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第1-2章 後宮下女→徳妃付侍女(新版)
「皇帝が来ようとわたしは寝ます」
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「今日は皇帝陛下の御通りがあります」
ある日のこと、侍女頭は真剣な面持ちでわたし達一同へと向かっていた。
陛下の御通り、それは文字通り皇帝が妃のもとへ訪れること。時には食事を、時には日中を、またある時は夜を共に過ごる。
妃は皇帝に愛されるために存在していると言っても過言ではない以上、この上ない光栄なことだと言える。
当たり前だけれどその相手はわたしなんかではなく、いやそもそも眼中にも無いだろうが、正一品の妃である徳妃様だ。侍女頭がいつになく気合が入っているのはそのためだ。他の皆も同じ気持ちらしく、やる気に満ち溢れていた。
「従って汚れは当然のこと、ホコリ一つだろうと部屋の中に残すことは許されません。いつも以上に気を引き締めて掃除、整理整頓に取り組むように」
「「「畏まりました」」」
いつも以上に、とは言われたものの、わたしがやる仕事はいつもと変わりない。いつだってやるからには本気で取り組んでいる。手抜きが起こらないよういつも以上気を付ければそれでいいのだから。
そうしていつもと少し違って張り詰めた午前が終わり、いよいよ皇帝のご到来の時間となった。既に陛下との御子を何人も育まれていた徳妃様も待っている時間は緊張したご様子だった。
「ようこそお越し下さりました、皇帝陛下」
現れた皇帝は、まあ、言ってしまえばもうおじさんと呼んでも差し支えない年齢に差し掛かっていた。白髪も目立ち始めているし目の周りや頬のシワも隠せていない。既に成人した御子が何名もいらっしゃるのだから当然といえば当然なのだが。
意外だったのだけれど、皇帝は威厳と優しさを兼ね備えたような方だった。多分服を平民のものにして帝都の市街地に紛れれば溶け込むだろうってぐらいに。
太平の世を統べる天子様としては最適な方、なのかもしれない。
「久しいな徳妃。元気にしていたか」
「おかげさまでこのように病気とは無縁の生活を送っています」
「そうか。今日は明日の朝までここにいる」
「陛下のお望みのままに」
そんな感じに始まった皇帝と徳妃様の団らんは、仲睦まじい熟練夫婦って雰囲気だった。
会話から察するに徳妃様は成人してすぐに皇帝の妃になったらしく、もう人生の半分以上を徳妃として過ごしてきたんだそうだ。
「それにしても徳妃は変わらぬなあ。出会った頃の美しくも可愛らしいままだ」
「お褒めいただき恐縮ですが、私とて老いには勝てませぬ。ほら、ご覧になってください。若い娘と比べて肌の張りも無くなっていますし」
「ほう、徳妃であっても若い娘達を羨むのか」
「だって陛下はそちらの方がお好みなんでしょう?」
「否定はしないが徳妃達とは違うな。違った愛で方があるというものだろう」
「んもう、陛下ったらお上手で」
で、徳妃様は皇帝を敬ってはいるものの結構大胆に言葉を交わしている。この辺りは長年連れ添った間柄なのもあるんでしょう。
新参者のわたしからすればハラハラ物だけれど、侍女頭達にとっては日常のようなものらしく、落ち着き払っていた。
さて、その間侍女は皇帝のおもてなしに従事する。皇帝と徳妃様のお時間の邪魔にならないように、しかし第三者の意見を求められたら即座に答えるように、そばに控える。
正一品の妃に仕える侍女ともなれば手慣れたもので、場の雰囲気を溶け込んでいた。
「で、雪慧は?」
「日が沈むまで仮眠を取ります。今日は寝ずの番ですから」
「あー、なるほど」
どうやら皇帝はこの年になってもまだ夜がお盛んらしく、更に言うと長年連れ添った徳妃様や貴妃様も頻繁に愛するんだとか。皇帝の義務である世継ぎを生むためではなく、互いの絆を確かめ合うように、だ。
当たり前だけれど皇帝の安全を確保するための見張りは必要なわけで。いかに皇帝は常日頃護衛を付き従えているとはいえ妃側がおんぶ抱っこのままはまずい、との考えから妃側も寝ずの番を出して皇帝と妃の守りを命ずるのだ。
で、その徹夜の見張りをわたしが買って出た次第だ。
「途中で寝ちゃわない?」
「一晩程度なら全く問題ありませんよ。せいぜい暇つぶしも出来ずに苦痛を感じるぐらいですか」
「ふぅん、そうなんだ」
