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学園
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女は洞穴に入る。さぁ、これが最後の戻るチャンスだ。俺は当然まだあの女には勝てないし、この中にはこいつの仲間が大勢いるだろうから勝つ確率なんてものは天文学的数字だろう。そして俺はこいつらの敵、然も敵陣営の中核人物であるのだから、もしかしたらこちら側の情報を知るために拷問されるかもしれない。俺は一呼吸おく。どうする、俺。このままこいつらの巣の情報だけを持ち帰ってあとは親父に任せるのも手だぞ。と考えてみるが、ここにきた時点で答えは決まっている。そうだ。俺はこの女についていく。たとえそれが罠であったとしても。
洞窟内には多くの龍がいた。みんな俺を睨んでいる。その中の一体がこう話しかけてきた。
「おい、ドラゴニル。人間なんか連れてきてなんの真似だ」
「うるせぇ、龍皇がこいつに用があるって言っているんだ」
「こいつに?……まあ確かに人間にしちゃ強そうだが、あの方が興味を持つほどか?」
「黙ってな。狭量なあんたにはあの方の考えなどわからないだろうから」
「お前もだろ」
……
ドラゴニルと呼ばれた女はその言葉を無視して奥に進む。すると、一つ、大きな扉が現れた。女は徐にそれを開く。それだけでもこの女が怪力だと言うことが知れた。
金属の扉が岩に擦れ耳障りな金切り声を出す。女は俺に先を促した。俺はその指示に従って入る。その先にいたのは――あの老人だった。
龍皇ってのはあんたのことか?
「ああ、そうだとも」
なるほど、通りで。ただの龍にケインさんがやられるわけがないし、矢張り王は曲がりなりにも王ってことか。
「はっはっ、まあ、あやつには少し手こずったがな。何せ、時空間魔術を儂が使う前提で戦ってくるのだから。普通だったらもっと圧倒されても良いものを……」
で、なんのようだ。
「前に言ったじゃろ。ほら、時空間魔術と体術を教えてやろうとな」
……敵の俺にか?
「……まあ、敵に塩を送るのもまた一興じゃろう」
老人は俺から目を離すと、机に立てかけられていた無骨な杖を手に取りこう言い放った。
「まず、人間よ。アルバートと言ったか?ではアルよ。お前は体術の型がなっていない。そこから指導を始める。そして体が疲れたら次は魔術だ。時空間魔術だ。頭も使おうではないか。これには膨大な努力と……何より才能が要る。儂の指導は少し厳しいが――ついてこられるかな?」
ちっ、あんたの腹の中はついぞわかりかねるが、くれるもんは全部もらってやるよ。
「ふぉっふぉっ、その意気じゃ」
こうして龍皇と俺の、不思議な関係が始まったのだった。
洞窟内には多くの龍がいた。みんな俺を睨んでいる。その中の一体がこう話しかけてきた。
「おい、ドラゴニル。人間なんか連れてきてなんの真似だ」
「うるせぇ、龍皇がこいつに用があるって言っているんだ」
「こいつに?……まあ確かに人間にしちゃ強そうだが、あの方が興味を持つほどか?」
「黙ってな。狭量なあんたにはあの方の考えなどわからないだろうから」
「お前もだろ」
……
ドラゴニルと呼ばれた女はその言葉を無視して奥に進む。すると、一つ、大きな扉が現れた。女は徐にそれを開く。それだけでもこの女が怪力だと言うことが知れた。
金属の扉が岩に擦れ耳障りな金切り声を出す。女は俺に先を促した。俺はその指示に従って入る。その先にいたのは――あの老人だった。
龍皇ってのはあんたのことか?
「ああ、そうだとも」
なるほど、通りで。ただの龍にケインさんがやられるわけがないし、矢張り王は曲がりなりにも王ってことか。
「はっはっ、まあ、あやつには少し手こずったがな。何せ、時空間魔術を儂が使う前提で戦ってくるのだから。普通だったらもっと圧倒されても良いものを……」
で、なんのようだ。
「前に言ったじゃろ。ほら、時空間魔術と体術を教えてやろうとな」
……敵の俺にか?
「……まあ、敵に塩を送るのもまた一興じゃろう」
老人は俺から目を離すと、机に立てかけられていた無骨な杖を手に取りこう言い放った。
「まず、人間よ。アルバートと言ったか?ではアルよ。お前は体術の型がなっていない。そこから指導を始める。そして体が疲れたら次は魔術だ。時空間魔術だ。頭も使おうではないか。これには膨大な努力と……何より才能が要る。儂の指導は少し厳しいが――ついてこられるかな?」
ちっ、あんたの腹の中はついぞわかりかねるが、くれるもんは全部もらってやるよ。
「ふぉっふぉっ、その意気じゃ」
こうして龍皇と俺の、不思議な関係が始まったのだった。
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