こちらに、サインをお願いします。(笑)

どくどく

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38・・・剣闘祭二日目(2)

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観客達が盛り上る舞台の上では。その張本人であるローブをかぶった二人が話をしていた。

「いやー大盛況っすねシッシシシ。まさかこんなに有名になる事するなんてムラオサ何考えてんすかねシッシシシ。」

「キョウカクこれも我々の神であるユウ様とシエル様そしてクコ嬢のお考えなのでしょう。詮索は無粋と言う物ですよ。」

「かーラントさんは真面目っすね、シシ。でもこの大会での指示は自由、ただし勝て。だけっす。俺は本気で優勝に取りに行きますんでよろしくっす、シッシシシ。」

そう言ってキョウカクと呼ばれた男がフード脱ぎ舞台の外に投げた。そこには長髪を後ろで一本の太い三編みにし腰まで垂らした男が現れた。しかもその恰好は防具はおろか武器さえ持っておらず、何故か裸足。

「な!キョウカク!!我々の大事な法衣を!全くお前は考えて行動しなさい。それに何ですかその恰好は貴方のせいで私達悠撃隊全体が馬鹿だと思われるじゃないですか!」

そういってもう一人の男ラントも、頭の方のローブだけ後ろに下ろし顔を出しローブの中から何処に入っていたのか自分の肩ほどまである枝が絡まって出来た様な杖を取りだした。顔は少し鋭い目つきでそこに淵のない眼鏡をかけた緑色の髪の男だった。

そして二人が素顔を現すと、会場はさらに盛り上がって行く。

「「「「「「「ウオオオオオオオォオオオオオ」」」」」」」」

そしてそんな盛り上がりの中。この試合の開始を今か今かと会場、一丸で待っていた。そして

「それではみなさんお待たせいたしました。どうやら舞台の準備が出来たようです!本戦第五試合グループE試合ィー!開始い!!」

と開始の合図が出された。

すると15人中13人の選手が一斉にラントに襲い掛かって行った。
司会のピエールも
「おーっと選手のほとんどが一斉にラント選手に襲い掛かっている模様です!!これはどういうことでしょうか?」
とその隣のルベルムが
「ええ、前の試合で魔法使いへの警戒が強まっている中で魔法使いの様な格好をして、なおかつ悠撃隊のメンバーとなれば一斉に潰しに行くのは、不思議ではないですね。」
とルベルムが解説していると。舞台の上ではラントが
「うーん彼らは私の初戦の戦いには要りませんね。倒れていても邪魔ですし・・・流しますかね。」
そう言うと、杖を一度地面に当て
「ストーンウェーブ」
と一言いうとラントの周りの地面が水の様に波打ち始めそれが急に大きくなり選手に襲い掛かった。その波は高低差約1メートルほどでそれがリングの外に向かって動き流れだしたのだ。
そして選手達はその波にあらがう事が出来ずにつぎつぎに場外へと落とされてしまった。
これを見た司会ピエールも
「なんと!!石で出来ているはずのリングが嵐の海の様に波打っています。これにはリングアウトの選手が続出です。コレで決まってしまうのか!」
とルベルムも話に入る
「私はあんな魔法は初めて見ましたね。地面に立っている以上はあの魔法を防ぐのは難しいでしょうね。」
「と言う事は!今回の勝者は!!「っと待ってください、まだ舞台の上に残っている選手がいますよ」」

そう言って舞台を見るとまだ残っている選手がいた。裸足で。
「キョウカク選手です!!もう一人の悠撃隊、キョウカク選手がまだ残っております。」

キョウカクは何と石の波の上を走っていた。波が一番高く盛り上がった地点へ飛び乗りまた高い波に飛び乗ると言うのを繰り返し同じ位置にとどまっていた。しかもルームランナーでもしているように余裕でこなしていた。
「シッシシシ、相変わらずせっかちっすね。もう他の選手居なくなったじゃないっすか。他の人と戦うチャンスなのにシシシ。・・・それじゃあそろそろ俺も反撃っすね!」
そういってキョウカクは不安定な足場にも拘らず思いっきり跳躍し一気にラントの真上まで移動した。そしてそのままラントに落下の勢いを付けた拳を打ち出した。

ガキーーーーン

まるで鉄同士がぶつかった音が響く。拳はラントの持つ杖に正面から止められていた。
「あちゃーイケると思ったけど。防がれたッすかシシシ。」
と笑うキョウカク、しかし防いだラントも余裕とは行かず。

「グっこの馬鹿力馬鹿が、ボーナスポイント全部攻撃力に全振りする変態が。腕がまだ痺れていますよ。」
「シシシ、ラントさんだってまだ俺等が魔法使えなかった頃から魔法特化のスキルとステータス取ってたじゃないですか。そっちのほうがよっぽと変態っすよ。シシシそれに今の(・・)ラントさんになら力押しでいけますしね。」

