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28.マーブルアイスクリーム
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「ルージー、何か頼む?」
メニュー表を差し出し、エレノアが小首を傾げる。ルージーはそれを受け取り、「そうだな」と言ってたくさんある品物の文字を追う。
私は、ちょうど運ばれてきたパフェを食べ始め、香ばしいハンバーガーの匂いに塩気が少し欲しくなってきたところだった。だからだろうか。私がメニュー表を見るルージーを知らず知らずのうちに凝視していたのだと思う。ルージーが顔を上げて眉をひそめる。
「ドンナのためだ」
「……え?」
ゾイアと一緒にいたことを不審に思っていると見られたのだろう。ルージーがメニュー表を机に置いて私を真っ直ぐに見てそう宣言する。
「どういうこと?」
何の話か一瞬分からなかったから、ついそう返してしまった。
「ドンナはアルバイトとして俺の歳の離れた弟の子守をしてくれた。だからそのお礼に、ここから家が遠いドンナを車で送る。ゾイアがこの店に連れていくと言って聞かなかったし、ドンナも行きたそうにしていたからな。最近、ドンナはゾイアと仲がいいが、ゾイアと違って少し大人しい。こういった場所も慣れないから、ゾイアが無茶をさせないか監視するのにもちょうどいい」
「妹は、随分と信用がないみたいね」
私の苦笑に、ルージーは肩をすくめて返事をした。
「それで?」
「え?」
途端にルージーの声色が変わる。
「どうしてそんな辛気臭い顔をしているんだ?」
「……え」
まさかの指摘に、口に運んでいたアイスがスプーンから零れ落ちて器に戻る。
そんな間抜けな出来事にも表情一つ変えず、ルージーは私の答えをじっと待っているままだ。
そこまで元気のない顔をしていたのだろうか。
確かに落ち込んでいるし、二人に話を聞いてもらっていた途中だけれど。今現れたばかりのルージーにもその表情は伝わってしまったようで、私はその洞察力に驚愕した。
いや、私が本当に分かりやすい顔をしていたのかもしれないけど……。
「えっと……べ、別に……」
また誤魔化そうとする。これは強がりか。私は思ったよりも自己評価が高いのかもしれない。そうでなければ、つまずいていることをこんなに隠す必要なんてない。
ごちゃごちゃと考えずに、助けて! って、思い切り眉を下げて友人に飛びつけばいいのだから。
「どうせ課題のことなんだろう。君たちの学校は、随分と面倒なことを引き受けるな」
ふん、と鼻を鳴らすルージー。その流れがあまりにも自然すぎる。もし不躾な態度をしたくなった時には、彼に教えを請うべきだ。
「まぁ、結構楽しいのよ?」
そしてすべてを跳ね除ける圧倒的な笑顔を習得したいのであれば、その術をエレノアに懇願すればいい。
「ロミィは今スランプなんだよね」
ベラの慰めるような声が天使の羽のように落ちてくる。ベラの代弁がありがたかった。そう、私はスランプなんだ。
「は? なんで?」
「……私の案が、ちょっと依頼人の趣旨と合っていなかったみたい」
眉をひそめたルージーに真実を伝えることにした。
私の悩みに不思議な顔をしているルージー。もしかして私のこと少しは見込んでくれていたのだろうか。
「……どうせ、自分のことばっかり考えてたんだろ?」
撤回しよう。
ルージーはそんな甘い男なんかではなかった。常にブリザードの鉄壁を持ち合わせる人柄だ。
磨き続けている剣を容赦なく振るうルージーを見かねて、エレノアとベラが事情を説明してくれた。きっと私の口から言うよりも、ルージーの耳に届くだろう。いや、別に私とルージーは仲が悪いとかないけれど。
