元カレ転生~あなたは自分を振りますか?~

キルト

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第一話 えっ、元カレへ転生?

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 ぼんやりとした頭で、意識が戻る。
 木の香りと共に少し濡れた碧いテーブルが目の前にあった。
(私、寝ちゃった?)
 泣き腫らした目を擦りながら私はゆっくりと顔を上げた。
 公園で『彼』に突然フラれて泣いた後、どうやら寝てしまったらしい。
 次第にぼんやりとした意識が戻って、周りの風景が目に入る。
(あれっ、優の部屋?)
 そこは、見覚えがある風景が広がっていた。
 何度も通った素敵な香りがする彼の部屋。
 あまり広くはないけれど、ブルーで統一された部屋。
 賢く几帳面で優しい彼の人柄がいっぱい詰まった部屋。
 私はこの部屋が大好きだった。
 部屋の隅の凛として優しい観葉植物とその隣のプラネタリウム。
 ソファーの前には、ブランケットが誇らし気にキチンと畳まれていた。
 私は、そんなブランケットに吸い込まれるようにそっと触れた。
 モフモフとしたその触感は優しくそこに佇んでいた。
 堪らずブランケットを手に取ると柔らかなその感触に顔を埋める。
(うわ~、モフモフだ。)
 そんなおバカな言葉を言いながらも少し泣きそうになる。
 顔全体がモフモフに包まれると、その感触と共に思い出が蘇る。
 初めて『優』の部屋に来た時、ミニスカートの私に
「寒いから、かけてなよ。」
 そう言って彼は、このブランケットをそっと渡してくれた。
 何気ない一言だったけど、その優しさが嬉しかった。 
 『私、本当に優の彼女になったんだ。』
 しみじみと思うと同時に、
 大切にされていると感じて涙ぐんだコトを覚えている。 
(私、フラれたのにまだ彼のコトを引きずってる)
 そんな自分に苦笑いをしながら、ふと部屋の鏡を見た。
 そこには、苦笑いをしている碧い瞳の『優』の姿があった。
(えっ?)
 思わず近づいて、鏡の中の自分の顔をまじまじと見た。
 顔を触り何度確認しても、そこには『彼』の姿をした『私』が居た。
(優ゴメンっ)
 思い切って彼の頬をつねってみるが頬が少し赤くなっただけだった。 
 寝ぼけてないかと、さっきから洗面台で何度も何度も顔を洗っている。
 ひんやりとした水が繰り返し顔を刺激する。
 でも一向に夢から覚めなかった。
(えっ、何で?
 えっ、どういうコト?)
 濡れた顔でもう一度ゆっくりと辺りを見回した。
 生活感があり、ほどよく散らかった二本の歯ブラシ。
 私が用意した、お気に入りの『良い香りがするハンドソープ』。
 ここは間違いなく、何度も通った『彼』の部屋だった。
 タオルで顔を押さえながら、正面の鏡をじっと見つめる。
 そこには引きつった顔の、私の大好きな『彼』が居た。
 理由は分からないけれど、私は元カレへ『転生?』したらしい。
 
 洗面台から部屋に戻って、二人用の大きめのソファーに座る。

ドフッ

 習慣とは不思議なもので、
 『彼』になっても座る位置は、いつもの側だった。
 暫くはボフボフとソファーを叩いて過ごす。
 落ち着かないので、テーブルの上のスマホを手に取る。
 画面の上にはスタイリッシュな蒼い文字が浮かび上がっている。
 暫くいじっていて、ふと画面の日付を見て気がついた。
(あれっ、これ、どうゆうコト?)
 見るとその日付は、『私がフラれる一か月前』だった。
 何が起こっているのか全く分からず、私はスマホを持ったまま固まった。
 手にしたスマホは妙にヒンヤリと冷たく重く感じられた。
 それはまるで両手に手錠をかけられたみたいに私の両手を固定した。
 刑は失効されたのだろうか?
 何となく『このスマホから手を離してはいけない。』そんな女の直感。
 そう思った瞬間、私の鼓動は高鳴り、私の頭の中のどこか遠くで運命が回り出す音が聞こえた気がした。
 どの位の時間が経ったのだろう。
 暫くすると部屋の観葉植物の柔らかな香りが漂って来た。
 その香りがまるで呪いを解く鍵だったかのように私の体は再び動き出して我に返った。
 無意識に口元に手を当てて深呼吸をした後、急いでメッセージアプリを開く。
 そこには、『私』と『優』のやり取りが既読で残されていた。
 私の鼓動は高鳴り、震える手で、試しに自分へ電話をかけてみた。

