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第34話 箱根旅行3 ヨネッサン

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 箱根の朝は横浜より清々しく、いろいろな野鳥と虫の声が聞こえた。皆は八時にビュッフェスタイの朝食を取り、ヨネッサンへ向かった。
 ここヨネッサンは屋内外に沢山のプールがあり、中には変わり風呂と称してワイン風呂や日本酒風呂などがある。全天候型の大型レジャー施設だ。

 海斗と松本蓮は、更衣室からプール側に出て女子を待った。
「海斗、楽しみだね。こんなハーレムはないよな。はやく女子の水着姿を見たいよね」
「蓮! 分かる、分かる! 俺も楽しみにしていたよ!」
「ウ、ハ、ハ、ハ」
 二人は妄想モード突入で、笑い顔が止まらないのだ。

 女の子がおしゃべりをしながら現れた。その姿は神々しく輝き、悩殺ボディーを露わにしたのだ。ふと、海斗は鎌倉美月のパンチラを思い出した。動物園での出来事だった。たった一、二秒、風でスカートが舞っただけであんなに怒るのに、こんなに見せ付けて怒らないのはなぜだろうか? 疑問を持ったが折角なので楽しむ事にした。

 小野梨紗が駆け寄って来た。
「海斗、松本君、お待たせー! 早く遊ぼう!」
 輝く白い肌に白のビキニが、良く似合っていた。海斗も小野梨紗に手を振った。
「小野さん、可愛いね、とっても似合っているよ!」
「有り難う海斗、海斗も似合っているよ」

 その他の女の子は、まとまって歩いてきた。中山美咲が声をかけた。
「伏見君、松本君、お待たせ!」
 恥ずかしそうに両腕で体を隠すと海斗は答えた。
「中山さん、とっても似合っているよ」
「有り難う伏見君、でもちょっと恥ずかしいな」
 中山美咲のふくよかな胸に黒いビキニが良く似合っていた。恥じらう姿がとてもかわゆいのだ。
 次は葵ちゃんの登場です。葵はセパレートと思いきや、ビキニを着けていた。その姿はとても初々しかた。
「お兄ちゃん、どうかなあ?!」
 葵は振り帰り左手の人差し指をあごに着けてポーズを取った。
「葵、とっても可愛いよ」
 鎌倉美月は、ガン見の松本蓮に話しかけた。
「蓮、あんまり見ないで、恥ずかしいよ」
 細身の林莉子は堂々としていた。胸がちっぱい以外はスタイルが良いのだ。
「どうせ、私はちっぱいですよー!」

 皆は屋内プールから遊び始めた。最初に入水した小野梨紗は後から入る友達に水を掛けた。女子はキャーキャー叫んでいた。海斗も加わり皆で水掛タイムとなった。皆の笑い声が屋内に響いた……が一人苦しんでいる人がいた。
 林莉子は両手で顔を隠した。
「止めてよ、止めて! 息が出来ないわ」
 林莉子は最後に入水した為、皆の的になり集中的に水を浴びた。
「ゲホ、ゲホ」
 松本蓮は指を指した。
「今度は、あっち行こうぜ!」
 むせて咳き込んだ林莉子は取り残された。
「待ってよー! ゲホ、ゲホ」
 慌てて追いかけた。

 次にジャロジー風呂に来た。疲れた体は癒やされた。海斗は中山美咲の横のジャグジーブースに並んだ。中山美咲は無意識に声を出した。
「あ~ん、気持ちいい~」
海斗は、その一言に興奮をした。海斗の隣には松本蓮が並んでいた。
「なんか色っぽい声出すよな~、興奮するよね、海斗」
「蓮、分かる、分かる! ずーと聞いていたいよね。あっ!」
 鎌倉美月は感が効くのだ。
「あんた達、また良からぬ事を、考えているでしょう」

