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22.襲撃
店を出てから暫くすると、ストーカー女性が智明とシマの後をつけてくる気配を感じた。
やはり、店に用事があったのではなく、智明を追ってきていたという事だろう。
店のある駅前から離れ、智明のアパートがある方角へ進むと、少しずつ人通りが減っていくので、余計に女性からの突き刺さるような視線を強く感じる。
人とすれ違う事がなくなると、シマがずっと握っていた智明の手を離した。
少しだけ寂しい気持ちになっていると、急にシマの手が腰に回りぐっと引き寄せられる。
驚いて身体をビクつかせた智明をまるで包み込む様に、先程よりもずっと密着した態勢をとり、シマが内緒話をするように智明の耳元に口を寄せた。
「少し、煽ってみましょう」
「…………え?」
提案の意図がわからなくて疑問の声を上げた智明の頬に、シマの唇が触れた。
ちゅっ、ちゅっと音を立てながら、何度も啄む様なキスが頬だけでなく額や目元に落ちる。
人通りが少ないとはいえ、ここが外であるという羞恥心と、シマに触れられているという幸福感で、周りが見えなくなってしまう。
シマの唇が、とうとう智明の唇へと到達しようとしたその時。
背後でドサリと、何かを落とす様な音が聞こえた。
「智明に触らないで!」
ヒステリックな甲高い声と共に、カツカツという靴の音がもの凄い勢いで近付いてくる。
シマに蕩けさせられそうになっていたところから、ハッと我に返って顔を上げると、今まで一定の距離を保っていたストーカー女性が、一気に距離を詰めてきていた。
ただ近づいてくるだけならまだ良かったのだが、その手に鈍く光るものを見つけて、思わずシマを押しのける。
「ダメだ!」
「トモくん!」
突進してくるストーカー女性から、なんとか身体を滑り込ませてシマを庇う。
悲鳴のようなシマの呼び声に一瞬違和感を抱いたが、理由を考えるより早く左腕に鈍痛が走る。
と同時に、驚くほどの鮮血が辺りに飛び散った。
「…………っ、てぇ」
咄嗟に対応した割には、上手く避ける事が出来たと思うし、実際智明的にはそこまで深い傷を負った自覚はなかった。
だが、思った以上に血が噴き出したせいもあって、ストーカー女性は握っていたナイフを落として、両手を震えさせている。
「わ、わたし……こんな、つもりじゃ……」
「じゃあなんで、ナイフなんて持ってたんだよ!」
「ごめんなさい、ごめんなさい……」
聞いた事もないようなシマの怒号が、ストーカー女性に降り注ぐ。
シマの鋭く責め立てるような言葉で、自分が何をしでかしたのかを自覚したのか、ストーカー女性は肩を震わせ、泣き崩れた。
「トモさん、大丈夫ですか? 早く救急車……」
泣いている女性を尻目に、シマは智明の心配をする。
被害者は確かに智明なので、シマのその行動は正しい。
「平気」
「待って、危ないです……!」
だが智明は、ストーカー女性から姿を隠すように間に立ち塞がろうとするシマを押しのけて、蹲っている女性に手を差し伸べた。
赤い血が伝う智明の手に、女性はビクンと身体を揺らすが、「ごめんなさい」と何度も呟きながら、おずおずと差し出された智明に手を伸ばして立ち上がる。
やはり、店に用事があったのではなく、智明を追ってきていたという事だろう。
店のある駅前から離れ、智明のアパートがある方角へ進むと、少しずつ人通りが減っていくので、余計に女性からの突き刺さるような視線を強く感じる。
人とすれ違う事がなくなると、シマがずっと握っていた智明の手を離した。
少しだけ寂しい気持ちになっていると、急にシマの手が腰に回りぐっと引き寄せられる。
驚いて身体をビクつかせた智明をまるで包み込む様に、先程よりもずっと密着した態勢をとり、シマが内緒話をするように智明の耳元に口を寄せた。
「少し、煽ってみましょう」
「…………え?」
提案の意図がわからなくて疑問の声を上げた智明の頬に、シマの唇が触れた。
ちゅっ、ちゅっと音を立てながら、何度も啄む様なキスが頬だけでなく額や目元に落ちる。
人通りが少ないとはいえ、ここが外であるという羞恥心と、シマに触れられているという幸福感で、周りが見えなくなってしまう。
シマの唇が、とうとう智明の唇へと到達しようとしたその時。
背後でドサリと、何かを落とす様な音が聞こえた。
「智明に触らないで!」
ヒステリックな甲高い声と共に、カツカツという靴の音がもの凄い勢いで近付いてくる。
シマに蕩けさせられそうになっていたところから、ハッと我に返って顔を上げると、今まで一定の距離を保っていたストーカー女性が、一気に距離を詰めてきていた。
ただ近づいてくるだけならまだ良かったのだが、その手に鈍く光るものを見つけて、思わずシマを押しのける。
「ダメだ!」
「トモくん!」
突進してくるストーカー女性から、なんとか身体を滑り込ませてシマを庇う。
悲鳴のようなシマの呼び声に一瞬違和感を抱いたが、理由を考えるより早く左腕に鈍痛が走る。
と同時に、驚くほどの鮮血が辺りに飛び散った。
「…………っ、てぇ」
咄嗟に対応した割には、上手く避ける事が出来たと思うし、実際智明的にはそこまで深い傷を負った自覚はなかった。
だが、思った以上に血が噴き出したせいもあって、ストーカー女性は握っていたナイフを落として、両手を震えさせている。
「わ、わたし……こんな、つもりじゃ……」
「じゃあなんで、ナイフなんて持ってたんだよ!」
「ごめんなさい、ごめんなさい……」
聞いた事もないようなシマの怒号が、ストーカー女性に降り注ぐ。
シマの鋭く責め立てるような言葉で、自分が何をしでかしたのかを自覚したのか、ストーカー女性は肩を震わせ、泣き崩れた。
「トモさん、大丈夫ですか? 早く救急車……」
泣いている女性を尻目に、シマは智明の心配をする。
被害者は確かに智明なので、シマのその行動は正しい。
「平気」
「待って、危ないです……!」
だが智明は、ストーカー女性から姿を隠すように間に立ち塞がろうとするシマを押しのけて、蹲っている女性に手を差し伸べた。
赤い血が伝う智明の手に、女性はビクンと身体を揺らすが、「ごめんなさい」と何度も呟きながら、おずおずと差し出された智明に手を伸ばして立ち上がる。
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