さすがに異世界では学校に行くよ!

キムチ鍋

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希望の未来への世代交代編

第40話 日々

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桜の木々が王城よ周りを囲んでいる。王様は自分の王座に座り、一人の兵士と会話していた。兵士は膝を付け、頭を下げている。
「桜ノ宮高校の新たな校長が暴れているだと......すぐに兵士たちを向かわせるんじゃ」
兵士はその場から走り去った。しばらくしてからその兵士は戻って来た。
「全軍出撃させました」
「そうか......お主には家族がいたかのう?」
兵士は冷汗を流しながら言った。
「います......嫁と子供が一人......」
兵士は背中に隠している右手に何かを握っていた。王様はその兵士の目の前まで歩み寄った。
「そうか......お主は確か指揮官だったのう......これからも期待してるぞ」
兵士は大きく目を見開き、王様の胸にナイフを突き刺した。兵士の身体は震えている。
「こ......これは......その......」
王様は優しい目で兵士を見つめながら言った。
「知っておるぞ......お主がこんなことをする理由......」
数時間前......城の中庭で一人の兵士が立っていた。その背後に突如として、黒いローブを着て、フードで顔を隠した者が現れ、兵士の口を塞いだ。
「よく聞け。これから大きな事件が起きる......お前は指揮官だろ?その事件に全軍出撃させるんだ。そして、その後王様を......もしも失敗したり、誰かに話したらお前の家族は無事ではすまないぞ」
兵士がその手を振りほどくと、その人物の姿はもう消えていた。兵士は悔しそうに拳を握った。そんな様子を物陰から王様は聞いていたのだ。
王様は胸からナイフを抜き、流れる血を見つめた。
「あの時に助けるべきじゃったんだが......もう世代交代の時期じゃったからのう......ちょうど良い......それに......家族を失うなんて経験を大事な仲間にしてほしくないんじゃ」
王様の自己犠牲な考えに兵士は目から涙を流した。
「そんな......ごめんなさい......こうするしかなかったんです......」
そこに急いでこちらに向かってくる足音が響いた。王様は開いた部屋の扉を見ると、汗を流し肩で息をする朝日とサアヤが立っていた。二人は血を流している王様を見て、目を大きく見開いた。サアヤは近くでうずくまっている兵士を睨みつけ、胸ぐらを掴み、鞘から剣を抜いた。
「お前が......お前が父上を......やったのか?」
王様はその言葉が響き終わると、地面に倒れた。朝日は王様に駆け寄った。
「サアヤ!!そいつより王様の手当だ!」
サアヤは舌打ちをし、震える兵士を地面に叩きつけた。
「父上!!今助けるからね!?大丈夫だからね」
王様は震えるサアヤの手に優しく自分の手を置いた。
「もう無理じゃ......心臓が......」
朝日が震える声で言った。
「もう喋んないでくださいよ......喋ったら...」
サアヤの目から涙が零れ落ちた。王様が弱々しい声で言った。
「どうかその者を恨まないでほしい......彼は家族を人質に取られ仕方なかったんじゃ......わしにはこれくらいしかできんからのう......」
サアヤは王様の手を強く握りしめた。
「父上......逝かないで......私を独りにしないで......」
王様はにこやかに微笑んだ。
「お前の母親はお前に会わずに死んでしまって......小さい頃から態度が大きくて友達が少なく、最近まで城に引きこもっていたんじゃったな......サアヤ......お前はもう独りじゃない......朝日くんやステラちゃん......たくさんの友達がいる.....」
王様は遠い目でサアヤを見つめた。
「本当に......大きくなったのう......今のお前を妻にも見せてあげたいよ」
王様とサアヤの頭の中で今までお互いが支え合った日々が蘇った。王様にはサアヤを育てた日々、サアヤには王様に育ててもらった日々が頭の中で再生された。
「最期に......二つお願いがあるんじゃ。まずは朝日くんに......我が娘をしっかりと守ってあげてくれ......」
朝日は涙を制服の袖で拭い、笑顔で言った。
「任せてください!」
王様は優しく微笑んだ。
「そしてサアヤ......わしを......そこらの普通の家族のようにお父さんって呼んでくれないか?」
サアヤは予想外のお願いに笑みを零した。
「そんな馬鹿なお願い......今までありがとうパパ......母上......ママに会ったら私は元気だって伝えてほしいな」
朝日が目を強く閉じ、震える声で言った。
「今......お前のお母さんに会いに行ったよ」
王様の目は閉じていた。その身体はもう動かない。だが、王様は満足したような微笑むを浮かべていた。サアヤは王様に縋るように泣き叫んだ。朝日はサアヤの頭を優しく撫でた。背後で何かが倒れる音がした。朝日がその音に気が付き、振り返ると兵士の首が地面に転がり落ちていた。サアヤも朝日につられ、後ろを見た。そこには銀色の長い髪の毛に血がついている血に塗れた剣を持ったリューネがいた。
「お母さん......お母さん!!」
朝日が手を伸ばすと、リューネの姿は桜の花びらを撒き散らしながら消えた。
王様の葬儀が後日に行われた。その葬儀には城の関係者が出席した。それに加え、朝日、サアヤ、ステラ、由奈、そして田舎町から駆けつけたユウ、マイサン、ナナ、カナ、カイ、春樹も参加した。王様は棺に入れられ、それを埋めようと地面を掘って、棺をそこに置くと巨大な体を持った王様のペットであるイッカク羊がその穴から棺を加えた。一同は慌ててイッカク羊から棺を取り返そうとするがイッカク羊は首を横に振るばかりだ。マイサンが潤った目でイッカク羊を見つめた。
「王様と離れたくないって言ってるわん......ずっと一緒にいるだって......」
サアヤがゆっくりとイッカク羊に歩み寄った。
「ねえ......もう父上を眠らせてあげたいの......お願い......」
サアヤは自分の額を必死に背伸びをして、イッカク羊の額に押し当てた。イッカク羊は目から涙を零すと、棺を穴に戻した。そして、王様は十字架の墓石の下で眠り続けた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ここは......魔界の中心にある大きなお城......魔界城。広い王室にポツンと置いてある王座にユグドラが座っている。その横には二人、リューネと黒いローブでフードで顔を隠している者が立っている。
「王が死んだか......どうやら順調に事は進んでいるな......リューネ......優希よ......次なる女王を殺せ」
優希と呼ばれた黒いローブの男はフードを取り黒い髪を現し、赤色の瞳を輝かせた。
「はい......」
二人の姿がその場から消えた。それと同時に白く綺麗な髪を持ったヴァレンシアが膝を付きながら姿を現した。
「戻りました......アレの準備にはまだしばらくかかるかと......」
ユグドラは不気味に微笑みながら言った。
「戻ったか......あの二人の能力は本物だ......ついでにあいつも消してくれるはずだ......何年かかっても......この計画を......」
その日......魔界では雨が激しく降り注いだ。




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