さすがに異世界では学校に行くよ!

キムチ鍋

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希望の未来への世代交代編

第39話 って言ってるそばから......まあ知ってた

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朝日、サアヤ、由奈、ステラは二階にある教室に向かうべく、階段を上っていた。
「今日の魔法新聞のやつ本当なのか?」
朝日が朝に見た魔法新聞の記事について思い出した。ステラが腕を組みながら答えた。
「新しい校長でしょ?本当じゃなきゃ載せないわよ」
由奈はボーッとしていたのか、階段で躓き膝を階段の角にぶつけた。
「いたたた......」
サアヤが痛々しそうに由奈の青くなった膝を見た。
「大丈夫!?......青くなってるじゃない!保健室に連れてかないと!」
朝日とステラも由奈のもとに駆け寄った。ステラがしゃがみ、由奈の打撲した膝を見つめながら言った。
「でも、確か次は新校長の挨拶だよ?」
朝日はステラに自分の革で出来た黒いカバンを預けた。
「歩けるか?」
由奈は階段の手すりに捕まり立とうとするが膝が震えている。
「ごめんなさい......手を貸していただけるとありがたいです」
朝日はため息を吐き、由奈の近くに歩み寄った。その距離に由奈の頬は赤くなった。次の瞬間、由奈の身体が一瞬宙に浮いたような感触になった。由奈は気が付くと朝日にお姫様抱っこをされていた。それにはステラとサアヤも顔を赤くした。ステラが腕を縦に振りながら言った。
「ちょっと朝日!!何やってんのよ!」
サアヤも同じように大きな声で言った。
「そうよ!由奈ちゃんも嫌がってるんじゃないの!?」
由奈が囁くように言った。
「私は......嫌じゃ......ないです」
「と、いうわけだから俺たち少し遅れるから先に行っててくれ」
朝日はゆっくりと階段を下って行った。
由奈の体を朝日の温もりが包んでいる。ステラは頬を膨らませた。サアヤはたくましく見える朝日の後ろ姿を眺めている。朝日はしばらくしてから保健室に辿り着いた。静かに扉を開けた。そこには誰もいない。朝日は由奈を椅子に座らせた。
「まだ痛むか?」
「うん......結構痛いです」
朝日は高い位置にある棚の中から包帯を取り出した。その隣に三個ほどの黒い手裏剣も置いてある。朝日は包帯を由奈の足首に優しく丁寧に巻いた。由奈は恥ずかしく感じ、朝日から目を逸らしながら言った。
「あ、ありがとう......」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
体育館では多くの生徒たちが集まっている。生徒たちは黙ってステージの教壇を見つめている。しばらくの沈黙の後、一人の男がゆっくりと大きな幕の影から足首と共に現れた。白く長い前髪をかきあげ、鋭い目つきに赤い瞳で細い身体に白いスーツを着ている。
「こんにちは......私が新しい校長先生です。名前はディースです。よろしくお願いします」
新たな校長が頭を下げると生徒たちはディースに拍手を送った。ディースは頭を上げた。
「では、早速ですが私の独断で新しい校則を作りました。それは私には絶対に逆らわないというものです」
その言葉に生徒だけでなく、その場にいた教員もざわついた。
「それでは......私はこれで......」
そこにステラが手をあげて、大きな声で叫んだ。
「待ってください!そんなの"はいそうですか"ってなるわけないです!」
周りの生徒もステラに賛同するようにざわつき、様々な声が聞こえてくる。
「そうだそうだ!勝手に決めるな!」
「そんなの独裁だ!」
ディースは舌打ちを響かせた。その舌打ちの音に生徒たちは気付かず、ディースに罵倒し続けた。
「だまれえ!優しい顔をすれば......俺を怒らせたことを後悔するんだな」
ディースはこの騒動を始めるようにしたステラを睨みつけた。
(あいつは......)
一瞬だけディースは不気味に笑った。
「おい!そこの赤毛の女!生意気なこと言いやがって......」
ディースは右手を突き出した。すると、ステラが立っている地面に黄色の魔法陣が現れた。
「雷の魔法」