ちなみに皇帝は一人で来訪したわけではなく、徳妃様との御子を全員連れてきた。暁明様の他は皇女がお二人。どちらも幼く、普段は母親たる徳妃様のお側と宮廷とで半々の時間を過ごされている。その日は皇帝と徳妃様ご両親に可愛がられていた。
なのに暁明様は夜に備えて仮眠を取ろうとするわたしのそばにいたりした。
理由を尋ねると、「会おうと思えばいつでも会える」「それより雪慧と一緒にいるほうが楽しい」と答えてきた。
「そうは言いましても暁明様って成人するまであと一年を切ってますよね」
「そうだね。大人になるまで後ちょっとだ」
「成人したらもう後宮には来れなくなりますよね」
「そうだね。後宮は皇帝陛下の妃が住む場所。成人男性の立ち入りはご法度だもの」
結局言い争いで暁明様には勝てなかったのでわたしは観念して「好きにしてください」と口にした。彼は「それじゃあ遠慮無く」とわたしの私室にまで入ってきた。
そこまでは許してない、って言っても聞かないんでしょうね。
「おいそれと徳妃様に会えなくなりますよね」
「それはしょうがないよ。いつかこうなるって覚悟はしてたし」
「だったら今のうちに可愛がられた方がいいんじゃないですか?」
「だから週何度もこっちに来てるんじゃないか。別に今日だけ特別ってわけじゃない」
寝間着……は仮眠を取る程度だし別にいい。けれど机に突っ伏したり椅子にもたれかかるだけだとあまり疲れは取れない。
やはりここは寝具に寝転がるのが一番だろう。昼食を取った後だから丁度よく眠気も襲ってきたし。
「じゃあ寝ます。おやすみなさい」
「うん、おやすみなさい」
で、寝具にくるまろうとしたら、暁明様は椅子に座ってこちらを眺めたまま動こうとしなかった。目を閉じても視線を感じて気になってしまう。
結果、意識が覚醒したまま悶々として全く眠れなかった。
「……。それで、いつまでここに留まるつもりですか?」
「え? 雪慧の寝顔を覗こうかと思ってるんだけど?」
「趣味悪いですねー。全く面白くないですよ?」
「僕がそうしたいんだからお構いなく」
そもそも一応断ってきたとはいえ女性の私室に入ってくるのは如何なものかと思うし、着替えだしたら彼はどうするつもりだったんだろう?
どうせなら暁明様を困らせるべく実行に移しても良かったかも……とまで思考を巡らせ、悪巧みが浮かんだ。
「そんな遠いところにいないでもっと近いところから見てもいいんですよ」
「もっと椅子を寄せてもいいの?」
「またまたー分かっているくせに。わたしの顔を拝みたいならそんな所からじゃなくてもっともーっと傍でも構いませんよ」
「いや、ちょっと待って。それってもしかして……」
わたしは毛布を持ち上げてこちらに手招きしてみせた。
「一緒に寝ましょうよ。昼寝って気持ちいいですよ」
さすがの暁明様もこれにはたじろいだ。
拒絶どころか大股で一歩踏み込む攻めを食らうのは流石に想定外だったようね。耳まで真っ赤にしてきたからこのお誘いに不順な意味があるとでも想像したのかしら?
してやったりとにやけたい気持ちを抑えられずにわたしは笑顔をこぼした。
「ほらぁ、どうしたんですか? そんなところで固まっていたら勿体ないですよ」
「……っ。そ、そんな、僕をからかおうったってそうはいかないからね!」
「からかう? わたしは単に一緒におネンネしましょうって誘ってるだけなんですが」
「……それ、挑発? 単に無防備なだけ? それとも、僕が子供だって侮ってるの?」
最初の方は恥ずかしさが表に出ていた暁明様の機嫌が段々と悪くなっていく。普段のお返しって表現が一番正しいんだけれど、そう言って納得する気配とは思えない。
雲行きが怪しくなるのはさすがにわたしの望みじゃあない。
仕方なくわたしは毛布を跳ね飛ばして起き上がり、彼の手首を取ると無理やり自分の方へと引き寄せた。そしてうろたえる彼なんてお構いなしにわたしは彼を懐で抱きしめた。何かを言おうとした彼の顔を胸に埋めてしまう。
「わたしの生まれ故郷は一年の半分近くとっても寒いんです。子供の頃はこうして兄弟達と身を寄せ合って寝たものですよ」
「ごくまれにこうして母がわたしを抱きしめてくれたんです。母はとても温かくて、安心できて、すぐに寝れましたね」
「わたしもまだまだ成長過程ですけど、暁明様を抱きとめられるぐらいの包容力ぐらいはあると思うんです。バレたら大問題ですけど、二人の秘密ってことで」
わたしは語りたいだけ語って目を閉じた。暁明様もわたしの腕から脱出するような抵抗を見せず、観念したようだった。
