【乙女ゲーム】×【ミステリー】 男装王子~モテの中の1%の殺意~ 毎週金曜日・月曜日 22:00に次話公開!

キルト

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第三章 死神VR

第九話 二人目の正体

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 第九話 二人目の正体

 日も暮れ王国全体が闇に包まれた深夜。
 王国郊外の倉庫街。
 静寂に包まれた周囲の空気は少し湿り気を帯びていた。
 私はパイル宰相を伴い先程から息を潜めて身を隠している。
 耳を澄ますと微かな息遣いが点々と存在していた。
 湿り気を帯びたレンガの匂いが微かに倉庫から漂っている。

「こっ、今夜、港の倉庫でジャガード商会の裏取引がある。
 二人目はそこを襲ってジャガード商会を壊滅させるつもりだ。」

 あの占い師の話が本当なら今夜ここでジャガード商会の裏取引がある筈だった。
 
「ルプリ公爵。
 本当に今夜ここでジャガード商会の裏取引があるんだな。」

 隣のパイル宰相が囁く。

「ええ、私の掴んだ情報によると、その筈です。」

 私が頷くとパイル宰相も頷き笑みを浮かべる。

「よしっ、それなら好都合だ。
 俺もあいつをずっとマークしていたんだ。
 侵略王 ジャガード伯爵。
 亡国を侵略し秘薬の製法を独占し財をなした大悪党。
 今では密かに人身売買や違法取引等やりたい放題だ。
 その身辺を探れば探る程に黒い噂が絶えない。
 だが秘薬を餌に有力貴族達に深く入り込んでいて、
 うかつに手を出せない人物だ。
 それがついに今夜犯罪の証拠を掴む時が来た。
 だがルプリ公爵。
 君はどうやってこんな重要な情報を掴んだんだ?」

 不思議そうにパイル宰相が訊ねた。
 ジャガード伯爵は用心深い。
 今までパイルが宰相の力をもって調べても全くシッポを掴む事は出来なかった。
 ルプリ公爵は王国特命公爵。
 一部の条件下においてその権力はパイル宰相をも凌ぐ。
 だがルプリ公爵が王国特命公爵になったのはつい先日の事だ。
 たった数日でジャガード伯爵の秘密に行きついたのは不思議でならなかった。
 だからルプリ公爵からこの話を聞いた時は半信半疑だった。
 (どうせガセネタだろう。)
 やっかみもあるが、正直そう思っていた。
 だが王国特命公爵からの正式な依頼。
 断る事も出来ず形だけの部隊を引き連れてやって来た。

 ざわざわ

 暫くすると倉庫内で動きがあった。
 パイルは部下達へ目配せすると気配を消して倉庫へ近づいた。
 中を窺うと数名の異国の女性達が鎖で繋がれ手荒い扱いを受けている。
 (人身売買っ、酷い。)
 リプルは嫌悪感でいっぱいになった。
 (彼女達を早く助けてあげたい。)
 そう思いパイルを見つめるが彼は動かない。
 そう今夜の私達の目的は二つ。
 ジャガード伯爵の犯罪の証拠を掴み逮捕する事。
 そして亡国のスパイ。
 通常『二人目』を捕まえる事だった。
 ジャガード伯爵のせいで滅亡したハドディ帝国。
 国を奪われ、秘薬を奪われ、名誉まで奪われた。
 亡国の人々の恨みは相当なものだろう。
 一人目のスパイ カルゼは先日捕まえた。
 残るは二人目だけだった。
 
 『必ず二人目はジャガード伯爵を殺しに来る。』 

 パイル宰相には確信があった。
 日頃身を隠しているジャガード伯爵が表に出て来る。
 こんなチャンスは滅多にないからだ。
 ジャガード伯爵は用心深い。
 だから余程大きな取引でもない限り表には出て来ない。