プッ、プッ、プッ

 暫くの呼び出し音の後で『私』が出た。
「もしもし、優? 
 こんな時間にどうしたの?」
「あっ、もしもし……あの」
 私の口からは、優の声が発声されている。
「今週末、どこへ行く?
 優の部屋で、ごろごろするのもいいけど
 たまにはどっか行きたいな。」
 受話器からは、私の甘えた声が聞こえて来た。
 私は恐る恐る電話の向こうの自分へ訊いてみる。
「なあ、俺達付き合ってるんだよな?」
 受話器の向こうの私が、少し怒り声で答えた。
「何言ってるのっ、
 当たり前じゃないっ。
 私は優の彼女だよ。」
 状況が理解できずに私が口ごもっていると受話器の向こうから
「ねぇ、私の事、本当に好き?
 私のコト嫌いになったら言って欲しい。
 あっ、でも私のコト嫌いにならないで……」
 そんな言葉が永遠と響いていた。
 この言葉を聞いて私は確信した。
(このネガティブで面倒くさい感じは、間違いなく私だっ。)
 ボロが出ない内に、また電話すると言って私は慌てて電話を切った。

プツッ

(ドキドキ)
 心臓の鼓動が止まらない。
 
(私、まだ優と別れていなかった。)
 元カレへ転生した驚きよりも、別れていない安心感で涙が出た。
 緊張が解けて涙と共に再び部屋の観葉植物の優しい香りを感じた。
 ティッシュで涙と鼻を噛みながらモフモフのブランケットを引き寄せる。
 ブランケットのモフモフを撫でながら必死に心を落ち着かせる。
(落ち着け 私っ。)
 どうして、転生したかは分からなかった。
 でもこれはチャンスだった。
 
 私、いや俺『小桜 玲』は『早乙女 優』として生まれ変わり
 『小桜 玲』を幸せにします。(敬礼)
 そう心の私達に決意して、スマホに保存されている二人の写真を観る。
 そこには、ラブラブの二人の写真が沢山あった。
(あ~、居るよっ、
 ラブラブはまだ絶滅していなかったよっ。)
 彼が二人の写真を綺麗にフォルダ分けして
 保存してくれている事に嬉しさを噛みしめつつ……
 そっと、他の女の写真が、保存されていない事を確かめる。
 でも浮気をしてそうな写真やメッセージはなかった。
 胸を撫でおろしてからふと考える。
(じぁあ、何で私はフラれたんだろう。
 単純に私の女の魅力が枯渇したのか?って、
 そもそも女子力ゼロの私に女の魅力なんかあったっけ?
 あれっ?、
 そもそも私、どうして彼と付き合えたんだっけ?)

