43 / 53
Season 2 キャサリン・ランカスター
処刑まであと20日(後)
しおりを挟む
『白き島2』では主人公は様々な男性と恋愛し、最後には添い遂げる。
主人公を見初めることになる『攻略対象者』は以下の通りらしい。
王太子フィリップ。アルビオン王国の正統後継者。
宰相嫡男オリバー。後に王太子の右腕になって国を支える頭脳担当。
第一王宮騎士団長嫡男ジェイコブ。後に王太子の懐刀になる武門担当。
商会御曹司ウォルター。後にアルビオン王国を栄えさせる経済担当。
王弟エルンスト。彼に愛されると後に彼と主人公の子孫が王位を継承していく。
「何度聞いても凄い人たちばかりね……」
「でしょう? アペンド版だと男キャラを更に攻略出来るようになるのよ」
隣国王子フレデリック。他の登場人物と比べて若干愛が重いらしい。
公爵家従者ジョージ。『悪役令嬢』に虐げられる不幸担当。
聖職者アラン。聖女としての役目と恋愛とで葛藤する悩み担当。
この八人の中でよりどりみどりだ、とシャーロットは目を輝かせていた。更には『ファンディスク』だと『ハーレムルート』も実装されてて、追加攻略対象者を除く五人全員から愛されるようになる。
「は? 五人全員?」
「そうよ」
「どうやって家族になるの? 一緒に住むの?」
「そうよ」
「常識的にありえなくない?」
「関係ない! ありえない夢を実現させるからファンディスクなの!」
「『ファンディスク』って恐ろしいわね……」
この時はまだシャーロットは誰を攻略するか決めていなかった。『白き島2』だと王弟エルンストが一番好きだったらしいけれど、「『2次元』と『3次元』は違うし、実際会ってみないと」とわけがわからない理由を語った。
さて、シャーロットはそんな『白き島2』を実現させる夢についてはおくびにも出さなかった。『前世』の知識を表に出さなくても彼女は町中の人気者だった。大人達は自分のせがれに嫁がないか、と冗談交じりに言っていたものだ。
一方、わたしはとある理由があって極力目立たないように生活していた。同じぐらいの年の子どもと遊ぶようになったのもシャーロットが誘ってくれたからだし、町の人たちから親しくされたのも彼女のおかげと言って過言じゃなかった。
お母さんは心配してた。秘密がみんなにバレたら大変なことになる、って。
でもシャーロットと仲良くなったわたしはみんなと遊びたかったし、家に引きこもるなんて嫌だった。秘密だって気をつけてればみんな分からないし、大げさだなぁって思ったものだ。だから我儘言ってお母さんと喧嘩したこともあったなぁ。
今のわたしがその場にいたら、クソガキだったわたしの首を絞めてやる。
そんな能天気だったから取り返しのつかないことになったんだ。
呪ってやる。恨んでやる。
わたし自身も、シャーロットも、この世の全てを。
愚かだったわたしはシャーロットの目論見なんて全く気付かず、彼女のことを親友だと思ってた。そしてシャーロットが無事に素敵な人と恋をして結婚出来ますように、って神様に祈ったものよ。
そうして少年・少女時代を送って、わたし達は男の子が男らしく、女の子が女らしい身体に成長するぐらいの年になった。わたしも例外なく女らしい身体つきにだんだんとなっていた。
けれど、他の子とわたしは違った。違っていたのよ。
馬鹿なわたしはその時まで話半分にしか聞いてなかった。
けれど、運命とやらは容赦なくわたしに襲いかかってきたんだ。
わたしは、■■になってしまった。
主人公を見初めることになる『攻略対象者』は以下の通りらしい。
王太子フィリップ。アルビオン王国の正統後継者。
宰相嫡男オリバー。後に王太子の右腕になって国を支える頭脳担当。
第一王宮騎士団長嫡男ジェイコブ。後に王太子の懐刀になる武門担当。
商会御曹司ウォルター。後にアルビオン王国を栄えさせる経済担当。
王弟エルンスト。彼に愛されると後に彼と主人公の子孫が王位を継承していく。
「何度聞いても凄い人たちばかりね……」
「でしょう? アペンド版だと男キャラを更に攻略出来るようになるのよ」
隣国王子フレデリック。他の登場人物と比べて若干愛が重いらしい。
公爵家従者ジョージ。『悪役令嬢』に虐げられる不幸担当。
聖職者アラン。聖女としての役目と恋愛とで葛藤する悩み担当。
この八人の中でよりどりみどりだ、とシャーロットは目を輝かせていた。更には『ファンディスク』だと『ハーレムルート』も実装されてて、追加攻略対象者を除く五人全員から愛されるようになる。
「は? 五人全員?」
「そうよ」
