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さんかくのボタン
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いつからか、画面に表示されるただの三角形のボタンにすら、むらむらしてしまうようになってしまった。ただの無機質な記号でしかないはずのそれは、今や好きな子のえっちな動画を始める合図を送れる、幸せのマークになっていた。
『んっ……♡今日は、このバイブで、遊びたいなって思います……♡』
再生ボタンを押して流れてくるのは、いつもの甘い声。地声は少し低そうで、チラチラと映り込む喉仏が、細い身体とミスマッチでセクシーだった。
俺はとあるエロ自撮り投稿サイトにどハマりしている。そして最早見るのが日課になりつつある動画投稿者は、柔らかそうな白い肌が艶かしくはあるが、れっきとした男だった。
俺は特にゲイというわけではないというのに、どう見ても女性ものの下着から、それなりのサイズのイチモツがはみ出ているのをエロく感じてしまうから、俺はもう手遅れなのかもしれない。
『あはっ♡今日は撮り始める前から始めちゃってました♡ふふふ……、あっ……んんっ…♡ もう、挿れちゃいますね……♡』
いつだって動画の中のこの子は、いやらしい行為に興奮して上擦った声をあげているから、地声なんて聞いたことがない。俺はこの子のことを何も知らないのだ。
アカウント名は恐らくデフォルトであろう英数字の羅列でしかなくて、動画内でも名前を名乗ってくれたことはない。いつも部屋の壁側の同じところで、同じ画角で撮影している。顔は絶対に映らない角度だし、動いた際に見切れそうになったときには必ずモザイクが入った。
変わるのは、着ているコスチュームと使っているおもちゃだけだ。ボイスチェンジャーは使っていないから、声はそのまま彼自身のものだった。
『あっ、あんっ……♡これ、きもちい……♡♡』
こんな動画を自ら撮って投稿しているというのに、どこか恥じらいを滲ませているアンバランスさがたまらない。恥ずかしそうに声をあげてはいるが、ぬらぬらと艶かしく濡れているアナルにエグい形をしたバイブを出し入れする手つきは激しい。
ぐちゅ♡ぬぢゅッ♡ぐちゅッ♡ぐちゅッ♡ぐちゅッ♡
俺はその出し入れの音でどんどんと興奮していく。
「は、クソッ……めっちゃエロい……!」
『あっ♡あっ♡ん~~ッ……♡♡ んん、はあ……っ♡きもち……っ♡♡気持ちいい……ッ♡♡』
「しかもカワイイ……!」
快感に弱くて、気持ちが良いと素直に口にするところが愛らしくて、綺麗な声が稀に掠れるのがひどく色っぽい。
動画を見るときは当然ながら、自分の右手は自らの性器をしっかりと握っている。左手で持ったスマホから流れる映像と音声で、恥ずかしいくらいに濡れたそれを一心不乱に擦り続けた。ぐちゅぐちゅと響くのが、自分の音なのか動画のものなのか、興奮と快楽で溶けきった頭ではもうわからない。
『イクっ……♡♡イッちゃう…♡ あ♡あっ、あ、あっ……♡♡♡』
「く、う……ッ!」
昂った感情のままに自身のものを擦りあげれば、容易く終わりが来る。ちょうど動画の中の彼もイッたあたりで、余韻に浸るみたいに深く息をして上下するお腹がかわいくていやらしい。
『はっ……♡はぁ……♡ぁ…♡ん、ふふ……♡イくところまで見てくれて、ありがとう…♡また次の動画でね♡』
最後にそう言って動画は終わる。
「はあ、今回の動画もめっちゃエロかわいかったな……」
いつも一人でした後は激しい賢者タイムに陥るものの、この子の動画を見た後は、そのかわいさを思い出せば賢者タイム特有の虚しさや馬鹿馬鹿しい気持ちさえもがどこかへ行ってしまう。
そう、この子はかわいい。ここ最近の俺は、この子のことばかり考えている。どんな顔してるだろうとか、どんな性格だろうとか。今まで使ったおもちゃでどれが一番良かっただろうとか、こんなコスチュームも着てみてほしいとか。綺麗な肌は触れたらどんな感触だろうとか、あのひくひくいやらしい穴に挿れたらどれだけ気持ちいいだろうかとか。
「これがガチ恋オタクってやつ?」
自分がこんなことになるとは思ってもみなかった。よく動画を見た人が投稿者にメッセージを送って出会う、なんて聞くけれど、そんなことできる気がしないし。
「……この子も、そういうことするのかな」
そう考えると、なんだか胸の奥がモヤモヤした。これは多分、嫉妬にも近いものだろう。
一度だけ、沸いた勇気をこじらせて、アカウントに登録されている捨てアドっぽいメールアドレスに、メッセージを送ろうとしたところまでは経験がある。その時に表示されたアドレスの、「haru」という文字列が忘れられない。彼の名前なのだろうか。