 中では何やら取引が始まった様だった。
 見ていると一人の男が前に出て何やら話し始めた。
 恰幅のよい大柄な体つき。
 ボサボサの赤い髪にモウモウと蓄えられた口髭。
 ガサツな風貌からはその粗暴な性格が滲み出ていた。

 パイルが黙って手を上げると部下達が倉庫を取り囲むように散って行った。
 (クソッ、本物かよっ、
  こんな事ならもっと部隊を連れてくればよかった。)
 パイルは自分の浅はかさに後悔した。
 あれだけ調べてもシッポを掴めなかったジャガード伯爵の居所。
 それをあっさりと突き止められて悔しい気持ちになっていた。
 だから自分への言い訳にきっとガセネタに違いないと言い聞かせ少数で来てしまった。
 この人数ではジャガード伯爵を捕まえるのはギリギリだろう。
 やり方を間違えば逃げられてしまう。
 (認めたくはないが、ルプリ公爵の実力は本物だと言う事か。)
 自己嫌悪に陥りながらも気を取り直して中の様子を窺う。

 倉庫内では今まさに取引が成立しようとしていた。
 ジャガード伯爵が舌なめずりをしながら奴隷の女達を見つめと荒々しく髪を掴んだ。

「いやっ」

 顔を背ける奴隷の表情を満足そうに髭を撫でながら見つめ一人一人値踏みをしていた。
 商談相手の男はそれを遮る様に何か話しかけている。
 私達はそっと倉庫内へ潜入しその会話に耳を澄ました。

「商品の品定めはもういいだろう。
 それより金貨は用意してあるんだろうな。」

「ふんっ、ワシを誰だと思っている。
 おいっ。」

 そう言うと後ろの部下が重そうな革袋を抱えて来た。
 男はその口を開けて中を確認すると黙って頷いた。

「いいだろう。
 所でジャガード伯爵。
 実はもう一つ買って貰いたいモノがある。
 王国の誰もまだ持っていない代物だ。
 値段は金貨一万枚だ。」

「なにっ、金貨一万枚だとっ」

 その価格にジャガード伯爵も驚いた。
 ジャガードが王族に売りつけている秘薬でさえそんなにしない。
 ましてや一万金貨あれば奴隷が何百人だって買えるだろう。
 (それ程の価値があるということか?)

「どうだ。
 買わないかい。
 興味がないのなら他へ売るから別に構わないが。
 どうせすぐに売れるだろうし。」

 そう言って男は微笑んだ。
 その自信に満ちた表情。
 侵略王へ言い放つからにはあながち嘘でもないのだろう。
 思わぬ提案にジャガードは久しぶりに胸が高鳴るのを感じた。
 『独占欲』
 それが彼を突き動かす原動力だった。
 ジャガードは辺境の地の次男として生まれた。
 王都から忘れられた田舎の豪族。
 それは彼にとっては余りに狭く退屈だった。
 領主が死に成人すると彼は直ぐに謀反を起こし実の兄を殺害した。
 表向きは名誉の戦死。
 だが実の所、ジャガードが戦乱のどさくさに紛れて兄を討ったのだ。
 実権を握ったジャガードは隣国へ無断で戦争を仕掛けた。
 いわゆる悪名高いハドディ帝国への秘薬戦争である。
 だがどんなに金を儲けても彼の心は潤う事はなかった。
 『言い様のない程の心の渇き』
 身につける物。
 従える者。
 手にした権力。
 全てを独占しなければ気が済まない。
 (誰もがワシの事を田舎貴族と言わなくなるまで……)
 そんなジャガード伯爵にとって男の提案は魅力的だった。
 『王国の誰も持っていない代物』
 ジャガードは高鳴る鼓動を隠しつつ慎重に交渉を始める。