多分、いつも頭を悩まされているゾイアの姉という下駄は、変な方向に伸びてしまっているだろうから。
「…………ふぅん。おもちゃ屋か」
ルージーの口からおもちゃという言葉が出るだけで、なんだか滑稽だった。
「まぁ、案自体は悪くないと思うが……」
「本当? 本当にそう思ってる?」
彼の言うことが信じられない私は、しつこく詰め寄った。
「ああ。派手だし、目に留まることは確実だ。宣伝という意味では十分だろう」
「……あ、ありがとう」
「ただ……それだけだな」
はぁ、と息が漏れるような音がした。
気づけばルージーは、ここにいる誰よりも真剣な顔をして真っ直ぐに私を捉える。周りは陽気な音楽に溢れ、若者たちのはしゃぐ声がお腹いっぱいになるくらい飛び込んでくるというのに、彼だけはどこかのオフィスに呼ばれてやってきた弁護士のように見える。
「それだけじゃ、ただ露出した宣伝に終わる。それが届くのかどうかは、また別の問題だろ」
「……別の……」
「それにロミィ、君は、誰のことを考えてその案を出した?」
「……え?」
きりっと上がった凛々しい眉毛に誘われ、私の背筋に規律がもたらされる。
「クライアントの意向に応えるのは君の役目だ。君が魅せたいものではなく、彼らが表現したいことを考えたか? 企画案は、君を売り込むためにあるものじゃない。彼らの未来のためだけにあるものだ」
「…………アランドラさんの……未来……?」
「そうだ。トイ・ポモドーリはどんな場所だ? これまでどんな顔をして街に溶け込んでいた? どうして今の彼らには課題が出てきたんだ? それが分かれば、見誤ることなんてないだろう。ちゃんとクライアントに寄り添うことが、君に与えられた役だ」
「……役」
あんまり好きな言葉ではない。彼方へと消えたトラウマが、待ってましたとばかりにすぐにでも駆け付けてくる。
「俺は、君はそんなことをちゃんと掴める人間だと思っているけどな」
ぶっきらぼうで冷たいルージーの声が心に染み渡るのは何故だろう。スポイトで零した水が布に否応なしに吸い込まれていくように、ルージーの言葉がぬるま湯となって胸の奥まで差し込んでくる。まるで私がずっと待っていた答えのように。
与えられた役は嫌い。
役は自分で作るもの。それは私自身だけのもので、他の誰にも成り代われない。明け渡すべきじゃないものだ。
代わりに、誰もそれをくれることはないのだから。
「……ルージー」
少し溶けてしまったアイスが寂しそうに私を見つめてくる。
だけどまだ、食べられそうにない。
「ありがとう……。なんだか、私、出来るような気がする」
私の中に灯ったゆるやかな興奮が、ふつふつと表情にまで現れてくる。
「エレノア、ベラ、ごめん。私、行かないと……」
「うん。分かった。ふふ、また一緒に来ましょうね」
「今日は奢ってあげるから!」
二人の友人は、いつだって無条件に私に花道を作ってくれる。その花がどんなに勇気をくれることか。
慌てて席を立った私は、コートを着る途中でルージーを振り返る。
「ゾイアのことよろしくね!」
呆れた顔をしていたと思うけれど、頷いたルージーの瞳は冷たくは見えなかった。
ちょうど、ジュークボックスのそばにゾイアとドンナがいたから、私は先に帰る旨を伝えた。ゾイアは目を丸くして「つまんない!」と可愛い文句を言ったけれど、大人しい性格が滲み出ているドンナは何かを言いたそうにうずうずとしている。
その様子に思わず足を止めると、ドンナはぎゅっと自分の指先を握りしめ、意を決したように口を開ける。
「あ、あのっ! モイネクリームのメッセージ、とても、素敵でした……!」
「……えっ?」
思いがけない言葉に、ドンナの顔をまじまじと見る。するとドンナの頬は赤くなり、恥ずかしそうに瞳は潤んでいく。確かに、ゾイアとは全然違うタイプの女の子だ。これまでゾイアが話してくれた仲良したちの中にも、こういった子はいなかった。だから私は、彼女が次に何を言うのか気になってしまう。