温かいを通り越して少し熱い気もするけれど、まあ許容範囲内だ。
結局その後すぐわたしは寝てしまった。起きたときには暁明様の姿はなかった。
ある日のこと、侍女頭は真剣な面持ちでわたし達一同へと向かっていた。
陛下の御通り、それは文字通り皇帝が妃のもとへ訪れること。時には食事を、時には日中を、またある時は夜を共に過ごる。
妃は皇帝に愛されるために存在していると言っても過言ではない以上、この上ない光栄なことだと言える。
当たり前だけれどその相手はわたしなんかではなく、いやそもそも眼中にも無いだろうが、正一品の妃である徳妃様だ。侍女頭がいつになく気合が入っているのはそのためだ。他の皆も同じ気持ちらしく、やる気に満ち溢れていた。
「従って汚れは当然のこと、ホコリ一つだろうと部屋の中に残すことは許されません。いつも以上に気を引き締めて掃除、整理整頓に取り組むように」
「「「畏まりました」」」
いつも以上に、とは言われたものの、わたしがやる仕事はいつもと変わりない。いつだってやるからには本気で取り組んでいる。手抜きが起こらないよういつも以上気を付ければそれでいいのだから。
そうしていつもと少し違って張り詰めた午前が終わり、いよいよ皇帝のご到来の時間となった。既に陛下との御子を何人も育まれていた徳妃様も待っている時間は緊張したご様子だった。
「ようこそお越し下さりました、皇帝陛下」
現れた皇帝は、まあ、言ってしまえばもうおじさんと呼んでも差し支えない年齢に差し掛かっていた。白髪も目立ち始めているし目の周りや頬のシワも隠せていない。既に成人した御子が何名もいらっしゃるのだから当然といえば当然なのだが。
意外だったのだけれど、皇帝は威厳と優しさを兼ね備えたような方だった。多分服を平民のものにして帝都の市街地に紛れれば溶け込むだろうってぐらいに。
太平の世を統べる天子様としては最適な方、なのかもしれない。
「久しいな徳妃。元気にしていたか」
「おかげさまでこのように病気とは無縁の生活を送っています」
「そうか。今日は明日の朝までここにいる」
「陛下のお望みのままに」
そんな感じに始まった皇帝と徳妃様の団らんは、仲睦まじい熟練夫婦って雰囲気だった。
会話から察するに徳妃様は成人してすぐに皇帝の妃になったらしく、もう人生の半分以上を徳妃として過ごしてきたんだそうだ。
「それにしても徳妃は変わらぬなあ。出会った頃の美しくも可愛らしいままだ」
「お褒めいただき恐縮ですが、私とて老いには勝てませぬ。ほら、ご覧になってください。若い娘と比べて肌の張りも無くなっていますし」
「ほう、徳妃であっても若い娘達を羨むのか」
「だって陛下はそちらの方がお好みなんでしょう?」
「否定はしないが徳妃達とは違うな。違った愛で方があるというものだろう」
「んもう、陛下ったらお上手で」
で、徳妃様は皇帝を敬ってはいるものの結構大胆に言葉を交わしている。この辺りは長年連れ添った間柄なのもあるんでしょう。
新参者のわたしからすればハラハラ物だけれど、侍女頭達にとっては日常のようなものらしく、落ち着き払っていた。
さて、その間侍女は皇帝のおもてなしに従事する。皇帝と徳妃様のお時間の邪魔にならないように、しかし第三者の意見を求められたら即座に答えるように、そばに控える。
正一品の妃に仕える侍女ともなれば手慣れたもので、場の雰囲気を溶け込んでいた。
「で、雪慧は?」
「日が沈むまで仮眠を取ります。今日は寝ずの番ですから」
「あー、なるほど」
どうやら皇帝はこの年になってもまだ夜がお盛んらしく、更に言うと長年連れ添った徳妃様や貴妃様も頻繁に愛するんだとか。皇帝の義務である世継ぎを生むためではなく、互いの絆を確かめ合うように、だ。
当たり前だけれど皇帝の安全を確保するための見張りは必要なわけで。いかに皇帝は常日頃護衛を付き従えているとはいえ妃側がおんぶ抱っこのままはまずい、との考えから妃側も寝ずの番を出して皇帝と妃の守りを命ずるのだ。
で、その徹夜の見張りをわたしが買って出た次第だ。
「途中で寝ちゃわない?」
「一晩程度なら全く問題ありませんよ。せいぜい暇つぶしも出来ずに苦痛を感じるぐらいですか」
「ふぅん、そうなんだ」
ちなみに皇帝は一人で来訪したわけではなく、徳妃様との御子を全員連れてきた。暁明様の他は皇女がお二人。どちらも幼く、普段は母親たる徳妃様のお側と宮廷とで半々の時間を過ごされている。その日は皇帝と徳妃様ご両親に可愛がられていた。
