さすがに異世界では学校に行くよ!

キムチ鍋

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王国の危機と田舎の危機編

第36話 信じる女神

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朝日たちは机を囲み座った。カイが魔法新聞を机の上に広げた。カナは部屋で眠らせている。
「ここを見て......」
カイが大きく掲載されている記事を指さした。そこにはこう記されていた。
「魔界に王様が捕えられ、王様の公開処刑が今日の夕方に結構されることが分かった。魔法警察と兵士たちは何度か奪還しようと試みたが力及ばず多くの犠牲を出した。また生徒も何人か殺されているとの話だ。我々は黙ってこの国の終わりを見ることしかできないのだろうか」
朝日たちはすぐに自分たちがすべきことが分かった。朝日は二つの刀を腰に巻き付け、サアヤも腰に剣をぶら下げた。
「ステラ、由奈、ナナ、マイサン......分かるよな?」
ステラたちは落ち着いた様子で笑顔をこぼした。
「私たちにはそれしかできないもんね。朝日とサアヤちゃんなら大丈夫よ」
マイサンが尻尾を振りながら言った。
「今回はおいらも手伝うわん!」
朝日はユウを見ながら言った。
「ユウさん......移動魔法を使えますか?」
ユウは長い袖を捲り、自信満々な表情で言った。
「任せなさい!」
春樹とカイは六人と一匹のテキパキした行動を見て、笑顔になった。
「ユウ!私も力を貸すわ!春樹!あんたも朝日くんたちに着いて行きな!」
春樹は戸惑いを隠せなかった。
「おらも!?」
「魔界だかなんだか知らないけど、ぶっ飛ばして来なさい!」
春樹は笑顔で大きく頷いた。
「分かった!朝日!そういうことだ」
「頼りにしてるぜ」
朝日と春樹は熱い握手を交わした。春樹は弓を背中に背負い、矢筒を腰に巻き付けた。朝日、サアヤ、マイサン、春樹は庭の中心に集まった。ユウとカイは両手を突き出した。ユウが少し不安そうな表情で言った。
「朝日くん!私たちの街を取り返してね」
朝日は満面の笑みで答えた。
「当たり前だ......街取り合戦だ!」
三人と一匹を青色の光が包んだ。そして、朝日たちの姿は消えた。ステラが胸に両手を置いた。
(信じてるから)
カイは白いタオルを首に巻きながら言った。
「じゃあ、みんなで畑仕事やるか!」
ちょうどその言葉と同時にカナが目をこすり、あくびをしながら起きてきた。
「お兄ちゃんたち出かけたの?」
ナナがカナの頭を撫でながら言った。
「そうだよ。カナちゃんはお姉ちゃんたちと畑仕事やろうね!」
カナは眠気が吹き飛んだように目を大きく開いた。
「お仕事するの!?わーい!」
残された六人はそれぞれ麦わら帽子と白いタオルやわ首に巻いて、外へ出た。イッカク羊は翼を広げ、空へと舞い上がった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
朝日たちは森の中に立っていた。朝日とマイサンにはすぐにどこだか分かった。
「ここは学校の近くか......」
朝日たちは草の中に隠れ、学校の校庭の様子を観察した。そこには土を必死で桑で殴っている生徒たちがいた。マイサンがその光景を見つめながら言った。
「イッカク羊のあの子は王様は学校の中に連れて行かれたって言ってたわん」
サアヤが所々に立っている黒色のローブの男を見ながら言った。
「でも、見張りがいるわね......どうしましょう」
朝日が余裕のある表情で春樹を見た。
「春樹......出番だ。あそこにいる見張りを全員撃ち抜けるか?」
春樹は矢筒から矢を一本取り出した。
「余裕だな......おらは矢術には自信があるんだ」
朝日とサアヤとマイサンは昇降口の近くの茂みに移動した。そして、三人の見張りが地面に倒れ、消滅した。
「なんだ!?」
他の七人いる見張りは取り乱し、周りを見渡した。次は四人が地面に倒れ消滅した。
「どこからだ!」
すると、昇降口から多くの見張りがゾロゾロと現れた。その列が途切れた瞬間にサアヤとマイサンが中に入った。サアヤとマイサンは走りながら数分前の朝日の言葉を思い出していた。