 ブンブンと首を振り
 邪念を振り払うかのようにラブラブ写真をスライドラッシュして心を落ち着かせる。

(あぶないっ、あぶない。
 危うくいつもの暗黒ネガティブに取り込まれる所だったよ。)
 私は心の小人達に話しかけ心を落ち着かせる。
 ちなみに心の小人達とは私の中の内気や臆病な私のコトである。
 内気で友達のいない私は子供の頃からこうやって自分達と会話し励まし合って乗り越えて来た。
 時には慰め、時には励ましてくれる頼りないが頼りになる唯一の仲間達である。
 ふとある写真が瞳に入り、スライドラッシュの手を止める。
 そこには、優が私を抱きしめている写真があった。
 大好きな彼に抱きしめられて私は顔を赤くしながら幸せそうな表情を浮かべていた。
 それを見つけて思わず顔が緩む。
「ほら、玲ちゃん。
 こんなに可愛いじゃないの」
 そう独り言を言って画像を拡大したが自分の顔のアップに耐えられずそっと戻した。
 想えば、優と付き合い始めたのは奇跡だった。
 ずっと女子高だった事もあり、男性と話しをする事がどこか苦手な私は、恋愛とは無縁だった。
 それに加えて、入学した大学も実家から通っていて門限も厳しかった。
 だからサークルにも入れず、全くと言っていい程に出会いがなかった。
 大学で友達も出来ず心配する両親を説得して『ファミレス』でバイトを始めた。
 ただ授業を受けて家に帰って母の作った料理を食べて寝る。
 そんな何の変化もない平凡な繰り返しに
(このままじゃ、私はバカになるっ)
 何故かその時の私はそう思った。
 何て言ったって私はマイベースなB型女子。
 やる時はやるのである。
 両親も内気な私の人生初めての熱意に驚き、最後にはバイトをする事を許してくれた。
 友達も居ない私が、社会に触れる事で社交性が少しでもつけばと思ったのかもしれない。
 その私の初めてのバイト先で出会ったのが『優』だった。
 彼は背が高く細身で小顔な、どこかミステリアスな青年だった。
 物静かで普段はあまりしゃべる方ではなかった。
 でも吸い込まれそうなアイスブル―の瞳が素敵で、どこか異国を思わせた。
 他に同じ年頃が居なかった事もあり、私達は時間をかけて少しずつ仲良くなった。
 打ち解けて暫くして、私が彼のアイスブルーの瞳についてハーフなのかと訊ねた事があった。
 たぶん皆に訊かれるのだろう。
 彼は私の言葉に少し驚くと、本当に俺の瞳が蒼く見えるのかと何度も念を押した。
 私が会った時から綺麗な蒼で見惚れていたと照れながら話すと半ば諦めたように肩をすくめて
 ハーフではないと答えた。
 そして暫くは憮然と黙り込んだ後にシュンとした私の姿が余りに可哀そうだったのか、
フォローするようにそっと耳元で秘密を打ち明けてくれた。
 彼の瞳の色は生まれた時は普通だったという。
 だけど高校生の夏に仲間と、ある都市伝説を確かめに家康の城公園へ行った。
 そこで月光桜に触れてから瞳が蒼く変化したらしい。

