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第7話 九死に一生を得る

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フーッ、と息を吐いたあぶねぇもうちょいで天国へ逝くことになるところだった、今度から式神に対しての口の聞き方は気を付けよう。

そんなことを考えながら冷蔵庫からまた冷凍パスタを取り出し、電子レンジの中の暖め終わったパスタと入れ替え電子レンジのスイッチを押した。

すると氷鬼が不思議そうにこちらを見て、

「それどうするんですか?」

と暖め終わったパスタと今電子レンジに入れたパスタを指差しながら聞いてきた、

「何するってパスタは食べ物だろ、だったら食べるに決まっているだろ」

さっきよりもっと不思議そうな顔をした、何だろうか、パスタを食べたことが無いのだろうか。

「唐鳥さん、2つもパスタを食べるんですか、沢山食べますね」

「何でそうなるんだよ、今ここに居るのは氷鬼と俺の2人だろ、でパスタは今作っているのも合わせて2つ、だったら普通は1人1つになるだろ、どうしたら俺1人でパスタを2つも食べることになるんだよ!?」

そう言うと、氷鬼はとても驚いて、

「本当に食べていいんですか?」

「当たり前だろ、いいよ」

凄い、何か氷鬼が凄く嬉しそうな顔をしている、その顔を見ているとこっちまで嬉しくなるような顔だ、親の気持ちって言うのは、こんな気持ちなのだろうか?

氷鬼は俺が見ているのに気づくと少しだけ顔を赤くして

「すいません、初めて食べ物を食べるもので」

聞き間違えだろうか、今初めて食べ物を食べるとか聞こえたようなそれじゃまるで氷鬼の前の主人が虐待をしていた……あの俺をここに連れてきた男の話を思い出した。

ここに来るのは、傷を持った式神たち、その傷はここに来る式神達の主人である陰陽師に付けられる…………きっと、そうで合って欲しくは無いが氷鬼は前の主人から虐待を……いや、まだそうとは決まって無いから考えるのを止めよう。

「唐鳥さんパスタ出来ましたよ、どこで食べますか?」

「近くに椅子とか無いし、床も綺麗だから床で食べちゃおう」

こうして氷鬼は初めての楽しい食事を、俺にとっては重い雰囲気の食事が始まった。
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