なのに暁明様は夜に備えて仮眠を取ろうとするわたしのそばにいたりした。
理由を尋ねると、「会おうと思えばいつでも会える」「それより雪慧と一緒にいるほうが楽しい」と答えてきた。
「そうは言いましても暁明様って成人するまであと一年を切ってますよね」
「そうだね。大人になるまで後ちょっとだ」
「成人したらもう後宮には来れなくなりますよね」
「そうだね。後宮は皇帝陛下の妃が住む場所。成人男性の立ち入りはご法度だもの」
結局言い争いで暁明様には勝てなかったのでわたしは観念して「好きにしてください」と口にした。彼は「それじゃあ遠慮無く」とわたしの私室にまで入ってきた。
そこまでは許してない、って言っても聞かないんでしょうね。
「おいそれと徳妃様に会えなくなりますよね」
「それはしょうがないよ。いつかこうなるって覚悟はしてたし」
「だったら今のうちに可愛がられた方がいいんじゃないですか?」
「だから週何度もこっちに来てるんじゃないか。別に今日だけ特別ってわけじゃない」
寝間着……は仮眠を取る程度だし別にいい。けれど机に突っ伏したり椅子にもたれかかるだけだとあまり疲れは取れない。
やはりここは寝具に寝転がるのが一番だろう。昼食を取った後だから丁度よく眠気も襲ってきたし。
「じゃあ寝ます。おやすみなさい」
「うん、おやすみなさい」
で、寝具にくるまろうとしたら、暁明様は椅子に座ってこちらを眺めたまま動こうとしなかった。目を閉じても視線を感じて気になってしまう。
結果、意識が覚醒したまま悶々として全く眠れなかった。
「……。それで、いつまでここに留まるつもりですか?」
「え? 雪慧の寝顔を覗こうかと思ってるんだけど?」
「趣味悪いですねー。全く面白くないですよ?」
「僕がそうしたいんだからお構いなく」
そもそも一応断ってきたとはいえ女性の私室に入ってくるのは如何なものかと思うし、着替えだしたら彼はどうするつもりだったんだろう?
どうせなら暁明様を困らせるべく実行に移しても良かったかも……とまで思考を巡らせ、悪巧みが浮かんだ。
「そんな遠いところにいないでもっと近いところから見てもいいんですよ」
「もっと椅子を寄せてもいいの?」
「またまたー分かっているくせに。わたしの顔を拝みたいならそんな所からじゃなくてもっともーっと傍でも構いませんよ」
「いや、ちょっと待って。それってもしかして……」
わたしは毛布を持ち上げてこちらに手招きしてみせた。
「一緒に寝ましょうよ。昼寝って気持ちいいですよ」
さすがの暁明様もこれにはたじろいだ。
拒絶どころか大股で一歩踏み込む攻めを食らうのは流石に想定外だったようね。耳まで真っ赤にしてきたからこのお誘いに不順な意味があるとでも想像したのかしら?
してやったりとにやけたい気持ちを抑えられずにわたしは笑顔をこぼした。
「ほらぁ、どうしたんですか? そんなところで固まっていたら勿体ないですよ」
「……っ。そ、そんな、僕をからかおうったってそうはいかないからね!」
「からかう? わたしは単に一緒におネンネしましょうって誘ってるだけなんですが」
「……それ、挑発? 単に無防備なだけ? それとも、僕が子供だって侮ってるの?」
最初の方は恥ずかしさが表に出ていた暁明様の機嫌が段々と悪くなっていく。普段のお返しって表現が一番正しいんだけれど、そう言って納得する気配とは思えない。
雲行きが怪しくなるのはさすがにわたしの望みじゃあない。
仕方なくわたしは毛布を跳ね飛ばして起き上がり、彼の手首を取ると無理やり自分の方へと引き寄せた。そしてうろたえる彼なんてお構いなしにわたしは彼を懐で抱きしめた。何かを言おうとした彼の顔を胸に埋めてしまう。
「わたしの生まれ故郷は一年の半分近くとっても寒いんです。子供の頃はこうして兄弟達と身を寄せ合って寝たものですよ」
「ごくまれにこうして母がわたしを抱きしめてくれたんです。母はとても温かくて、安心できて、すぐに寝れましたね」
「わたしもまだまだ成長過程ですけど、暁明様を抱きとめられるぐらいの包容力ぐらいはあると思うんです。バレたら大問題ですけど、二人の秘密ってことで」
わたしは語りたいだけ語って目を閉じた。暁明様もわたしの腕から脱出するような抵抗を見せず、観念したようだった。
温かいを通り越して少し熱い気もするけれど、まあ許容範囲内だ。
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