『Pâtisserie Hina 〜夢と絆のスイーツ物語〜』

ユキワラシ

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第1章:「静かに始まる予感」

第19話:試練の終焉

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木下瑠奈からの試練は、思った以上に過酷で、俺たちの関係を試すものだった。だが、どんなに厳しくても、俺と陽菜の絆は揺るがなかった。互いに信じ合い、共に乗り越える覚悟を持っていたからこそ、瑠奈の挑戦にも恐れることはなかった。

だが、次に瑠奈が出してきた試練は、今までのものとは少し違っていた。それは、俺たちがまだ考えもしなかったような問題だった。

***

放課後、またしても瑠奈が現れた。今回、彼女はあまり笑顔を見せず、真剣な表情で俺たちを見つめてきた。

「さて、最後の試練よ」

「最後の試練?」俺はその言葉に驚き、陽菜も少しだけ不安そうに顔を曇らせた。瑠奈は頷き、手に持っていた小さな箱を俺たちに差し出した。

「これが、あなたたちに与える最終的な試練。開けてみて」

俺はその箱を受け取り、ゆっくりと蓋を開けた。中には、さらに複雑で深い問いが書かれた一枚の紙が入っていた。それを取り出して目を通すと、そこに書かれていたのはこうだった。

「もし、あなたたちの絆がどんなに強くても、あなたが一人の人間として抱えている秘密が相手に知られたとき、その秘密を共有できるか?」

その問いに、俺は言葉を失った。秘密とは、必ずしも悪いことばかりではない。だが、それが相手に知られたとき、どんな影響を与えるのかは計り知れない。

陽菜もその問いを見て、しばらく黙っていた。そして、ゆっくりと口を開いた。

「朝倉くん、私たち、お互いに秘密を持っているよね?」

俺はその言葉に答えられずにいた。陽菜は少しだけ顔を赤くしながら、続けた。

「私、ずっと言えなかったことがある。でも、今は言わなければいけないって思う」

その言葉に、俺は驚きと共に胸が締めつけられるような感覚を覚えた。陽菜が抱えている秘密とは、一体何なのか。

「朝倉くん、私、実は……」

陽菜はそこで言葉を止め、少し震えるように俺を見つめた。その目に浮かぶ涙が、俺の心に刺さった。俺は少しでも陽菜を安心させたくて、彼女の手を取った。

「陽菜、何でも言ってくれ。俺はお前がどんな過去を抱えていても、お前を支えたい。ただ、お前が心から伝えたいことを、俺に教えてほしい」

陽菜は少しだけ顔を背け、その後にゆっくりと続けた。

「私は、前の学校で……ひどく傷ついた経験があるの。それが原因で、誰かを本当に信じることができなかった。でも、朝倉くんと出会って、少しずつその気持ちが変わってきた。でも、どうしてもその過去が消えないんだ……」

陽菜の目に浮かぶ涙を見て、俺はその手を強く握り締めた。

「陽菜、俺はお前の過去も、今も、全部受け入れるよ。お前がどんな過去を抱えていても、それが今のお前を作ったんだと思う。だから、俺はお前を受け入れる」

陽菜はその言葉を聞いて、少しだけ安堵の表情を浮かべた。そして、涙をぬぐいながら言った。

「ありがとう、朝倉くん。あなたが言ってくれるから、少し楽になった」

その瞬間、俺の心は温かくなり、陽菜との絆がさらに強く感じられた。そして、俺は次に瑠奈の方を見つめた。彼女はその様子を黙って見守っていた。

「瑠奈、俺たちはお互いの秘密を共有した。陽菜が抱えている過去も、俺がどう支えるか決めた。これが俺たちの答えだ」

瑠奈はしばらく黙ってその言葉を聞いていたが、やがて静かに頷いた。

「ふぅん……予想以上に強い絆を見せるじゃない。私が試したかったのは、この絆なの。あなたたちはお互いを信じ合ってる、そしてその絆が何より強いことが分かったわ」

瑠奈はその後、何も言わずに手を振り、去っていった。その背中を見送りながら、俺は心の中で確信した。これで、俺たちの試練は終わったのだと。

***

試練が終わり、俺と陽菜は学校の外で再び一緒に歩いていた。陽菜の顔には、少し疲れた表情が浮かんでいたが、それでも俺を見つめて微笑んでいた。

「ありがとう、朝倉くん。私、やっと自分を少しだけ受け入れられた気がする」

「俺も、お前がいてくれて本当に良かった。これからも、一緒に歩んでいこう」

二人で歩きながら、未来に対する希望が少しずつ膨らんでいくのを感じた。これからも、どんな試練が待ち受けていても、二人で乗り越えていける。陽菜と一緒なら、どんな困難も乗り越えられる気がした。

そして、俺たちの物語は、新たな一歩を踏み出した。
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