『Pâtisserie Hina 〜夢と絆のスイーツ物語〜』

ユキワラシ

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第1章:「静かに始まる予感」

第7話:少しだけ、変わった景色

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昼休み、屋上に上がると、陽菜はすでに来ていた。

「おーい、朝倉くん! 早かったね!」

陽菜はいつものように元気に手を振りながら俺に近づいてくる。

「……俺が早いわけじゃないだろ」

「だって、いつも私が先に来てるじゃん」

「それはお前が勝手に早く来てるだけだろ」

俺はそう言いながら、席を取る場所を決めて、そのまま腰を下ろす。陽菜も、俺の隣に座った。

「まぁ、そうなんだけどね」

陽菜はふわっとした笑顔を浮かべ、弁当を広げる。

「ねぇ、朝倉くん、最近ちょっと顔が柔らかくなった気がするんだ」

「……そうか?」

「うん、無表情じゃなくなってきたというか。少しだけ、気を許してる感じ?」

俺は少し驚いたが、すぐに無理して何も言わないようにした。

「そんなことない」

「そうかなぁ。でも、前よりはちょっとだけ優しくなったと思うよ?」

その言葉に、少し心が動いた。

優しくなった、か。俺は無表情でいることが多かったが、陽菜と一緒にいるときは、確かに自然と顔がほころんでいることが増えてきた気がする。

「……そんなに変わったか?」

「うん、ちょっとだけど。なんだか、やっぱり私、朝倉くんと一緒にいると落ち着くんだ」

「落ち着く?」

「うん。なんていうか、無理して喋らなくてもいいし、静かな時間も心地いいし」

陽菜は言うと、目を細めて空を見上げた。

「でも、たまにはこうやって話してくれると嬉しいな。なんか、すごく特別な時間って感じがして」

その言葉に、俺は答えを探すように目を伏せた。

「……俺も、こうして一緒に過ごす時間は悪くない」

陽菜の目がぱっと輝いた。

「ほんとに?」

「……あぁ、悪くない」

その瞬間、心の中で少しだけ、何かが変わった気がした。

陽菜が笑う顔を見て、改めて自分がどう感じているのかが少しわかったような気がした。

「じゃ、これからも一緒に食べようね」

陽菜は嬉しそうに言い、弁当を食べ始めた。

その瞬間、僕の中で大きな壁が壊れるような気がした。

今までは一人で過ごすことが当たり前だった。でも、陽菜と一緒に過ごす時間は、どんどん特別になっていく。

***

放課後、校舎の廊下を歩きながら、俺は無意識に陽菜のことを考えていた。

「朝倉くん!」

背後から呼ばれる声に振り返ると、陽菜が笑顔で走ってきた。

「今日は、屋上じゃなくて一緒に帰ろうよ!」

「……帰りたいだけだろ」

「うん!」

陽菜はにっこりと笑い、そのまま俺の隣に並んだ。

その笑顔が、やけに眩しかった。
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