「……触りたい」
こんなときにぽつりと漏れる言葉が、会いたいとか好きだとかじゃない、あまりにも性欲が滲みすぎている言葉で、つい自分でも笑ってしまう。
でもぶっちゃけたところ、それが紛れもない本心だった。
『んっ……♡今日は、このバイブで、遊びたいなって思います……♡』
再生ボタンを押して流れてくるのは、いつもの甘い声。地声は少し低そうで、チラチラと映り込む喉仏が、細い身体とミスマッチでセクシーだった。
俺はとあるエロ自撮り投稿サイトにどハマりしている。そして最早見るのが日課になりつつある動画投稿者は、柔らかそうな白い肌が艶かしくはあるが、れっきとした男だった。
俺は特にゲイというわけではないというのに、どう見ても女性ものの下着から、それなりのサイズのイチモツがはみ出ているのをエロく感じてしまうから、俺はもう手遅れなのかもしれない。
『あはっ♡今日は撮り始める前から始めちゃってました♡ふふふ……、あっ……んんっ…♡ もう、挿れちゃいますね……♡』
いつだって動画の中のこの子は、いやらしい行為に興奮して上擦った声をあげているから、地声なんて聞いたことがない。俺はこの子のことを何も知らないのだ。
アカウント名は恐らくデフォルトであろう英数字の羅列でしかなくて、動画内でも名前を名乗ってくれたことはない。いつも部屋の壁側の同じところで、同じ画角で撮影している。顔は絶対に映らない角度だし、動いた際に見切れそうになったときには必ずモザイクが入った。
変わるのは、着ているコスチュームと使っているおもちゃだけだ。ボイスチェンジャーは使っていないから、声はそのまま彼自身のものだった。
『あっ、あんっ……♡これ、きもちい……♡♡』
こんな動画を自ら撮って投稿しているというのに、どこか恥じらいを滲ませているアンバランスさがたまらない。恥ずかしそうに声をあげてはいるが、ぬらぬらと艶かしく濡れているアナルにエグい形をしたバイブを出し入れする手つきは激しい。
ぐちゅ♡ぬぢゅッ♡ぐちゅッ♡ぐちゅッ♡ぐちゅッ♡
俺はその出し入れの音でどんどんと興奮していく。
「は、クソッ……めっちゃエロい……!」
『あっ♡あっ♡ん~~ッ……♡♡ んん、はあ……っ♡きもち……っ♡♡気持ちいい……ッ♡♡』
「しかもカワイイ……!」
快感に弱くて、気持ちが良いと素直に口にするところが愛らしくて、綺麗な声が稀に掠れるのがひどく色っぽい。
動画を見るときは当然ながら、自分の右手は自らの性器をしっかりと握っている。左手で持ったスマホから流れる映像と音声で、恥ずかしいくらいに濡れたそれを一心不乱に擦り続けた。ぐちゅぐちゅと響くのが、自分の音なのか動画のものなのか、興奮と快楽で溶けきった頭ではもうわからない。
『イクっ……♡♡イッちゃう…♡ あ♡あっ、あ、あっ……♡♡♡』
「く、う……ッ!」
昂った感情のままに自身のものを擦りあげれば、容易く終わりが来る。ちょうど動画の中の彼もイッたあたりで、余韻に浸るみたいに深く息をして上下するお腹がかわいくていやらしい。
『はっ……♡はぁ……♡ぁ…♡ん、ふふ……♡イくところまで見てくれて、ありがとう…♡また次の動画でね♡』
最後にそう言って動画は終わる。
「はあ、今回の動画もめっちゃエロかわいかったな……」
いつも一人でした後は激しい賢者タイムに陥るものの、この子の動画を見た後は、そのかわいさを思い出せば賢者タイム特有の虚しさや馬鹿馬鹿しい気持ちさえもがどこかへ行ってしまう。
そう、この子はかわいい。ここ最近の俺は、この子のことばかり考えている。どんな顔してるだろうとか、どんな性格だろうとか。今まで使ったおもちゃでどれが一番良かっただろうとか、こんなコスチュームも着てみてほしいとか。綺麗な肌は触れたらどんな感触だろうとか、あのひくひくいやらしい穴に挿れたらどれだけ気持ちいいだろうかとか。
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「……この子も、そういうことするのかな」
そう考えると、なんだか胸の奥がモヤモヤした。これは多分、嫉妬にも近いものだろう。
一度だけ、沸いた勇気をこじらせて、アカウントに登録されている捨てアドっぽいメールアドレスに、メッセージを送ろうとしたところまでは経験がある。その時に表示されたアドレスの、「haru」という文字列が忘れられない。彼の名前なのだろうか。
「……触りたい」
こんなときにぽつりと漏れる言葉が、会いたいとか好きだとかじゃない、あまりにも性欲が滲みすぎている言葉で、つい自分でも笑ってしまう。
でもぶっちゃけたところ、それが紛れもない本心だった。
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