「どうやって家族になるの? 一緒に住むの?」
「そうよ」
「常識的にありえなくない?」
「関係ない! ありえない夢を実現させるからファンディスクなの!」
「『ファンディスク』って恐ろしいわね……」
この時はまだシャーロットは誰を攻略するか決めていなかった。『白き島2』だと王弟エルンストが一番好きだったらしいけれど、「『2次元』と『3次元』は違うし、実際会ってみないと」とわけがわからない理由を語った。
さて、シャーロットはそんな『白き島2』を実現させる夢についてはおくびにも出さなかった。『前世』の知識を表に出さなくても彼女は町中の人気者だった。大人達は自分のせがれに嫁がないか、と冗談交じりに言っていたものだ。
一方、わたしはとある理由があって極力目立たないように生活していた。同じぐらいの年の子どもと遊ぶようになったのもシャーロットが誘ってくれたからだし、町の人たちから親しくされたのも彼女のおかげと言って過言じゃなかった。
お母さんは心配してた。秘密がみんなにバレたら大変なことになる、って。
でもシャーロットと仲良くなったわたしはみんなと遊びたかったし、家に引きこもるなんて嫌だった。秘密だって気をつけてればみんな分からないし、大げさだなぁって思ったものだ。だから我儘言ってお母さんと喧嘩したこともあったなぁ。
今のわたしがその場にいたら、クソガキだったわたしの首を絞めてやる。
そんな能天気だったから取り返しのつかないことになったんだ。
呪ってやる。恨んでやる。
わたし自身も、シャーロットも、この世の全てを。
愚かだったわたしはシャーロットの目論見なんて全く気付かず、彼女のことを親友だと思ってた。そしてシャーロットが無事に素敵な人と恋をして結婚出来ますように、って神様に祈ったものよ。
そうして少年・少女時代を送って、わたし達は男の子が男らしく、女の子が女らしい身体に成長するぐらいの年になった。わたしも例外なく女らしい身体つきにだんだんとなっていた。
けれど、他の子とわたしは違った。違っていたのよ。
馬鹿なわたしはその時まで話半分にしか聞いてなかった。
けれど、運命とやらは容赦なくわたしに襲いかかってきたんだ。
わたしは、■■になってしまった。
43
あなたにおすすめの小説
婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました
kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」
王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
私に姉など居ませんが?
山葵
恋愛
「ごめんよ、クリス。僕は君よりお姉さんの方が好きになってしまったんだ。だから婚約を解消して欲しい」
「婚約破棄という事で宜しいですか?では、構いませんよ」
「ありがとう」
私は婚約者スティーブと結婚破棄した。
書類にサインをし、慰謝料も請求した。
「ところでスティーブ様、私には姉はおりませんが、一体誰と婚約をするのですか?」
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
側妃は捨てられましたので
なか
恋愛
「この国に側妃など要らないのではないか?」
現王、ランドルフが呟いた言葉。
周囲の人間は内心に怒りを抱きつつ、聞き耳を立てる。
ランドルフは、彼のために人生を捧げて王妃となったクリスティーナ妃を側妃に変え。
別の女性を正妃として迎え入れた。
裏切りに近い行為は彼女の心を確かに傷付け、癒えてもいない内に廃妃にすると宣言したのだ。
あまりの横暴、人道を無視した非道な行い。
だが、彼を止める事は誰にも出来ず。
廃妃となった事実を知らされたクリスティーナは、涙で瞳を潤ませながら「分かりました」とだけ答えた。
王妃として教育を受けて、側妃にされ
廃妃となった彼女。
その半生をランドルフのために捧げ、彼のために献身した事実さえも軽んじられる。
実の両親さえ……彼女を慰めてくれずに『捨てられた女性に価値はない』と非難した。
それらの行為に……彼女の心が吹っ切れた。
屋敷を飛び出し、一人で生きていく事を選択した。
ただコソコソと身を隠すつもりはない。
私を軽んじて。
捨てた彼らに自身の価値を示すため。
捨てられたのは、どちらか……。
後悔するのはどちらかを示すために。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。