その魔法陣から雷が現れ、ステラの体を電気ショックが包んだ。
「きゃああああああああ!」
ステラはゆっくりと地面に倒れた。サアヤが慌てて駆け寄った。
「ステラちゃん!!」
ステラは完全に気を失っていて、呼びかけても返事がない。サアヤはディースを鋭く睨みつけた。
「なにすんのよ!こんなの体罰よ!」
ディースはステージから飛び降り、胸ポケットから小さなナイフを取り出した。
生徒たちは悲鳴を上げ、ディースが行く道を空けた。ディースはサアヤの元に辿り着いた。
「お前もか......俺にそんなことを言うなんて......二人共死刑だ」
すると、ディースのナイフをどこからか飛んできた黒い手裏剣が吹き飛ばした。
「あれ?新しい校長先生がいるって聞いたんだけど......どこにもいないじゃん」
ゆっくりと足音がサアヤたちに近づいてきた。サアヤたちには聞き覚えのある朝日の声だ。
「いるのはただの......独裁者だ」
朝日は腰にある二本の刀をそれぞれ鞘から抜き、刀身をディースに向けた。
「お前は確か......お前も俺に逆らうなら死刑だ」
ディースは左手を空に伸ばし、魔法陣を出現させた。そこから黒い光が朝日目掛けて飛んできた。朝日はその光を刀で切り上げた。光は空中で爆発した。
「早くみんな逃げろ!!」
生徒たちは朝日の叫びを聞き、続々と体育館から走り去って行った。ステラとサアヤはその場に残っている。
「お前......もしかして......ティアーノか?」
大した根拠などない。朝日はただなんとなくそんな気がしたのだ。ディースが鼻で笑うとディースの身体を黒い光が包んだ。光が消えると、ディースの身体は細くなり朝日が言うティアーノの姿に変わっていた。
「その通り......ご名答ですよ......」
朝日は背後に殺気を感じ取り、振り返った。そこには朝日に剣を振ろうとしているヴァレールがいた。
「死ね......」
朝日は死を覚悟し、目を閉じると金属音が響いた。目を開けると、サアヤがヴァレールの剣を自分の剣で受け止めていた。
「貴様......速いな......何者だ」
「このバカを守り守られる......戦うお姫様よ!」
サアヤは力いっぱいヴァレールの剣を振り払った。サアヤと朝日は背中を合わせた。
「戦うお姫様とか自分で言うか?」
「うるさいわね。早くこいつらをぶっ倒すわよ」
朝日膝を曲げ、は二本の刀を構えた。
「ぶっ倒すとか言ってる時点でお姫様じゃねえよ」
次の瞬間朝日とサアヤの姿が消えた。ヴァレールとティアノスはお互いに背中を合わせた。すると、二人を黒色の光が包み光が消えると、一人に合わさっていた。そこにはまるで悪魔のようなものが立っていたのだ。黒色の筋肉質な体に、二本の牛のような角、コウモリのような大きな羽、トカゲのような尻尾でさらには両手で大きな斧を持っている。
「どこからでも来い」
不気味な声が響くと、悪魔の斧に衝撃が走った。朝日が二本の刀で斧に攻撃したのだ。朝日の攻撃を押さえるのに必死な悪魔はもう一人の存在を忘れかけていた。悪魔の背中に衝撃が走った。サアヤによって片方の羽が切り落とされたのだ。悪魔は悲鳴をあげる暇もなく、朝日なや首を切り落とされた。悪魔の首が地面に転がった。朝日とサアヤは刀と剣をそれぞれの鞘にしまった。
「案外楽勝だったな」
「二人かがりでなんとかなったのよ」
朝日とサアヤがその場を立ち去ろうとした時、苦しそうな不気味な声が響いた。悪魔が頭を切り離されてもなお、喋り続けていのだ。
「我々の目的はもう一つある......ここで騒ぎを起こせば......城の兵たちが......」
その言葉を最期にもう不気味な声は聞こえなくなった。悪魔が息絶えるのと同時に体育館にゾロゾロと多くの銀の鎧を纏った兵士たちとスーツ姿の魔法警察の男たちが入ってきた。朝日はそれを見て、悪魔が言った言葉を思い返した。
「まさか......」
朝日は体育館から走り去って行った。ステラは痛む体をサアヤに支えてもらいながら立ち上がった。
「朝日!?」
(奴らは次の女王になるサアヤを狙ってここに来た......だがもしも失敗したら......王様を殺る気か!?)





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