死の境界で16人が殺し合う神前決闘

がんた

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第15話 止まるな

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足が重い。

呼吸が荒い。

見えない何かに絡め取られている。

分かっている。

このままでは削られる。

直線が潰される。

女は動かない。

ただ、立っている。

観察している。

(考えるな)

馬淵真人は拳を握る。

走れ。

止まるな。

それだけで生きてきた。

それだけで、ここまで来た。

なら、

それでいい。

深く息を吸う。

体の奥に熱が溜まる。

足に力を込める。

今までより強く。

今までより速く。

地面を蹴る。

水面が爆ぜる。

加速。

空気が裂ける。

さっきまでの重さが、一瞬置き去りになる。

女の目がわずかに動く。

(見えた)

女の視線が追いきれていない。

拘束が追いつかない。

なら、

速度を上げ続ける。

止まらないことが弱点なら、

止まらなければいい。

二度目の踏み込み。

三度目。

四度目。

直線の連続。

円壇を縦横に駆け抜ける。

絡みつく感覚が、振り切れる。

女の背後の影が揺れる。

一本目が乱れる。

二本目が薄くなる。

女が、半歩下がる。

初めてだ。

(効いてる)

拳を振るう。

今度は届く。

かすめる。

女の肩がわずかに揺れる。

表情は変わらない。

だが、

足元の水面が乱れる。

真人は止まらない。

突進。

突進。

突進。

円壇の中央を支配する。

速度が、場を壊す。

拘束の網を引き裂く。

女の呼吸がわずかに乱れる。

女は距離を取る。

一瞬、背後の影が三つに分かれかける。

だが、まだ完全ではない。

(押し切れる)

真人は確信する。

止まれないことは、弱点じゃない。

武器だ。

一気に間合いを詰める。

拳が腹部を捉える。

衝撃。

女の体が後方に滑る。

水面に大きな波紋。

初めて、女の足が踏み直される。

追い込んでいる。

確実に。

女の目が細くなる。

冷静なまま。

だが、

奥に何かが揺らぐ。

背後の影が、濃くなる。

細い首が、もう一本はっきり浮かび上がる。

空気が変わる。

だが、

今はまだ真人の領域だ。

息が荒い。

足は震えている。

それでも走る。

止まらない。

止まれない。

円壇の中央。

女は後退し、

真人が前に出る。

初めて、

戦況がひっくり返る。

「……止まりませんね」

女の声が静かに落ちる。

真人は答える。

「止まれないだけだ」

だが今は、

それで十分だった。
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