そう言ってキョウカクはラントから距離を離さずに接近して攻撃を加えて行く。キョウウカクは上からの攻撃が得意なようでジャンプで上を取り、拳や蹴りで攻撃して行く。
 ラントも杖で攻撃を裁きつつ何とか魔法を出そうとするがその隙を与えない。
「魔法は打たせないっすよコレで終わってくださいっす。」
そうしてキョウカクが最初にした攻撃と同じようにラントの真上に飛びあがり落下しながら拳を振り下ろす。
そして拳がラントの構えている杖に当たる瞬間!杖に巻きついている枝の一つがキョウカクの振り下ろした拳に巻き付いた!!
「なッ!これ種族固有スキルじゃないっすか」
というラントにしか聞こえないセリフを残して枝は勢いの止まったラントを反対側に投げ飛ばした。その勢いのままキョウカクは舞台淵ぎりぎりの所で体制を立て直しリングに拳を突き刺して、踏みとどまった。
「あ、あぶなかったっす!!それに!ラントさん!そっちは使うなって言われていたじゃないすか!!」
といつの間にか普通に戻した杖を持って頭に名てなマークを浮かべるラント。
「?なんの事です?私は杖で受け止め弾き飛ばしただけですよ?観客の皆さんもそう見えているはずです・・・」
「見えてるはずって言ってるじゃないっすか。ズルっすよ!!」
そう言いながらキョウカクは舞台に刺さった拳を引き抜きながら愚痴り出す。

「キョウカクそんな事言っている暇が有るんですか?この距離は私の距離ですよ?」

そう言ってラントは杖で舞台を軽く一突きし
「ロックバイト」
と唱える。するとキョウカクのまわりの石の舞台が一つ二つとどんどんせり上がりその一つ一つに口ができる。そしてそれがいきなり動きだし噛み付いて来た。
「ああもう!厄介っすね。」とラントも動きだした口を交していくがどんどんと口の数は増えて行く。キョウカクもラントに近づいて行こうとするが一向に進めない。そしてついにしびれきらしたラントが思いっきり高くジャンプした。

「それを待っていましたよ!」
ラントはそう言い高くジャンプしたキョウカクに向かい口の付いた舞台を伸ばしていく。そして舞台にはいくつもの石の柱が出来上がった。そして空中で身動きの取れないキョウカクを柱の一本がとらえ噛みついた。

ガチィ――ーン

歯と歯が合わりその衝撃で舞う砂埃と音だけが響く。
そして砂が晴れたそこには・・・・地面直角に生えた柱に手をつきしゃがむキョウカクの姿が有った。

「な、キョウカクお前まで。」

地面と平行にしゃがんで座っている体制のキョウカクはニィっと笑うと、ラントに向かって柱を蹴ってジャンプした。そしてなんと手から白い糸の様なものを出しながら乱立して動く柱に貼り付け軌道修正をしながら避けラントの方へ近づいて来た。

「お前も使ってるではないですか!」
あっと言う間にキョウカクはラントの目の前ま移動して来た。
「何言ってるんですかラントさんが目隠し作ってくれたおかげっすよ。観客も俺が柱を蹴って移動しているようにしか見えてないっすから。シシシ、ラントさんが調子に乗ってあんなにいっぱい出しちゃうからっすよ?シッシシシ。」
「ハァ、また接近戦に逆戻りですか」
そういってラントが舞台上の柱を消し元の舞台の状態に戻しキョウカクに構えをとろうとした。だが魔法を消した瞬間

ズブリ

ラントの後頭部に何かが刺さる。

「いえもう終わりっすよラントさん。」

そうキョウカクに言われてラントが後ろを確認すると、キョウカクの後ろで三津編みされ垂れているはずの後ろ髪。その後ろ髪の先がラントの後頭部へと繋がっていた。

「おまえ糸生成だけじゃなく最後は毒薬生成と毒針を部分魔人化まで使って出したのですか。」
とライトは髪の先端に隠された針が抜けるとそのばにくずれ落ちた。

「ええスイマセンっす。髪で隠れている所だけっすけど。今回は接近戦の俺とは相性悪かったと思って諦めてくださいっすシシシ。」

そしてキョウカクは動けなくなったライトを軽々持ち上げ。舞台の端へと移動する。

「それに魔人化有りだと相性が逆転しちゃうんでこういう時に勝っておかないと勿体ないっすから。
まったく打撃も毒も聞かない巨木相手にどう勝てって言うんですか!」

そういってキョウカクはライトを舞台の外へ放り投げた。
そして審判が判定を出し試合終了の声が響く
「試合終了------です。」

「「「「「「「「ウおオオオオオオオ」」」」」」」」」」」

「所々ここからでは確認できない所が有りましたが。魔法と接近戦のいい戦いだったと思います。さてここで出場選手の紹介を、えっ!もう時間が無い。つぎの試合の選手が入場を早めろと言っている。・・・だそうなのでさっそく次のFグループの試合にまいりましょう。もうお気づきの方も多いと思いますがこのFグループは。・・・そうあの前回優勝者守護騎士団、団長のグリムド選手が出場されます。」
そして無表情のルベルムが
「グリムド選手ですか。彼が本当の実力者である事を願っていますよ。」

「・・・・・・」
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