「ゴホンッ、まぁ価値のあるモノなら買ってやらん訳でもない。
 で?
 その金貨一万枚の商品とは何なのだ。」

 ジャガードがそう訊ねると男は大事そうに革製の袋を取り出した。
 
「これなんだが、ちょっと見てみるかい。」

 そう言って勿体ぶった様に妖しく手招きする。
 ジャガードが興味津々で近づくと男は革袋から短剣を取り出しいきなり切りつけた。

「死ねっ、ジャガードっ、」

「なっ、なに?
 うわぁぁ」

 寸での所で急所を外すジャガード。
 肩からはボタボタと血が流れていた。

「貴様っ、どういうつもりだっ。」

「どういうつもり?
 お前はここで死ぬんだよ。」

 そう言うと再び短剣を振りかざした。
 (えっ、ニット?)
 リプルは自分の目を疑った。
 (どうしてこんな所にニットが?)
 気がつくと私は声を出していた。

「ニット」

 その言葉に男は驚いた様に振りかざした短剣を止めて思わず振り返る。

「えっ、リプル?
 どうしてこんな所へ」

 その瞬間。ジャガードはニットへ体当たりをかますと短剣を奪い馬乗りになる。
 (えっ、危ないっ)
 ニットが睨みつける中でジャガードはニヤリと笑うと短剣を心臓へ突き刺した。

「ニットっ?
 いゃゃゃぁ」

 私が叫び声を上げる中でパイル宰相が声を張り上げる。

「確保しろっ、一人も逃がすなよ。」

 バタバタと皆が逃げ出す中で私はニットへ駆け寄った。

「ニットっ、どうして」

 必死に傷口を押さえ抱きかかえる私の手にドクドクと血が溢れ出して来る。
 ぬるぬるという生温かい感触とむせ返るような血の匂い。
 (どうしよう? 血が止まらない。)
 そんな私の頬にニットは手を添えると微笑んだ。

「やっとリプルに近づけた。
 ずっとこうして近くで顔を見つめていたかったんだ。
 リプルっ、隠していてゴメンよ。
 俺、ずっとリプルの事が好きだった。」

 (いやっ、こんなのダメ。
  お願いニット死なないで。)
 私は占い師から貰った死神のペンダントを取り出すと必死に祈りを捧げた。
 すると立ち眩みがして一瞬私の記憶が飛んだ。

 ………………

「死ねっ、ジャガードっ、」

「なっ、なに?
 うわぁぁ」

 寸での所で急所を外すジャガード。
 肩からはボタボタと血が流れていた。

「貴様っ、どういうつもりだっ。」

「どういうつもり?
 お前はここで死ぬんだよ。」

 そう言うと再び短剣を振りかざした。
 
 (えっ、何? 時間が戻ったの?)
 私は必死に状況を把握する。
 気がつくとニットは逃げるジャガードに馬乗りになり心臓へ短剣を突き立てていた。
 混乱する中でパイル宰相が声を張り上げる。

「確保しろっ、一人も逃がすなよ。」

 バタバタと皆が逃げ出す中で私はニットへ駆け寄った。

「ニットっ、どうして」

 駆け寄る私にニットは悲しく微笑んだ。

「あぁぁ、リプル。
 出来れば君にはボクが人を殺す所を見て欲しくはなかったな。」

 そう力なく呟くと憲兵達に両腕を掴まれた。

「特別外交官のニット君だね。
 どんな理由があるにしろ殺人は重罪だ。
 それに君には亡国のスパイの容疑が駆けられている。
 悪いが一緒に来てもらおう。」

「待って下さいっ。
 何かの間違いです。
 彼がスパイな訳がないっ。
 王国を裏切るなんてそんな事を出来る人じゃあありません。
 彼の事は幼い頃から一緒の私が一番よく知っているんです。
 ジャガード伯爵を殺したのだってきっと何か深い訳がある筈です。」

 そう言うリプルを面倒臭そうにパイル宰相は無視をする。

「特別外交官 ニット。
 王国スパイ容疑及び殺人の罪で逮捕する。
 連れて行け。」

 (あっ、待ってお願い。 誰かっ。)
 その時、それを遮る様に誰かが立っている事に気がついた。

「パイル宰相。
 申し訳ございませんがそれは出来ませんよ。」

 (あっ、カツラギ様)
 カツラギは私を見つめると微かに微笑んだ。

「お前は確か執事のカツラギ様だったな。
 連行出来ないとはどういう事だ。」

「彼はフライス第二王子に任命されたルプリ公爵傘下の特別外交官。
 ですからルプリ公爵よりの特命遂行中は不逮捕特権が適用されます。
 旦那様。彼は今、特命任務遂行中ですよね。」

 (えっ、特命任務?)