「マイサンとサアヤ......お前らは生徒が閉じ込められている場所を探して、生徒たちを解放するんだ。おそらく、みんなかが捕まっている教室は鍵がかかってるはずだ。マイサンはその鍵穴に合う鍵に変身するんだ。そんで、サアヤは鍵になったマイサンを使って生徒を解放しろ。見張りは春樹の奇襲で少なくなるはずだ。生徒を解放したらサアヤは校内で王様を探してくれ。ついでに残ってるやつらも倒してほしい。見つけたら何かしらの方法で合図してくれ。そして、マイサンは校庭の見張りが全滅したら生徒たちを逃がしてくれ!」
サアヤは片っ端から教室の扉を開けた。すると、どうやっても開かない鍵のかかった教室を見つけた。
「マイサン!」
マイサンは鍵穴をじっくり見つめ、鍵穴から離れると身体が金色の光で包まれた。次の瞬間、マイサンは金色の鍵に変わっていた。
「早く使うんだわん!」
サアヤは鍵を鍵穴に入れ、回した。扉を開けると、そこには無数の生徒が地べたに座っていた。サアヤを見た生徒たちの目に希望の光が灯ったのだ。
「助けが来たぞ!」
サアヤは騒ぐ生徒をなだめた。
「悪いけど、みんなにはもう少しここにいて欲しいの......逃げて良い時は喋る犬が来るから」
生徒たちは案外簡単に受け入れた。サアヤはゆっくりと教室の扉を閉めた。そして、鞘から剣を抜いた。マイサンは元の姿に戻った。
「それじゃあ、マイサン......待っててね」
マイサンは強く頷き、昇降口を出た。サアヤは階段を登った。朝日は物陰から教室の窓を見ていた。
(おそらく、生徒と同じ場所に王様を捕まえない......少し危険だがサアヤ......頑張ってくれ)
校庭では多くの見張りが矢に貫かれ倒れた。気がつくとその場にいた見張りはもう全滅していた。マイサンはもう一度昇降口に入り、教室の扉を口で開けた。
「みんな!逃げるんだわん!」
生徒たちは歓声を上げながら外に出て行った。校庭にいた生徒も矢の雨が止むと校門から飛び出して行った。ある教室からユグドラがその光景を眺めていた。
「なんなんだ......誰の仕業だ?......良かったなあ。国の未来を作る子供が逃げられて......まあこの国に未来なんてないがな」
ユグドラの視線の先には手足を鉄の鎖で縛られている王様がいた。
(まさか......朝日くんか......)
サアヤは道行く黒色のローブを切り倒していた。二階を全て調べ尽くし、三階に辿り着いた。
(父上......必ず助ける!)
サアヤは直感的に三年一組の教室の扉を蹴り破った。そこには教壇の上に座ったユグドラ、そして鉄の鎖で縛られた王様がいた。
「父上!!」
王様は目を見開いた。
「サアヤ!?」
ユグドラが腰にある鞘から剣を抜いた。
「おやおや。お前の子供か?なら殺した方が良いな」
サアヤは剣を構えた。
「やる気か?そうこなくちゃ......」
ユグドラの視界からサアヤが消えた。刹那、ユグドラの腹に衝撃が走った。サアヤがユグドラを蹴り飛ばしたのだ。その勢いは凄まじく、窓を突き破りユグドラは外に突き出された。朝日はそれがサアヤの合図だと判断し、二本の刀を鞘から出した。ユグドラは地面に転がった。
「油断したか......だが、すぐにそこに行ってお前を......」
「殺させねえよ」
どこからか朝日の声が響いた。
「貴様......鈴木 朝日か!?......どこだ?」
「ここだ!」
朝日はバツ印の銅像の頂点に立っていた。
「この街は渡さねえよ。この街は俺の大切な人と出会った大切な場所なんだ......誰にも渡さない」
朝日は二つの刀を振り上げた。そして、バツ印の銅像を斬り裂いた。
「馬鹿な......銅像だぞ!?......それを斬り裂いただと!?」
朝日は地面に降り立ち、ゆっくりとユグドラに歩み寄った。
「お前は絶対に許さねえ。校長の仇を......」
ユグドラは不敵に笑った。
「良いか?やつを殺したのは俺じゃない......」
「なに!?じゃあ誰だ!?」
ユグドラがゆっくりと空を見上げた。
「お前も良く知ってるやつだ」
すると、どこからか無数のナイフが雨のように朝日めがけて降って来た。朝日は全て叩き落とした。気付くとユグドラの隣に誰かがいる。朝日はその女の顔を見て唖然とした。
「お......母さん?」
リューネはナイフを朝日に投げつけた。ナイフは見事な朝日の胸に突き刺さった。
「朝日!!」

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