 次に洞窟にやって来た。ちょっと薄暗いのだ。浅く水の張った洞窟を進んだ。気分は冒険者である。鎌倉美月と松本蓮は一緒に歩いていた。その時だった、鎌倉美月が足を滑らせた。
「キャー!」
 松本蓮はスッと彼女の手を取り、沈みかけた体を引っ張り上げた。
「蓮、有り難う。蓮はいつも私を助けてくれるのね。大好きだよ!」
 彼女は松本蓮をいきなり抱きしめた。濡れた肌が触れあい松本蓮は赤面した。

 松本蓮の後を追いかける様に、海斗達が続いた。小野梨紗が先頭を歩るき、続けて海斗、中山美咲、林莉子、葵の順に歩いた。
 小野梨紗は鎌倉美月と同じ場所で足を滑らせた。
「キャー!」
 慌てて後ろの海斗に助けを求めたが、海斗は後ろの中山美咲と話をしていた。慌てた小野梨紗は海斗のパンツを掴んで沈んだ。海斗のパンツも合わせて沈んだが海斗は立っていた。海斗の息子が丸出しになってしまったのだ。

 中山美咲は目線を下げ、しっかり見てしまった。後ろの林莉子も、そして葵までも見てしまったのだ。
「キャー!」
 三人は目を覆わず口を覆った。恥ずかしくなった海斗は慌てて反対側を向いた。
「キャー!」
 小野梨紗が叫んだ。上半身を起こした小野梨紗に限っては、顔の正面だったのだ。言うまでも無く大人限定の距離だ。海斗は慌ててパンツを持ち上げた。洞窟を出た皆は全員赤面していた。松本蓮と鎌倉美月は自分達の世界に入っていたので、後ろの騒ぎには気付かなかったのだ。

 海斗は大きな声を出した。
「もー、皆に大事な所、見られちゃったよ! 小野さん、俺の大事な所、見たでしょ?!」
「見てないよ」
「あんなに、目の前で?」
「見てないよ!」
 海斗は後ろを向いた。
「中山さんは、見たでしょ?」
「私も見てないわ」
「林さんは?」
「ぜんぜん、見えなかったよ」
 海斗の大事な所を見た女子は、赤面しているのに否定をした。海斗は最後に葵に聞いた。
「葵は!」
 葵は顔を隠して答えた。
「お兄ちゃん、残念だけど大事な所も、おしりも見えちゃったよ!」
 分かっていたが、正直に言われた事が恥ずかしかった。
「エーー! それじゃあ、フルコースじゃん!」
 海斗は真っ赤になって、そこから逃げ出した。海斗はしばらくのベンチで頭を冷やしていた。松本蓮が呼びに来くると、海斗は戻り再びプールサイドに立った。

 水面から顔を出す女子は赤い顔をして海斗の腰あたりを見ていた。水面から顔を出すワニの様だった。水面とプールサイドでは高低差が海斗に不利に反映された。海斗は恥ずかしくて目線をそらすためにプールに入水した。
 小野梨紗は海斗に声をかけた。
「お帰り海斗、さっきはごめんね。……昔は、ちっちゃかったのにね~!」
「うるさい梨紗! やっぱり見たんじゃないか!」
小野梨紗は照れて頭を掻いた。

 その時だった「ジャブ~ン!」大きな水しぶきが立って、京野颯太が現れたのだ。
 京野颯太は中山美咲の手を取った。
「美咲さん偶然ですね。ハハハ!」
 続けて遠藤駿、橋本七海、佐藤美優、田中拓海、鈴木萌が現れた。
 遠藤駿は松本蓮に耳打ちをした。
「ご免ね、アルバイトで海斗達がうちに居ることを知られちゃって、強引に聞き出されちゃったんだ」
 京野颯太は無理やりでも偶然を装い、中山美咲とプールに入りたかったのだ。いや、中山美咲の水着姿が見たくて仲間の費用を負担してまでも来たかったのだ。

 海斗グループは京野グループと合流し、屋外のウォータースライダーに向かった。海斗と松本蓮は最初に滑り、松本蓮は後から滑る友達の写真をスマホで撮影した。皆は楽しそうに滑っていた。入水すると顔まで水に浸かるため、浮上す時に変顔になるのだ。その変化のある表情も撮っていたのだ。

