さすがに異世界では学校に行くよ!

キムチ鍋

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希望の未来への世代交代編

第38話 やっと平和になったぜ

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朝日は一日中あることを考えていた。それは朝日がユグドラと戦った時に、その隣にいた女......リューネについてだった。朝日はその女が自分の母親で間違いないと踏んでいた。だが、なんでそこにいるのかが分からないのだ。深く考えていると、徐々に自分を呼ぶ声が聞こえた。すると、朝日の頭に衝撃が走った。
「いでええ!ゴリラの襲来か!?」
「あなたの死の襲来よ」
朝日は怒りに満ちたサアヤが視界に入り、固まった。ステラは呆れた表情で首を横に振った。由奈は苦笑いをして朝日を見ている。そして、朝日はサアヤに蹴倒されたのだった。ステラが倒れた朝日の椅子を立てな直しながら言った。
「襲来するのはゴリラじゃなくてテストよ。ゴリラなんかよりよっぽど手強いわよ」
サアヤが涙目でステラを見た。
「ステラちゃん!?」
「いやいや!別にサアヤちゃんをゴリラとは......」
「自分がか?」
朝日は余計な口を挟み、ステラの強烈な肘打ちを喰らい地面に倒れた。
「わたしたちはか弱いレディなのよ」
朝日が顔をゆっくり上げながら小さい声で言った。
「男を蹴り飛ばしたり、肘打ちするやつをか弱いとは言わねえよ......」
朝日はステラの言葉をもう一度頭の中で流した。
「ん?ちょっと待て......何が襲来するって言った?」
由奈が朝日の埃まみれの頬をハンカチで優しく拭きながら言った。
「テストですよ。二週間後はテストだってさっきの授業で先生が......」
朝日は両手で頭を押さえながら叫んだ。
「な......なんだってえええええええ!」
そう。彼が元の世界にいた時に高校を中退した理由の一つが......赤点祭りによるものだったのだ。朝日は由奈とステラとサアヤの顔をそれぞれ見ながら言った。
「まさかお前ら"レッドマスター"じゃないよな?」
レッドマスターとは赤点を極めし者のみに与えられる称号である。
「言ってることはよく分かんないけど、私は前にやったテストで一位だったわよ」
朝日は目を丸くして尋ねた。
「前?俺が来る前にテストやったのか?そういえば俺は初めて受けるなここのテスト......」
由奈はハンカチをポケットにしまいながら答えた。
「この学校では年に一回しかテストがないんですよ。ここは主に魔法や剣術を学ぶ場所ですから」
朝日はテストが年に一回という単語を聞いて、希望に満ちた目に変わった。
「まあ、一個でも赤点取ったら一ヶ月間放課後と土日に補習よ」
朝日の目は絶望に満ちた目に変わった。
そんな朝日を由奈が肩を優しく叩きながらなだめた。一方、サアヤは不安そうな表情をしていた。
「私......勉強とか苦手だけど大丈夫かな」
ステラが自信満々な表情で言った。
「大丈夫!私たちが教えてあげる!」
ちなみに由奈は学年二位らしい。朝日がキメ顔で親指を立て、歯を輝かせた。
「サアヤ......お前ならいけるぜ。頑張れよ」
「あんたもやるのよ」
こうして朝日たちのテスト勉強が開始されたのである。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
放課後......朝日たちは図書館にいた。本棚たちに囲まれ、朝日が気だるそうに言った。
「なんだ?戦争でもするのか?」
ステラが小さな声で囁くように言った。
「しないわよ。参考書とかあるから探すのよ」
仕方なく朝日はその参考書とやらを探し始めた。朝日たちはあちこち探し回ったがどこにも見当たらない。しばらく探し回ると本と本の間に紙切れが挟まっているのが朝日の目に入った。
「なんだこれ」
朝日はその紙切れを手に取った。そこには歪な字でこう記されていた。
「"龍滅病"......五十年前に流行した病気。龍をも滅ぼすと言われる病気で一度感染すると、どんなことをしても治ることはなく、ただ最期を待つことしかできない不治の病。両親などが子供を産む前に感染すると、子供にも感染すると言われている。感染力はそれほど強くないため稀である」
朝日が夢中でその紙切れを読んでいると、朝日の肩を誰かが優しく叩いた。サアヤが小さい本を片手に持ちながら言った。
「参考書見つけたけど......何してんの?」
朝日はとっさにそれを制服のポケットに閉まった。
「い、いや!面白そうな本があったから......」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
どこにでもあるような家......その家のある部屋では女の人が息を荒くしながら横たわっている。その横にはその女の手を優しく握る金髪の少女がいた。
「あなたは......ちゃんと......」
その言葉を最期に女は力なくゆっくりと目を閉じた。
「お母さあああああああん!」
その少女の周りの景色は歪み、目の前に翼を持った龍の影が現れた。その龍の翼は片方だけ炎が消えるようにして消滅した。龍はたくましく雄叫びをあげた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ナナは身体を思い切り起き上がらせた。ナナの額には汗が滲み出ている。太陽の光が畳部屋を照らしつけている。台所では洗い物を洗う音が響き渡っている。
「夢......じゃなくて......」
すると、ナナの部屋の扉が強く開けられた。そこにはカナが笑顔で立っている。
「お姉ちゃん朝だよー!おはよー!」
カナはナナに飛びついた。
「カナちゃん......朝から元気だね。おはよう」
マイサンがあくびをし、身体を伸ばしながら歩いて来た。
「あ、マイサンおはよう。まだ眠そうだね」
「おはようだわん......」
ユウが皿を机に並べながら言った。皿には焼き魚が盛り付けられている。
「今日は畑仕事お休みだからゆっくりしなさい」
遠い目をしているナナはその言葉が聞こえていないようだ。
「ナナちゃん?」
ナナは我に返った。
「あ!ごめんなさい!考え事してて......ん?」
ナナの目は用意されている朝食を見ると輝き始めた。
「焼き魚だ!うまそう!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ナナは緑色のパーカーを着用し、短パンを履なか、青色のツバつきの帽子を被った。庭で花に水を与えているユウに言った。
「ちょっと出掛けてくるわね」
「はーい。気を付けてね」
カナはマイサンの尻尾を掴みながら眠っている。ナナは田んぼ道をしばらく歩き、森の中へと入って行った。少し奥に進むと、見覚えのある後ろ姿の男女が矢筒を腰に巻き付け、弓を背中に背負い立っている。
「あれ?ナナ?どうしたの?」
カイがナナの方を見ながら言った。それにつられるように隣にいた春樹もナナを見た。春樹が耳を立てながら言った。
「本当だ......この森は結構危ないぞ?熊とか猪とかいるし......」
ナナは二人に頭を下げた。その声は少し震えている。
「私に弓を教えてください!」
予想だにしなかったナナの言葉にカイと春樹はお互いの困った顔を見合った。
「私は別に構わないけど......」
「俺も構わんがなんでだ?」
ナナは顔を上げ、二人を真っ直ぐな目で見つめた。
「大切な人を守るため......前に同じようなことをしてその人に怒られたこともあったけどやっぱり私は......」
カイが優しく微笑み、ナナの肩に手を置いた。
「分かった......じゃあ、まずは弓を作りましょう」
ナナの弓矢修業が始まったのだ。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
桜ノ宮高校の一階にある校長室の前に男が立っていた。白い髪の毛をちらつかせながら、校長室の扉を開けた。その男は不気味に鼻で笑うと、男の姿形は変わった。細身だった身体に肉が付き、白く長い前髪をかきあげた。白いスーツに身を包んでいる。
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