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きもちいい、きもちわるい
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それでもしてみないことにはわからない。ふたりはそう考え、ひとまず向き合うことにした。
そう決めたのは、ミリーが田加井の目から見てもふらついているからだった。少しでも自分が助けになれるのならば助けたい。警察官である田加井は人助けの気持ち半分でそうすることにしていた。
「キスでも、力は得られるの?」
「はい、多少は」
「じゃあ、してみようか」
「は、はい……!」
田加井は本当に話が早い。うだうだと思い悩むミリーとはこんなところまで正反対だ。
「……っ!」
「あ……すまない。そうか、なるべく他のところは触らないようにする」
「ご、ごめんなさい」
する、と頬を撫でられてビクッと怯えたミリーに、田加井も少し慌てて手を引っこめる。キスをする流れとして触れたが、それはミリーにとっては正解ではなかったようだった。
「人間は、どうして苦手なんだ?」
「……人間はなんか、変にあったかいから……」
「そうか、体温が違うのか」
確かに、先程ツノの周りに触れたときも今頬に触れたときも、ミリーの身体はひやりと冷たかった。
自分とは種族が違うというのに、話せばわかろうとしてくれる田加井の優しさが、ミリーは嬉しかった。
(こんな人間がいるんだ。なんだか、不思議な人)
見た目は怖いし、表情もにこやかというわけでもないけれど、とにかく相手に寄り添ってくれる。
この人となら、もしかしたら。このときのミリーはまだ、そんな風に考えてはいなかったけれど。予感のような何かは、感じていた。
「目、閉じて」
「ん……」
互いのどこにも触れ合わず、ただ唇を寄せて、唇が触れ合う直前になってようやく目を閉じて。
「……っ、」
ふにゅ、と柔らかなもの同士が触れ合う。ただそれだけでも気持ちいいのに、ミリーは田加井の唇から伝って精気を吸い取れば、飢えていた身体に気力が満たされていくようだった。
その快感は、言葉では言い現すことが難しい。ましてあまり賢くはないミリーではなおさらだった。
だからこそ、深く感じられることがある。キスだけで得られるものは少ないけれど、今のミリーには脳を痺れさせるほどのエネルギーに感じられた。
しかし、それだけで済めば良かったのだが、人間が苦手なミリーはそうはならない。
食事で得られる快楽と同じくらいに、生温い人の粘膜の感触にぞくりと肌が粟立つ。
「~~……ッ」
きもちいい。きもちわるい。
同時に襲いかかるふたつの感情がぐちゃぐちゃになって、頭の中だけじゃなく胸のあたりまでもが得体の知れないものが渦巻いているみたいで、ミリーはもう限界だった。
「……ミリーくん?」
時間にしてみればほんの僅か数秒のこと。唇を離して田加井はミリーの様子を見ようとする。呼び声に、返事はない。
「……ッ、おい、ミリー!」
ふらりと座っていられずに体勢を崩すミリーの身体を田加井は受け止める。ミリーはたった数秒キスをしただけで、気を失って倒れてしまったのだった。
そう決めたのは、ミリーが田加井の目から見てもふらついているからだった。少しでも自分が助けになれるのならば助けたい。警察官である田加井は人助けの気持ち半分でそうすることにしていた。
「キスでも、力は得られるの?」
「はい、多少は」
「じゃあ、してみようか」
「は、はい……!」
田加井は本当に話が早い。うだうだと思い悩むミリーとはこんなところまで正反対だ。
「……っ!」
「あ……すまない。そうか、なるべく他のところは触らないようにする」
「ご、ごめんなさい」
する、と頬を撫でられてビクッと怯えたミリーに、田加井も少し慌てて手を引っこめる。キスをする流れとして触れたが、それはミリーにとっては正解ではなかったようだった。
「人間は、どうして苦手なんだ?」
「……人間はなんか、変にあったかいから……」
「そうか、体温が違うのか」
確かに、先程ツノの周りに触れたときも今頬に触れたときも、ミリーの身体はひやりと冷たかった。
自分とは種族が違うというのに、話せばわかろうとしてくれる田加井の優しさが、ミリーは嬉しかった。
(こんな人間がいるんだ。なんだか、不思議な人)
見た目は怖いし、表情もにこやかというわけでもないけれど、とにかく相手に寄り添ってくれる。
この人となら、もしかしたら。このときのミリーはまだ、そんな風に考えてはいなかったけれど。予感のような何かは、感じていた。
「目、閉じて」
「ん……」
互いのどこにも触れ合わず、ただ唇を寄せて、唇が触れ合う直前になってようやく目を閉じて。
「……っ、」
ふにゅ、と柔らかなもの同士が触れ合う。ただそれだけでも気持ちいいのに、ミリーは田加井の唇から伝って精気を吸い取れば、飢えていた身体に気力が満たされていくようだった。
その快感は、言葉では言い現すことが難しい。ましてあまり賢くはないミリーではなおさらだった。
だからこそ、深く感じられることがある。キスだけで得られるものは少ないけれど、今のミリーには脳を痺れさせるほどのエネルギーに感じられた。
しかし、それだけで済めば良かったのだが、人間が苦手なミリーはそうはならない。
食事で得られる快楽と同じくらいに、生温い人の粘膜の感触にぞくりと肌が粟立つ。
「~~……ッ」
きもちいい。きもちわるい。
同時に襲いかかるふたつの感情がぐちゃぐちゃになって、頭の中だけじゃなく胸のあたりまでもが得体の知れないものが渦巻いているみたいで、ミリーはもう限界だった。
「……ミリーくん?」
時間にしてみればほんの僅か数秒のこと。唇を離して田加井はミリーの様子を見ようとする。呼び声に、返事はない。
「……ッ、おい、ミリー!」
ふらりと座っていられずに体勢を崩すミリーの身体を田加井は受け止める。ミリーはたった数秒キスをしただけで、気を失って倒れてしまったのだった。
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