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26.告白
「トモくん」
そしてシマからの呼びかけが、決定打となった。これ以上疑いようがない。
シマは、幼馴染みの和志だ。
理解した途端、じわじわと顔が赤くなる。
(うそだろ。最初から両思いだったっていうのか? 俺のこの二年間は、一体何だったんだ)
羞恥心で頭を抱えたくなるが、そんな智明の反応にシマは違う印象を抱いたようだ。
何かを決意したように、握っていた手に力を込める。
「遠くに逃げたくなるほど、嫌われてたのはわかってる。でも、シマとしてならどう? 今の俺でも、好きになって貰えない?」
「……無理だ」
「そんな」
明らかにしょんぼりとしたシマの表情は、わかってみれば確かに和志と同じだった。
智明の後ろにいつもぴったりくっついてきて、少し冷たくするとすぐにしょげる。
それが可愛くて、つい構ってしまうのがいつものパターンだった。
和志を恋愛の意味で「好き」だと自覚してからは、そうして無邪気に懐かれるのが辛くて、物理的に距離を置いたというのに。
和志は智明が自覚するずっと前から、智明の事が好きだったという。
智明を振り向かせたくてそうしていたのだとしたなら、とんだ策士だ。
だが、幼い頃から変わらずずっとそうだった事を考えると、和志は単純に智明に構って貰えないのが寂しかったのだろう。
それはきっと、今も。
そもそも、智明が「和志を嫌って逃げた」という前提が、間違っている。
この点については、何も言わずに離れた智明が全面的に悪いが、あの時は理由を説明するなんて出来なかった。
今の智明の前に現れたシマはもちろん好きだが、和志を嫌いになんてなるわけがない。
だから、シマだけを選べと言われれば、「否」という答えしか出ない。
(言うなら、今しかない)
「……だって俺は、和志の事を好きになっちゃったから……どうしようもないって思ったから、離れたんだ」
「え?」
「昔も今も、俺が好きなのはお前だけなのに」
「トモくん!」
「っ、痛ぇ」
「わ、ご、ごめん」
感極まったように抱きついてきたシマの手が、手当てしたばかりの傷口をかする。
思わず声を上げると、慌ててシマがバッと離れてしまった。
行き場をなくした両手を上下させるシマが可笑しくて、智明はゆっくりと両手を広げる。
「和志」
ひとこと名前だけを呼ぶと、今度は智明に衝撃が伝わらないようにゆっくりと柔らかく、でもしっかりとシマが智明を抱きしめた。
「トモくん、ずっとずっと大好きです。俺と、付き合って下さい」
(大好きな幼馴染みの和志と、憧れのシマ。まさか二人が、同一人物だったなんてな)
結局、智明が好きになった想い人は、ずっと「たった一人」だけだったということになる。
我ながら、なかなかの執着心だ。
「うん。よろしくお願いします」
離れないと主張するような力強さでぎゅっと抱きしめるシマの背中に手を回し、告白への返事を伝える。
抱き合った二人の顔は、もう既に至近距離で、愛し合う二人の間には何の障害もない。
(まさかこんな幸せな結末を迎える日が来るなんて、思わなかった)
和志と離れるという決断を下した時には、二度と会うこともないだろうという決死の覚悟だったから、和志が追いかけて来てくれた上に両思いになれるなんて、想像もしていなかった。
コツンと額と額がくっつくと、目の前にあるシマの優しい表情が、感情が高ぶって溢れだした涙で滲む。
そのまま唇に柔らかく温かな感触が落ちてくると同時に、瞼を閉じた智明の瞳から、歓喜の雫が一筋こぼれ落ちた。
END
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
最後までお付き合い下さり、ありがとうございました!
お気に入り・感想・いいね・エール等いただけましたら、とても嬉しいです。今後の励みにさせて頂きます。
また別の作品でもお目にかかれたら幸いです。
そしてシマからの呼びかけが、決定打となった。これ以上疑いようがない。
シマは、幼馴染みの和志だ。
理解した途端、じわじわと顔が赤くなる。
(うそだろ。最初から両思いだったっていうのか? 俺のこの二年間は、一体何だったんだ)
羞恥心で頭を抱えたくなるが、そんな智明の反応にシマは違う印象を抱いたようだ。
何かを決意したように、握っていた手に力を込める。
「遠くに逃げたくなるほど、嫌われてたのはわかってる。でも、シマとしてならどう? 今の俺でも、好きになって貰えない?」
「……無理だ」
「そんな」
明らかにしょんぼりとしたシマの表情は、わかってみれば確かに和志と同じだった。
智明の後ろにいつもぴったりくっついてきて、少し冷たくするとすぐにしょげる。
それが可愛くて、つい構ってしまうのがいつものパターンだった。
和志を恋愛の意味で「好き」だと自覚してからは、そうして無邪気に懐かれるのが辛くて、物理的に距離を置いたというのに。
和志は智明が自覚するずっと前から、智明の事が好きだったという。
智明を振り向かせたくてそうしていたのだとしたなら、とんだ策士だ。
だが、幼い頃から変わらずずっとそうだった事を考えると、和志は単純に智明に構って貰えないのが寂しかったのだろう。
それはきっと、今も。
そもそも、智明が「和志を嫌って逃げた」という前提が、間違っている。
この点については、何も言わずに離れた智明が全面的に悪いが、あの時は理由を説明するなんて出来なかった。
今の智明の前に現れたシマはもちろん好きだが、和志を嫌いになんてなるわけがない。
だから、シマだけを選べと言われれば、「否」という答えしか出ない。
(言うなら、今しかない)
「……だって俺は、和志の事を好きになっちゃったから……どうしようもないって思ったから、離れたんだ」
「え?」
「昔も今も、俺が好きなのはお前だけなのに」
「トモくん!」
「っ、痛ぇ」
「わ、ご、ごめん」
感極まったように抱きついてきたシマの手が、手当てしたばかりの傷口をかする。
思わず声を上げると、慌ててシマがバッと離れてしまった。
行き場をなくした両手を上下させるシマが可笑しくて、智明はゆっくりと両手を広げる。
「和志」
ひとこと名前だけを呼ぶと、今度は智明に衝撃が伝わらないようにゆっくりと柔らかく、でもしっかりとシマが智明を抱きしめた。
「トモくん、ずっとずっと大好きです。俺と、付き合って下さい」
(大好きな幼馴染みの和志と、憧れのシマ。まさか二人が、同一人物だったなんてな)
結局、智明が好きになった想い人は、ずっと「たった一人」だけだったということになる。
我ながら、なかなかの執着心だ。
「うん。よろしくお願いします」
離れないと主張するような力強さでぎゅっと抱きしめるシマの背中に手を回し、告白への返事を伝える。
抱き合った二人の顔は、もう既に至近距離で、愛し合う二人の間には何の障害もない。
(まさかこんな幸せな結末を迎える日が来るなんて、思わなかった)
和志と離れるという決断を下した時には、二度と会うこともないだろうという決死の覚悟だったから、和志が追いかけて来てくれた上に両思いになれるなんて、想像もしていなかった。
コツンと額と額がくっつくと、目の前にあるシマの優しい表情が、感情が高ぶって溢れだした涙で滲む。
そのまま唇に柔らかく温かな感触が落ちてくると同時に、瞼を閉じた智明の瞳から、歓喜の雫が一筋こぼれ落ちた。
END
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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