「わ、私、肌がすぐに乾燥してしまうんです……だけど、思いきって買ってみたんです。モイネクリームを……あ、その、シルクを纏っているようっていうフレーズが……気になって……。あ、私、シルクなんて、着たことないですけど……」
ドンナが言っているのは、この前私が携わったボディクリームの謳い文句に関することだ。トイ・ポモドーリの前に終わった課題で、モイネクリームという新商品の売り出しのお手伝いをしたのだ。
そこで私は、”このクリームは、シルクを纏っているよう”と、モイネクリームの代名詞となる言葉を会社の人たちと一緒に考えた。
「私、美容とか……恥ずかしくて手を出したことがなかったんですが、思わず惹かれてしまって、はじめて自分で買ったんです。あ、私なんて、こんなお洒落なものを使っていいのか分からないんですけど……」
もう耳まで赤くなっている。
ドンナはどうやら想定以上に自己評価の低い女の子のようだ。こんなに可愛らしいのに、自分はそのことに気がついていない。資格なんて、使ってみたいな、って、ただそれだけでいいのに。皆、生まれた時から持っている当然の欲求だ。
「ありがとう、ドンナ。気に入ってくれて、とても嬉しい。これからも、使ってくれると嬉しいな」
私はドンナの強張る手にそっと触れた。
「ふふ、綺麗な肌なんだね、ドンナ。大事にしてね」
さらっとしたその美しい肌に、偽りのない言葉をかける。それが偽善に聞こえてしまっても構わなかった。まごうことなき正真正銘の感想なのだから、胸を張ればいい。
ドンナは大げさなほどに頷いて、はにかむように頬を綻ばせる。
それが私も嬉しくて、つられるように口元が緩む。
どうしてゾイアが彼女と一緒にいるのか分かったような気がする。
「それじゃあ、また会いましょうね」
「……はいっ!」
ドンナの音楽に負けないくらい大きな返事に、私は頭が澄み渡っていく感覚を覚えた。
メニュー表を差し出し、エレノアが小首を傾げる。ルージーはそれを受け取り、「そうだな」と言ってたくさんある品物の文字を追う。
私は、ちょうど運ばれてきたパフェを食べ始め、香ばしいハンバーガーの匂いに塩気が少し欲しくなってきたところだった。だからだろうか。私がメニュー表を見るルージーを知らず知らずのうちに凝視していたのだと思う。ルージーが顔を上げて眉をひそめる。
「ドンナのためだ」
「……え?」
ゾイアと一緒にいたことを不審に思っていると見られたのだろう。ルージーがメニュー表を机に置いて私を真っ直ぐに見てそう宣言する。
「どういうこと?」
何の話か一瞬分からなかったから、ついそう返してしまった。
「ドンナはアルバイトとして俺の歳の離れた弟の子守をしてくれた。だからそのお礼に、ここから家が遠いドンナを車で送る。ゾイアがこの店に連れていくと言って聞かなかったし、ドンナも行きたそうにしていたからな。最近、ドンナはゾイアと仲がいいが、ゾイアと違って少し大人しい。こういった場所も慣れないから、ゾイアが無茶をさせないか監視するのにもちょうどいい」
「妹は、随分と信用がないみたいね」
私の苦笑に、ルージーは肩をすくめて返事をした。
「それで?」
「え?」
途端にルージーの声色が変わる。
「どうしてそんな辛気臭い顔をしているんだ?」
「……え」
まさかの指摘に、口に運んでいたアイスがスプーンから零れ落ちて器に戻る。
そんな間抜けな出来事にも表情一つ変えず、ルージーは私の答えをじっと待っているままだ。
そこまで元気のない顔をしていたのだろうか。
確かに落ち込んでいるし、二人に話を聞いてもらっていた途中だけれど。今現れたばかりのルージーにもその表情は伝わってしまったようで、私はその洞察力に驚愕した。