 私が首を傾げているとカツラギは皆に見えないようにウインクした。

「あっ、はい。そうです。
 確かに私は彼へ特命の任務を与えました。」

 そう言うとパイル宰相は顔を赤らめる。

「嘘をつけ。
 そんな事ある筈がない。
 大体、二人目のスパイを捕まえると言い出したのはルプリ公爵ではないかっ。」

「旦那様が全てを事前に明かさなかったのは情報が洩れるのを防ぐ為です。
 憲兵の中にジャガード伯爵の息がかかった者が紛れている可能性もありますから。
 そうですよね。旦那様。」

「えっ、はい。そうです。
 何か騙すみたいになってしまってごめんなさい。
 そう言う事だがらニットは連れて帰ります。」

「そんな見え見えの嘘が通る訳がないだろう。
 俺は騙されないぞ。」

 そう立ち塞がるパイル宰相をカツラギは乱暴に押しのける。

「きさまっ、宰相に対して何だっ、その態度はっ。」

 そういきり立つパイルにカツラギは冷ややかな視線を向ける。

「貴方こそ何なんですか?
 旦那様は王様より全権を委任された王国特命公爵ですよ。
 この状況下においては宰相より上です。
 その方に対して嘘つき呼ばわり。
 その発言こそ国家反逆罪に当たるのでは?」

「……ぐぅぅ」

 そう言うと強引に取り巻きを押しのけた。
 倉庫を出ると途端にカツラギ様の表情が緩む。

「ハァァァ、緊張しました。
 旦那様。もうこんな無茶は二度とゴメンですよ。」

 そう笑うカツラギ様の顔を見て私も緊張の糸が切れて泣き出してしまった。


 屋敷に帰りニットへ事情を詳しく聞いた。
 直接会ってはいない為、その正体は不明だが
 ある日『あの方』と呼ばれる方から声をかけられたらしい。
 そしてジャガード伯爵への復讐へ参加しないかと誘われた。
 始めは断ったがニットの母親が死んだのは必要な薬が流通していないせいだと言われた。
 もしジャガード伯爵が亡国から略奪した秘薬を独占していなければ助かったのだと。
 
「悔しかったんだ。
 結局、その秘薬を使えるのは一部の貴族だけ。
 俺達貧乏人はただ死ぬをの待つだけなのか?
 俺はその不公平を王都へ抗議した。
 だが王族も秘薬欲しさに強くは出れない。
 結局、今も貧乏人だけが救える命を落として死んでいる。」

「ねぇ、カツラギ様。
 何とか出来ないのですか?」

 私はカツラギ様へ訊ねた。

「以前も言いましたが、秘薬の独占が王国の力になっている事も事実です。
 その全てを全世界へ無料で解禁すると各国とのパワーバランスにも影響が出ます。
 ハドディ帝国への侵略と虐殺。
 入手方法は間違っていますが手にした秘薬のレシピを元に王国でも研究を進めています。
 新な秘薬を求めて現在王国は既に多額の研究費をつぎ込んでいます。
 これは非常にデリケートで複雑な政治的な問題なんです。」

 そう言うカツラギ様の言葉に私は全く共感が出来なかった。
 (それって絶対に何かおかしいよ)

「私には難しい事は分りません。
 ですがそれが複雑な問題とも思いません。
 だって簡単な事じゃないですか。
 助かる命がそこにある。
 救えるのなら救うべきです。」

