さすがに異世界では学校に行くよ!

キムチ鍋

文字の大きさ
25 / 44
転校生と姫の騎士編

第25話 騎士の力

しおりを挟む
王様は一人の兵士に問いかけた。
「何人......死んだんじゃ?」
「分かりません......おそらく、20人ほどは......」
兵士たちの中には必死に涙を堪える者や涙を流して膝をついている者が多くいた。
「彼らに黙祷じゃ」
朝日とステラとサアヤと王様と兵士たちはそれぞれ目を閉じた。朝日はヘルの顔を思い浮かべ、拳を握り、歯を食いしばった。一人の兵士が王様に近付いて、膝をついた。
「申し訳ございません......我々の不注意でした」
「いや、お主たちのせいではなくわしの......」
朝日が大きな声を出して、口を挟んだ。
「いいや、城の警備を崩したスパイがいたんだろう」
王様たちは驚いた表情をしている。
「王様......あんたこの門の外で何人の兵士が見張りをしていましたか?」
「四人じゃが......」
ステラはこの城に来た時のことを思い出した。思い返すと、城の門の前には兵士など一人もいなかったことに気が付いた。
「俺達がここに来た時は0人......誰も見張りなんてしていなかったんですよ。おそらくそこにいた四人はスパイに殺されたんでしょう」
朝日は王様の前で膝をついている兵士に歩み寄った。
「そしてこれは賭けですが、もしそのスパイが剣を使い兵士を殺し、その血痕を吹き忘れていたのなら......」
朝日はその兵士の鞘から剣を抜いた。その銀色の刀身には赤色の血がこびりついていた。
「当たりだな」
その兵士は悔しそうに歯を食いしばっている。朝日は躊躇うことをせず、その剣で兵士......スパイを斬りつけた。スパイはそのまま光と共に消滅した。
ステラたちはあまりにもスパイとはいえ人を斬ることに躊躇いを持たなかった朝日に少し恐怖を覚えた。
「お手柄......じゃな......」
ステラは何より朝日の頭の回転の速さに驚いていた。
「あんた意外と頭良いのね」
しばらくして、黒いスーツを着た魔法警察の者達が現れ、王様の城は水の魔法で消火され、兵士と魔法警察は犯人が近くにいることを仮定して、搜索していた。城には黒い焦げ跡が多々残っている。
王様が口笛を吹くと、どこからともなくあのイッカク羊が現れた。
「では、朝日くん。娘を頼んだぞ」
朝日とステラとサアヤはイッカク羊の背中に乗った。イッカク羊は羽を大きく広げ、大空へと飛び上がった。
「父上......どうか死なないで......」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
大空の上で朝日はサアヤに問いかけた。
「なあ。お前って戦えるのか?」
「まあね。私だけ何もしないのは嫌だから」
朝日はサアヤがヘルの手下を倒した時の言葉を思い出した。
「そういえば、使い魔って誰でも使えるのか?」
「素質があればね。それに使い魔が必ず自分とまったく同じ姿になるわけじゃないけど」
「そうか......」
ステラは相変わらず、朝日の腰に抱きついて、目を閉じている。
「やっぱり怖い......」
朝日はステラを見て、ステラが使い魔を召喚することを考えた。
(帰ったら試してみるか......それに......)
ステラの後ろで涼しい顔をしているサアヤを見た。
(そういえば王様は戦争のことを覚えていたな......)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
しばらく風に揺さぶられ、屋敷にイッカク羊と朝日たちはたどり着いた。三人はイッカク羊の背中から飛び降りた。朝日は荷物を剣以外持っていないサアヤを見た。
「そういえば、お前着替えとか持って来たのか?」
「着替えなんてさっきので燃えちゃったわよ」
冷たく答えるサアヤを朝日は呆れた目で見た。
(こいつ......本当に可愛いくねえ。まだステラの方がデレは多いぞ。こいつの場合ツンっていうかただのトゲだ)