いや、私が本当に分かりやすい顔をしていたのかもしれないけど……。
「えっと……べ、別に……」
また誤魔化そうとする。これは強がりか。私は思ったよりも自己評価が高いのかもしれない。そうでなければ、つまずいていることをこんなに隠す必要なんてない。
ごちゃごちゃと考えずに、助けて! って、思い切り眉を下げて友人に飛びつけばいいのだから。
「どうせ課題のことなんだろう。君たちの学校は、随分と面倒なことを引き受けるな」
ふん、と鼻を鳴らすルージー。その流れがあまりにも自然すぎる。もし不躾な態度をしたくなった時には、彼に教えを請うべきだ。
「まぁ、結構楽しいのよ?」
そしてすべてを跳ね除ける圧倒的な笑顔を習得したいのであれば、その術をエレノアに懇願すればいい。
「ロミィは今スランプなんだよね」
ベラの慰めるような声が天使の羽のように落ちてくる。ベラの代弁がありがたかった。そう、私はスランプなんだ。
「は? なんで?」
「……私の案が、ちょっと依頼人の趣旨と合っていなかったみたい」
眉をひそめたルージーに真実を伝えることにした。
私の悩みに不思議な顔をしているルージー。もしかして私のこと少しは見込んでくれていたのだろうか。
「……どうせ、自分のことばっかり考えてたんだろ?」
撤回しよう。
ルージーはそんな甘い男なんかではなかった。常にブリザードの鉄壁を持ち合わせる人柄だ。
磨き続けている剣を容赦なく振るうルージーを見かねて、エレノアとベラが事情を説明してくれた。きっと私の口から言うよりも、ルージーの耳に届くだろう。いや、別に私とルージーは仲が悪いとかないけれど。
多分、いつも頭を悩まされているゾイアの姉という下駄は、変な方向に伸びてしまっているだろうから。
「…………ふぅん。おもちゃ屋か」
ルージーの口からおもちゃという言葉が出るだけで、なんだか滑稽だった。
「まぁ、案自体は悪くないと思うが……」
「本当? 本当にそう思ってる?」
彼の言うことが信じられない私は、しつこく詰め寄った。
「ああ。派手だし、目に留まることは確実だ。宣伝という意味では十分だろう」
「……あ、ありがとう」
「ただ……それだけだな」
はぁ、と息が漏れるような音がした。
気づけばルージーは、ここにいる誰よりも真剣な顔をして真っ直ぐに私を捉える。周りは陽気な音楽に溢れ、若者たちのはしゃぐ声がお腹いっぱいになるくらい飛び込んでくるというのに、彼だけはどこかのオフィスに呼ばれてやってきた弁護士のように見える。
「それだけじゃ、ただ露出した宣伝に終わる。それが届くのかどうかは、また別の問題だろ」
「……別の……」
「それにロミィ、君は、誰のことを考えてその案を出した?」
「……え?」
きりっと上がった凛々しい眉毛に誘われ、私の背筋に規律がもたらされる。
「クライアントの意向に応えるのは君の役目だ。君が魅せたいものではなく、彼らが表現したいことを考えたか? 企画案は、君を売り込むためにあるものじゃない。彼らの未来のためだけにあるものだ」
「…………アランドラさんの……未来……?」
「そうだ。トイ・ポモドーリはどんな場所だ? これまでどんな顔をして街に溶け込んでいた? どうして今の彼らには課題が出てきたんだ? それが分かれば、見誤ることなんてないだろう。ちゃんとクライアントに寄り添うことが、君に与えられた役だ」
「……役」
あんまり好きな言葉ではない。彼方へと消えたトラウマが、待ってましたとばかりにすぐにでも駆け付けてくる。
「俺は、君はそんなことをちゃんと掴める人間だと思っているけどな」
ぶっきらぼうで冷たいルージーの声が心に染み渡るのは何故だろう。スポイトで零した水が布に否応なしに吸い込まれていくように、ルージーの言葉がぬるま湯となって胸の奥まで差し込んでくる。まるで私がずっと待っていた答えのように。