「旦那様。
 お気持ちは分かりますが、薬の研究には多額の費用がかかるのです。」

 キサラギ様は駄々をこねる子供を諭すように言葉を繰り返した。

「だったらこうしましょう。
 販売から一定期間が過ぎたら作り方を公開するんです。
 独占ではなく王国に認可を受けた者なら誰でも作れるようにする。
 販売価格は下がるけど大量生産により製造コストは下がるはずです。
 それに貴族数人に売るよりも王国のみんなへ販売する方が市場規模も大きいはずです。
 え~と何て言うのでしたっけ?
 薄利多売?
 どうでしょう?」

 それを聞いたカツラギ様は宙を見つめて何やら考えている様だった。

「そうかっ、そう言う事か。
 まてよそれなら、うん、そうか。」

 メイド達、皆が息を潜めて見守る中、かなりの時間が過ぎた。

 (あれ、私、何か不味い事言っちゃった?)

「あの~、カツラギ様?
 私また何かやらかしました?」

 不安気に訊ねるとカツラギ様はにっこりと微笑んだ。
 
「いえいえ、そんな事はありません。
 素晴らしいです。
 旦那様。
 その方法なら多少の調整は必要ですが多くの民の命が救われるでしょう。」

「カツラギっ、本当なのか?
 本当に貧乏人でも薬が買えるようになるのか?」

 ニットは驚いてカツラギ様へ何度も訊ねた。

「ええ、可能ですよ。
 この方法なら一定の収入を維持しながらも王国の威厳も損なわれない。
 やっぱり、私達の旦那様は天才です。」

 それを聞いたニットは安心したように深いため息をついた。

「よかった。
 これで俺は心置きなく処刑される事が出来る。」

 その言葉に真っ青になった私の顔を見てカツラギ様がため息をつく。

「またニット。
 貴方はそんな自分勝手な事を言って。
 私達の命はもはや自分のモノにあらず。
 全ては旦那様の為にあると知りなさい。
 貴方の命は救われました。
 旦那様へ感謝するんですね。
 しかし使用人一人の命を救う為に世紀の秘宝を差し出すとは……」

 そう私はニットの命を救う為にパイル宰相と裏取引をしていた。
 ニットの罪を不問にする。
 その代わりに十分間時間を巻き戻せる死神の魔道具を差し出した。
 皆は激しく反対したが幼馴染の命に比べれば秘宝なんてどうでもよかった。

「ねえ、お願いニット。
 死ぬなんて言わないでずっと私の側に居て。」

 その言葉にニットは涙ぐんでいるようだった。
 結局キサラギ様の提案でニットは特別外交官から医局事務長になった。
 解禁された薬を不正なく民へ届ける為である。
 
「これからは救えなかった母様の分まで多くの民を救って見せる。」

 そうニットは意気込んでいる。
 その後ニットの頑張りもあり、異例の速さであらゆる薬が一般に広がった。
 その価格は安く多くの民の命が救われた。
 クラウド王国は有数の医療先進国となり近隣諸国から優秀な人材も多く集まって来た。
 薬自体の全体的な売り上げは独占時に比べて下がったがその経済効果は計り知れない。

 人々は感謝を込めてその安価な薬をこう呼んだ。

 『紳士の秘薬 ルプリック』

 その評判は凄まじく連日、薬で救われた民からの感謝の差し入れが屋敷に届いた。
 メイドのリノ達が買い出しに街へ出れば多くの食材がおまけされる始末だった。
 王国特命公爵 ルプリ公爵
 彼は今や王国で知らない者がいない英雄だった。
 そのあまりの環境の変化にリプルはついていけない程だった。

 変わった事がもう一つ。

 王国特命公爵になってからいくら眠ってもあの夢の世界へ行けなくなった。
 それはまるで眠り姫の呪いが解けたかの様に。
 (えっ、呪いが解けた?)
 シフォンに会えない寂しさはあったが呪いが解けた事には少し安心していた。
 でもその時の私はその事の本当の意味をまだ分かっていなかった。
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