 最後に滑り下りるのは、トリをとるのに相応しいミスグランプリの橋本七海た。彼女がスタート位置に立った。まさにグラビアクイーンの様な出で立ちだ。このまま少年誌の巻頭カラーを飾れそうなのだ。彼女が滑る出すと松本蓮は連続シャッターを切った。

 橋本七海は滑り下り入水した。水面から濡れた顔が出てきた。立ち上がった彼女はトップレスになっていた。ブラが外れた事を気付かず立ち上がったのだ。
「キャー!」
先に滑った女子が慌てて駆け寄り、手で隠した。
 男子は目が皿になった。こう言う時の女子の団結力は凄いものがある。サーっと何事も無かったかの様に、橋本七海を隠し移動した。海斗のポロリと大違いだった。

 女子が居なくなると、松本蓮に男子が集まった。見せろ、見せろの大騒ぎだ。松本蓮は写真を再生した。ばっちり写っていたのだ。少年誌なら星印が付いている所があらわになった。
 男子は歓声を上げた。
「ウォー!」
 京野颯太はお金で交渉をしようと考えていた。松本蓮は言った。
「これ、惜しいけど消すよ。だから皆、良く目に焼き付けてね」
 遠藤駿は答えた。
「えー、そりゃ無いですよー松本君。何とかなりませんかねえ、特上のうな重で手を打ちませんか?」
 遠藤駿も流石、商売人の息子だ。松本蓮は唾を呑んだ。
「やっぱりダメ! 万が一、データが出回るような事が有ったら大変だもん。だから良く肉眼に納めてね」
 松本蓮は女子が来ないうちに削除した。遠藤は肩を落とした。
「あ~、もったいないなー!」
 海斗は松本蓮に言った。
「蓮、それでいいんだよ。写真を撮る者としてコンプライアンスは必要だよ。遠藤、見られただけでも価値があったろ。だからこの方が丸くいくんだよ」
「そうだよな、松本」
 男子は、まるで一等の宝くじを捨てたかのような気分だった。

 そして女子が戻って来た。鎌倉美月は男子に迫ってきた。
「ねえ蓮、写真を撮っていたよね。スマホ見せなさいよ!」
 林莉子も迫った。
「他に写真を撮っていた男子は居る?!」
 こちらも凄い迫力だ。松本蓮は答えた。
「ちゃんと消したよ。こう言う事は大事だからな」

 男子は女子の圧力に恐怖に怯えた。鎌倉美月はスマホに写真が無い事を確認した。
「大丈夫、写真は削除されているよ、安心して」
 橋本七海も、その他の女子も安心をした。佐藤美優が注意した。
「七海は大きいんだから、注意しなきゃダメだよ、分かった?!」
「分かったわよ。松本君、削除してくれて有り難う」
 橋本七海は松本蓮に頭を下げた。松本蓮は照れると、すかさず鎌倉美月が肘鉄をおみまいした。ようやく皆は笑った。

 続けてワイン風呂に移動した。橋本七海はピンク色になっていた。妙に色っぽかったのだ。京野颯太は橋本七海に見とれてのぼせていた。
 遠藤駿は海斗に声を掛けた。
「伏見、ちょっと休んでから行くから、気にしないで行って!」
「うん有難う。遠藤も楽しんで帰れよ!」

 海斗達グループは京野グループと手を振り別れて、他のプールに移動した。
「なあ海斗、楽しいな。思いもよらずミスグランプリのポロリまで見られてさあ」
「楽しいね蓮、今年の夏は特別だね」

 この後も、海斗達はいろいろなプールで遊びヨネッサンを後にした。十七時に小田原に到着して乗り換えた。帰りの東海道線は遊び疲れてお昼寝タイムとなった。小野梨紗が言い出した旅行は皆に楽しい夏の思い出を残した。
 帰宅すると独占欲が抑えられない葵は、海斗の部屋に行き、夜遅くまでテレビゲームを楽しんだ。葵の楽しい箱根の思いではテレビゲームで終了しのであった。
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