与えられた役は嫌い。
役は自分で作るもの。それは私自身だけのもので、他の誰にも成り代われない。明け渡すべきじゃないものだ。
代わりに、誰もそれをくれることはないのだから。
「……ルージー」
少し溶けてしまったアイスが寂しそうに私を見つめてくる。
だけどまだ、食べられそうにない。
「ありがとう……。なんだか、私、出来るような気がする」
私の中に灯ったゆるやかな興奮が、ふつふつと表情にまで現れてくる。
「エレノア、ベラ、ごめん。私、行かないと……」
「うん。分かった。ふふ、また一緒に来ましょうね」
「今日は奢ってあげるから!」
二人の友人は、いつだって無条件に私に花道を作ってくれる。その花がどんなに勇気をくれることか。
慌てて席を立った私は、コートを着る途中でルージーを振り返る。
「ゾイアのことよろしくね!」
呆れた顔をしていたと思うけれど、頷いたルージーの瞳は冷たくは見えなかった。
ちょうど、ジュークボックスのそばにゾイアとドンナがいたから、私は先に帰る旨を伝えた。ゾイアは目を丸くして「つまんない!」と可愛い文句を言ったけれど、大人しい性格が滲み出ているドンナは何かを言いたそうにうずうずとしている。
その様子に思わず足を止めると、ドンナはぎゅっと自分の指先を握りしめ、意を決したように口を開ける。
「あ、あのっ! モイネクリームのメッセージ、とても、素敵でした……!」
「……えっ?」
思いがけない言葉に、ドンナの顔をまじまじと見る。するとドンナの頬は赤くなり、恥ずかしそうに瞳は潤んでいく。確かに、ゾイアとは全然違うタイプの女の子だ。これまでゾイアが話してくれた仲良したちの中にも、こういった子はいなかった。だから私は、彼女が次に何を言うのか気になってしまう。
「わ、私、肌がすぐに乾燥してしまうんです……だけど、思いきって買ってみたんです。モイネクリームを……あ、その、シルクを纏っているようっていうフレーズが……気になって……。あ、私、シルクなんて、着たことないですけど……」
ドンナが言っているのは、この前私が携わったボディクリームの謳い文句に関することだ。トイ・ポモドーリの前に終わった課題で、モイネクリームという新商品の売り出しのお手伝いをしたのだ。
そこで私は、”このクリームは、シルクを纏っているよう”と、モイネクリームの代名詞となる言葉を会社の人たちと一緒に考えた。
「私、美容とか……恥ずかしくて手を出したことがなかったんですが、思わず惹かれてしまって、はじめて自分で買ったんです。あ、私なんて、こんなお洒落なものを使っていいのか分からないんですけど……」
もう耳まで赤くなっている。
ドンナはどうやら想定以上に自己評価の低い女の子のようだ。こんなに可愛らしいのに、自分はそのことに気がついていない。資格なんて、使ってみたいな、って、ただそれだけでいいのに。皆、生まれた時から持っている当然の欲求だ。
「ありがとう、ドンナ。気に入ってくれて、とても嬉しい。これからも、使ってくれると嬉しいな」
私はドンナの強張る手にそっと触れた。
「ふふ、綺麗な肌なんだね、ドンナ。大事にしてね」
さらっとしたその美しい肌に、偽りのない言葉をかける。それが偽善に聞こえてしまっても構わなかった。まごうことなき正真正銘の感想なのだから、胸を張ればいい。
ドンナは大げさなほどに頷いて、はにかむように頬を綻ばせる。
それが私も嬉しくて、つられるように口元が緩む。
どうしてゾイアが彼女と一緒にいるのか分かったような気がする。
「それじゃあ、また会いましょうね」
「……はいっ!」
ドンナの音楽に負けないくらい大きな返事に、私は頭が澄み渡っていく感覚を覚えた。
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