『実は、その桜の木の下には失恋が埋まっているんだ。』

 そんな言葉と共に誰にも言ってはいけないよと私の唇に指を当てて神妙な顔で彼は言った。
 突然の接触にドキドキしながら真剣に何度も頷く私の顔を見て、彼は突然吹きだした。
「あれっ?
 こんなオカルト信じちゃった?」
 そう言って笑いながらポンポンと私の頭を叩いた。
「も~っ、
 からかったんですか?」
 私は顔を赤らめながら彼の胸を軽く叩いた。
 夜桜の都市伝説が事実かどうかは分からない。
 でもあの時の私は何か特別な秘密を彼と共有した気がして胸が高鳴ったのを覚えている。
 瞳の秘密を共有してから私達の距離は以前よりずっと近くなった。
 彼は初めてのバイトに慣れない私を気遣い、私のミスを頻繁にカバーしてくれるようになった。
 そんなさり気ない優しさに魅かれ、気がつくと私は彼を『好き』になっていた。
 でも、臆病な私は告白する事も出来ずにバイトを続け、ハンバーグの香りと共に二年が過ぎた。
(えっ、どうして好きなのに告白せずに二年も過ごしたかって?)
 『優』は私に出来た、初めての男友達であり、
 友達で居られなくなるのが怖かったから……
 だから彼との関係はなんの進展もなくただ私は恋とハンバーグを焦がし続けた。
 今でもデミグラスソースの香りを嗅ぐとファミレス時代を思い出す。
 それからも私は時々お皿を割り、仕事の出来は相変わらずだったけどこの二年で特技が出来た。
①:遠くからでも『優』かどうか分かる。
②:『優』の噂話を聞き逃さない。
③:『優』が視界に入ると秒速でロックオンする。
(しょ~もない特技。)
 でも二年間のバイト生活で身に付いた事は結局これだけだった。
 バイト三年目で『優』に彼女が出来たと聞いて落ち込んた。
 バイトを辞めようかと思った時期もあったけど……続けた。
 冷静に考えれば、仮に彼女いなかったとしても、私なんかが付き合えるはずもなかった。
(女子力ゼロの私なんて……)
 そう思ってしまう生まれながらにネガティブな自分が大嫌いだった。
 『優』は私に出来た初めての男友達であり、それだって私には奇跡だ。
 だから『優』を近くで鑑賞できるだけで十分なのだと自分に言い聞かせ続けた。
 でも時々、ちょっぴり妄想もしたりした。
 チャンスが訪れたのは、バイト四年目の春だった。
 いつものように『優』の噂話に聞き耳を立てていると
『早乙女君、彼女と別れたらしい。』
 そう、店長がパートさん達と噂話しているのが聞こえた。
(マジか?
 やった~っ)
 それを聞いた瞬間っ、私は嬉しくて心の中で両手を上げて思わず叫んだ。
 だからと言って、私には告白する勇気はないけれど……
 何か希望が湧いて来たっ。
 その時に食べていたスパゲッティの味は今も鮮明に覚えている。
 動揺して聞き耳を立て過ぎてタバスコをかけ過ぎたデミグラスソースの味。
 その辛いデミグラスが私の青春の味だった。
 だがそんな淡い期待も一瞬だった。
 それからは、そのまま気を失ったようにズルズルと時ばかりが過ぎ去って行った。
 やがて私達も就活が忙しくなり、とうとうバイトを辞める事になった。
 二人が会う、最後のバイトの日。
 もうこれで彼と会えなくなるのかと思うと何だか切なくなった。
 私は一生分の勇気を振り絞って『優』へ連絡先を訊いた。
 今でも、どうしてそんな勇気が出せたのか自分でも驚きだった、
 ただ、あの時はとにかく『二度と会えなくなるのが堪らなく嫌だった。』
 何て言ったって私はマイペースなB型女子。
 やる時はやるのである。
 最後のバイトが終わり、ロッカー室から出ると『優』が居た。
 バイクにまたがり、ちょうど帰る所だった。
「おっ、玲。
 お疲れ、三年間ありがとな。」
 優がバイクにまたがったまま私に声をかけた。
「あっ、優っ君。
 お疲れ様。
 あのっ、私達友達じゃない。
 だからあの……連絡先教えてくれないかな。」
 そう言う私の声は自分でも分かる程に声が上ずっていた。
 でもそれを聞いた優は、突然うつむいて黙ってしまった。
 私の中で不安という二文字が駆け抜ける。
「……私達、友達……だよね?」
 沈黙に耐えられずに、私は震える声で訊いた。
「俺、玲と友達辞めるわ」
 優が口早に言った。
 その言葉に私は目の前が真っ暗になった。
 (なんで最後の日に私は連絡先なんて訊いたのだろう。)
 三年間こうなるのが嫌でずっと『告白』我慢して来たのに……
(調子に乗って、勘違いして、独り舞い上がって、バカみたいっ。)
 私は恥ずかしくて直ぐにでも逃げ出したい気持ちでいっぱいになった。
「俺、今日で玲と友達辞めるわ。
 ずっと、玲のコト好きだった。
 俺と付き合って下さい。」
 そう言って彼は私に手を差し出した。
「えっ!」
 その時の私は何も言えずにただ泣きだしていたのを覚えている。
 そんな私を見て彼は戸惑ったように頭を掻くと
 そっと、私を抱きしめた。
 暖かい優の優しい体温。
 抱きしめながら撫でられた頭はとても心地よかったのを覚えている。
 それから、私は『優の彼女』になった。
 正直、恋愛は経験がなくてよく分からなかった。
 でもそんな私を『優』は優しく待っていてくれた。
 それから三年間、少しずつ二人で歩いて来た。
 
 やがて私が緊張より、幸せが強くなって来た頃、
「ずっと一緒に居たいね。」
 そう彼が言ってくれた。
 ふとした瞬間の何気ない一言。
 
 『優』にとってはきっと大きな意味はなかった。
 でも私にとっては、それは大きな『勇気』となり周りに少しだけ優しくなれた。
 ほんの少しだけ、そんな自分のコトが好きになった。
 それから、私は友達に『優』の話をする時には『私の彼氏』がと言うようになった。
 付き合って三年で、ようやくここまで登りつめた。
 幸せの頂きへとさしかかり、いろんな将来を妄想して『結婚』という言葉をこっそりと意識した頃……
 
『突然っ、その別れはやって来た。』

(私、何が悪かったの?)
 私は急に不安になって、鏡の中の『優』へ訊ねた。
 でも鏡の中の不安気な顔の彼は、何も言う事はなかった。
 ため息と共に鏡から目を離して私は、スマホの日付を見つめた。

『運命の日まで、あと一か月』

(がんばれっ、私。)
 私は両手で自分の顔を叩いた。
 二人がダメだった事を全てやり直そう。
 そして、私は私に『プロポーズ』する。
 今度こそ、私は幸せになるっ。
 私はそう決意した。
 私はスマホの待ち受けを二人の『ラブラブ写真』へ変更し涙を拭って呟いた。
「ほら、玲ちゃん。
 こんなに可愛いじゃないの。」
私の決意は少し涙の味がした。
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