ある日のひみつの森のなか

おさかな

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お手製チョコレート

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 その日、森の小屋のキッチンからはいつもとは違う甘い香りが漂ってきていました。

「お菓子作り?珍しいね。チョコレートだ」
「まあ、半分は」
「半分は……?」
「もう半分は薬です。そう効果の強いものではないはずですけど、何せ初めて作ったので実際はどうだか……」

 そう言いながらノエルは冷やし固めたチョコレートをパキパキと一口大に割っていきます。
 そのチョコレートはただのお菓子ではなく、ノエルらしい薬効を持たせたものでした。

「薬?これも、よく作ってる薬草使った料理みたいなやつなの?」
「だいたいそうです。まあ、身体にいいとかでないですけど……あ、悪くもないはずですよ、多分」
「なにそれ、怖いなあ」
「媚薬ですよ。この前町で私が嗅がされたようなやつです。まあ、あれよりはもっと安全な薬を使っているものですが」
「はあぁ!?」

 ノエルはけろりとした顔でそう言いました。ジノはそれにたいそう驚きます。
 ノエルにそんなつもりはありませんが、ノエルはどこか自分が遭ったひどい出来事などに対して軽く扱うような節があるように見えます。ジノはそういうことがあるたびに、ノエルのことが心配になるのです。

 ジノのそんな心配も気に留めず、ノエルは驚いたジノの口にチョコレートをぽいっと入れてしまいます。

「……ッ!?ちょっと、のえる……っ」
「ふふ、おいしいですか?」
「………おいしい、けど……」

 下の上でとろけるチョコレートは、甘さの中からふわりとほろ苦さが広がり、とても美味しいものでした。おいしいと言うと、ノエルは珍しいくらいに優しく嬉しそうに微笑みました。

「先日は私が正気じゃなかった方でしたから、今度はジノさんにも、と思いまして。ジノさんには安全で美味しいものにしたくて作ったんですよ」
「……なんでそうなるかなぁ」
「あの日のことは事故ですし不本意な流れではありましたが、気持ち良かったので」
「俺、止まれなくなっちゃうかもしれないけど、いいの?」
「おや、いつもは止まれているような言い方ですね」
「……っ、それなりにセーブしてるよ!……ある程度は、甘えちゃってるけど」

 身体が小さく体力の差もあるノエルに無理をさせ過ぎないようにと、ジノはこれでも気を遣っているつもりでした。抑えが効かないこともありますが、優しいジノは本当の意味で何も気にせずに欲望と愛情のままにノエルを抱いたことはありませんでした。
 ノエルは、そのことが気に食わなかったのです。

「……セーブなんて、本当はしてほしくないんですよ。そんなものは必要ないと、あなたを受け入れた日から、覚悟しているんですから……」

 そう言って、ノエルはジノの身体にするりと腕を回し抱きしめて、そっとキスをしました。それが、始まりの合図でした。
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