ステラはイッカク羊の頭を撫でながら言った。
「それじゃあ、私の服とか貸すわね」
サアヤは案外素直に答えた。
「悪いわね。ありがとう」
三人が屋敷の庭に入ると、イッカク羊は羽を広げ、空へと羽ばたいて行った。朝日たちは屋敷のドアを開けて、中に入った。マイサンが尻尾を振り、朝日に飛びかかった。
「ご主人様!おかえりなさいだわん!」
サアヤは目を大きく見開いている。
「喋る犬?」
「まあ、色々あってな」
そこから、由奈、ユウ、ナナが食堂のドアを開け、顔をのぞかせている。
「おや、お嬢様......その方は......」
「お姫様のサアヤちゃんよ」
三人は驚きのあまり声を上げた。
「ええええええ!!」
朝日たちは食堂に入り、これまでにあったことを話した。
「......というわけなんだ。また居候が一人増えたんだよ」
ユウはサアヤにカップを出し、そこに紅茶を入れた。
「ありがとう」
「そういえば、お前に聞きたいことがあるんだけど」
朝日は腕の中にいるマイサンを地面に放した。
「お前のお父さん......王様から奇妙な話とか聞いたことないか?」
サアヤは何かを思い出そうと天井を見た。
「うーん......そういえば、私が小さい頃に父上は違う世界から来て戦争がどうとか話してたような......」
(間違いない......王様も俺や由奈と同じ......)
由奈が目を輝かせて言った。
「ってことは王様も私や朝日くんと同じ異世界から来たってことね」
ナナがマイサンを抱っこしながら言った。
「つまり、サアヤちゃんは異世界人の血を引いてるわけね」
サアヤは特に興味を持とうとせず、紅茶を飲んだ。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
次の日......屋敷の庭で朝日とサアヤは木で作られた剣を片手に握り、向かい合っている。そんな二人を由奈、ユウ、ステラ、ナナ、ナナの腕の中にいるマイサンが緊迫した雰囲気の中、見守っている。
「あなたが本当に私を守れるか試してあげる」
サアヤは朝日をあざ笑うような目で見ている。
「上等だ。このトゲ姫野郎......」
すると、朝日の目の前からサアヤの姿が消えた。次の瞬間、朝日の身体に強い衝撃が走る。サアヤが朝日の脇腹に一太刀加えたのだ。
「くそ......速い...」
「あらあら。あなた私にも勝てないで私を守ろうとしたの?馬鹿ね」
朝日は歯を食いしばり、立ち上がりサアヤに突っ込んだ。
「うおおおお!!」
「単純な攻撃ね......」
サアヤはひらりと鮮やかに朝日をかわし、朝日の頭を木の剣で叩いた。朝日は地面に倒れた。
「そんなんだから誰も守れないのよ」
朝日の身体がぴくっと動いた。
「......ああ......そうさ......俺は弱い......それゆえに誰も守れない......だが......」
朝日の身体を黒いオーラが包んだ。
「今から強くなって全部守るんだよ......王様も......ステラや由奈、マイサン、ユウさん、校長、ナナ......学校......そして......」
朝日は木の剣を構え、サアヤに飛びかかった。
「お前のこともなあ!!」
サアヤは顔を赤くしたが、すぐには元の色へと変わった。朝日の背後に大きな黒い犬の影が一瞬見えたからだ。気が付くと、サアヤの剣は地面に転がっていた。
ステラたちも目を大きく見開いていた。
「今の......なに?」
マイサンの身体が少し震えている。
「今のはご主人様の......」
朝日は地面に倒れた。すると、校長が庭の中に入って来た。どうやら二人の戦いを見ていたようだ。
「校長先生!?」
校長は倒れている朝日の前に立った。
「話しておきたいことがありましてね......」
サアヤは朝日の背後の犬の影のことを思い出している。
(あの犬は......なんだったの......)

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

処理中です...