異世界転生ワールド

第2章・「歪んだ未来――時の試練」

第71話「真実の罠、ドーベルの陰謀」

ドーベルの罠

バーベル国王の言葉に続き、サラと紫苑はその後ろに現れた人物に驚愕した。突如として現れたのは、かつてバブロニア王国の王国を支配していたドーベルだった。彼の冷徹な目が、すべてを見通しているかのようにサラたちを見つめている。

「ドーベル…！お前が裏で糸を引いていたのか！」サラの声には怒りと驚きが混じった。

ドーベルは冷ややかな笑みを浮かべ、ゆっくりと語り始めた。「そうだ、すべては私が仕組んだ罠だ。バーベル、君は自分の過ちを悔やんでいるようだが、私にとってはただの駒にすぎなかった。」

バーベル国王は目を見開き、信じられないといった表情を浮かべた。「お前が…！父上、どうしてそんなことを！」

ドーベルはそのまま冷徹に続けた。「王国の力を持つことが全てだと考えていた私は、あらゆる方法でその力を引き寄せようとした。そして、君の忠誠心を試すため、暗黒軍との取引を進めた。それが全ての始まりだ。」

「そんな…！あなたが私たちの命を弄んだのか！」紫苑が怒りの表情を浮かべ、刃を握りしめた。

ドーベルは一歩踏み出し、冷徹な笑みを浮かべながら言った。「君たちの反乱、君たちの抵抗もすべて予測していた。私は最初から、君たちがどんな選択をするかを知っていた。そして、君たちがどんなに力を合わせても、この国を守ることはできない運命だったのだ。」

「そんなことが…」サラは愕然とし、言葉が出なかった。

ドーベルはゆっくりと周囲を見渡しながら言った。「私は全てを操っていた。そして、君たちがどれだけ立ち向かおうとも、結局は私の思い通りに進んでいくのだ。」

その瞬間、バーベル国王は震える手で拳を握りしめ、父を見つめた。「お前が、我が王国を裏切り、私を駒として利用したことを今でも悔やんでいる。しかし、今度こそ私はお前の手のひらから逃れ、この王国を取り戻す！」

ドーベルは一瞬、驚きの表情を浮かべたが、すぐに冷徹な表情に戻った。「無駄だ、バーベル。君は私を倒すことはできない。」

真実を知ったバーベル国王

サラと紫苑はそのやり取りを聞きながら、事態の重さを感じ取った。バーベル国王が父であるドーベルに操られ、裏切りの道を選ばざるを得なかったこと、そのすべてがドーベルの巧妙な陰謀だったのだ。

「私が王国を支配したい、ただその一心で父はすべてを操った。」バーベル国王は苦しそうに語った。「しかし、今、私はその過ちを正すために戦う。君たち、そしてこの王国のために。」

紫苑は静かに頷いた。「過去の過ちに縛られていても、今は未来のために戦うしかない。」

「その通りだ、紫苑。私たちは過去を悔やむだけでは前には進めない。」サラも強く言った。「ドーベルを倒し、私たちの王国を取り戻す。今こそ、私たちが立ち上がる時だ！」

バーベル国王はその言葉を聞いて決意を新たにした。彼はもう一度、父に向かって力強く言った。「ドーベル、お前の支配はここで終わる。私たちの手で、終わらせる！」

決戦の幕開け

ドーベルは冷笑を浮かべながら、手を振り上げた。「そうか、ならばお前たちの最後を見届けよう。」

その言葉と同時に、ドーベルの手から闇の力が放たれ、戦場を包み込んだ。バーベル国王、サラ、紫苑はそれぞれ剣を抜き、闇の力に立ち向かう準備を整えた。

「私たちの未来を、この手で掴み取る！」紫苑が叫び、サラも力強く言った。「私たちの王国を守るため、何としてでも勝つ！」

次回、第72話「運命の決戦、暗黒の王との対決」では、ドーベルの陰謀に立ち向かうため、最終決戦が始まる――。