降格処分寸前の人間嫌い淫魔ちゃん♂は頑張って働くことになりました

おさかな

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不況解消?

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「まさかミリーさんが、こんなに早く……しかもこんな手柄を立てられるようになるなんてね」
「えへへ、ラビちゃんにもおんなじこと言われました」

 照れながら笑うミリーに、自分が相当に侮られていたことに対する怒りなんかはひとつも見当たらない。
 その毒のなさがミリーの魅力であり、そんなミリーだからこそ人間の男を相手に白宝石を作り出せる淫魔になれたのかもしれない。

「僕、これで降格処分はナシなんですよね?」
「はい、もちろんです。むしろこちらとしてはお礼を言わなくてはなりません。これで魔界の不況も解決するかもしれないほどのことなんですよ」
「そんな、お礼なんて。今までサボってきた分ですよ」
「……まあ、それは確かに。しかしながら、白宝石というのは魔界でも本当に貴重なものなのです。これを安定供給出来るとあらば、あなたと田加井さんに関しては今後しばらくは観察対象になるかもしれません」
「観察対象?っていうのは、何をされるんですか?」

 ミリーがそう質問すると、司令官は少し考える表情を見せる。それから話し始めた。

「そうですね。管理部からの監視はつけないよう、私が掛け合いましょう。多分許されるはずです。その代わり、ミリーさんはたまにこうして私の元へ報告に来てください。今回のように納品のついでに寄っていただければいいですよ。ミリーさんに報告書を書かせるつもりはありませんから、私から報告のたびにヒアリングして上へ提出します」
「なんだ、じゃああんまりおおごとじゃないですね」
「はい。ミリーさんには私も恩がありますから。私の作ったシステムの精度の証明に繋がったのですからね!本当にありがとうございます」
「あはは、そういうことですね……役に立てたならよかったです」

 司令官として配慮がなされた対応で、ひとまず今後は自由の身となったミリー。監視やノルマなどからは解放され、これからは心置きなく田加井と一緒に居られるということだった。
 ノルマが達成されれば後は対象の相手にこだわらなくてもいいのだが、ミリーは今の生活を手放すことなんてちっとも考えていない。

 司令官にまた報告にきます!と明るく挨拶をした後、ミリーはラビとゆっくりおしゃべりを楽しみ、そのまま田加井の待つ人間界へと再び戻っていった。

「うわ、やっぱり人間界ってなんかむわっとするなぁ」

 ミリーはそうボヤきながらも、どこか嬉しそうだった。少し前までは嫌いだった人間界も、今は大好きな人がいる世界だ。人間界の東京、魔界よりもずいぶんと湿気を含んだ生ぬるい空気さえ、なんだか愛おしいような気持ちになった。

「ただいまぁ」

 戻ってきた田加井の家に、主はまだ帰ってきていなかった。
 初めて魔界からこの家にやってきた時、まさかこの家に自分が「ただいま」と言って帰ることになるとは思っていなかったことを思うミリー。

 するりと壁を抜けて寝室に向かい、移動しっぱなしで少し疲れたミリーはベッドにころんと横になる。ベッドからは愛しい人のにおいがした。
「ふわぁ、なんか安心する……」
 最早、人間界の田加井のにおいがする場所が、ミリーにとって一番安心して落ち着ける場所になった。その変化が、ミリーはとても幸せに思えた。
「田加井さん、はやく帰ってこないかな」
 そう呟いて、田加井の帰りを待つうちにミリーはうとうとと眠ってしまった。
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