死の境界で16人が殺し合う神前決闘

がんた

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第7話 上を目指す者

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目を開けると、天井があった。

自分の部屋だ。

大会のメダル。
バイク雑誌。
壁に貼った記録表。

全部、見慣れている。

だが、空気が違う。

音がない。

エアコンの低い唸りも、
外の車の音もない。

「……夢?」

立ち上がる。

体が軽い。

(まだ、上に行ける)

その瞬間。

頭の奥に、声が流れ込む。

──神前決闘。

──最後まで勝てば、願いが叶う。

──負ければ消える。

理解は一瞬だった。

ルールも。
意味も。
自分の願いも。

「もっと高く、飛ばせてほしい」

口に出していないのに、
胸の奥で言葉になる。

窓に手をかける。

開ける。

そこにあったのは――

晴れ渡る空。

そして、

黒い円壇。

直径五十メートルほどの石舞台。

その外側は、浅い水面。
波はない。
流れもない。

向こう岸に、鳥居の影。

空はやけに青い。

風は吹いていない。

(……なんだよ、ここ)

だが、恐怖はない。

むしろ、

心が高鳴る。

空が、近い。

足が勝手に動く。

拒否できない。

部屋を出る。

一歩で景色が変わる。

そこは、黄泉前。

黒い円壇が目の前にある。

足元の水面が、自分を映す。

細身の身体。
鋭い目。

どこか、浮いている。

地面に立っている感覚が薄い。

(悪くない)

自然と、体が浮く。

ほんの数センチ。

意識したわけではない。

ただ、

「上」を選んだだけ。

理解する。

これは、能力だ。

どこまでも飛べる。

視界が広がる。

円壇の中央に、

影がある。

巨大な影。

黒い塊。

やがて輪郭がはっきりする。

大柄な男性。

巨大な熊の様な。

動かない。

ただ、立っている。

目だけが、こちらを見ている。

重い。

空気が、重い。

(でか……)

だが、焦りはない。

むしろ冷静だ。

重そうだな。
遅そうだな。

短期決戦で終わる。

そう判断した瞬間、

男が、わずかに視線を上げる。

見下しているはずなのに。

なぜか、

見据えられている感覚がある。

「……高いな」

低い声が響く。

怒りでも、挑発でもない。

ただの事実の確認。

シュウは、少しだけ眉をひそめる。

(地面に立ってるやつの目じゃない)

男は動かない。

だが、逃げる様子もない。

山のように、そこにいる。

円壇の上。

空と地面。

その境界で、

二人は向き合う。

まだ、誰も動いていない。

だが、

戦いは、もう始まっている。

これは、シュウこと鷹村秀司の戦いの記憶だ。
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