言い、更に泣けば叩き…。心苦しい気持ちもありながらも妹を妬み羨み仕方がない程に怒りを覚えた。

 父も妹の育て方がうまく行かず妹は施設に入った。

妹は施設に入った後、また母親の元へと戻った。それすらも羨ましかった。妹を引き取りに来た際に三歳で別れたきりの母親に初めて会い、初めて頭を撫でられた。それは嬉しくもあり、悲しくもあった。

 それからはまた家族三人での暮らしが始まった。
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