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7話 理想的な引っ越し先とは?
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引っ越しが終わったと思ったら異世界に引っ越していて、さらに別の土地に引っ越す事になった。何を言っているのかと思うだろうが、俺にも何を言っているのか分からな......くないな、引っ越しの話だ。
まるで次から次へと一家で逃げ回ってるみたいで、老舗! 夜逃げ屋さん! もしくは、現実オーガごっこ! みたいな感じがしなくもないが、家ごと逃げ回るのは地上波初登場だと思う。ニースは部屋の隅で寝ている。二十四時間経たない内に、都合三度の引っ越しを体験するのは人生で初めてだが、ライフラインの目処が立たない雲の上では無理もない......ないんだが......
「ライフラインがないなら世界を変えちゃえばいいんじゃね」
パンがなければケーキを食べればいいじゃない、みたいなノリで爺様がそう言い放った。そして世界を変えちゃえと言いながらやろうとした内容が、
「やっぱり電気は必要だよね」
「よーし、じゃあ儂、頑張って家の隣に原子力発電所を建てるのじゃよー」
さすがにこれには無理があるだろ! だいたい、何で爺様が原子力発電所なんて言葉知ってんだ! ......ん?
「それだ!」
俺は先程感じた違和感が何か気付いた。爺様と正和がゲームのネタで会話していた時の違和感。そして原子力発電所という言葉。
「おお、朋広殿は賛成してくれるのじゃな。まずは人口五十万人を目指すのじゃ!」
「いや、その流れはおかしい。そうじゃなくて、爺様に聴きたい事があるんだけど」
「なんじゃらホイ?」
素なのかわざとなのか分からない返事を返してくる爺様にそのまま続ける。
「爺様......妙に俺達の世界の知識に詳しくなってたりしないかな? ゲームのネタとか原子力とか、本来なら知るはずないよね?」
「あ、言われてみればホントだ」
正和も気付いたようだ。ニースは部屋の隅で寝ている。
「それだけじゃなく、俺達の世界の単語が多く含まれる会話でも、説明なしでスムーズに成立するようになった気がするんだけど」
「それは気のせいじゃないのぅ。儂の力を移譲する時に皆から知識の共有をさせてもらったのじゃから」
「目的は朋広殿が言ったスムーズな会話の為であり、名前が呼びやすくなったのもその影響じゃな」
ああ、俺達家族から光の線が伸びてたあの時か。確かに爺様になってから会話のテンポがよくなったような感じはある。
「元々そちらの世界に渡った時、現地の者との接触の可能性を考え、言語に関しては最低限の知識は得ておったんじゃがの」
「そのレベルではこれから一家の過ごしやすい環境をつくるための意思の疎通がやりにくいうえ、共に生活する上でも不便なので、力移譲のついでに行ったのじゃよ」
「あ、安心してよいぞ? 個人情報保護の観点から、知られたくないという部分の知識、もしくは記憶に関しては触れてはおらぬゆえな」
とりあえず爺様にも良識はあったって事か。いきなり個人の黒歴史を暴露され、家族関係がギスギスするのはごめんだからな。まぁ、神なのに良識なかったらそれは邪神かなにかに分類されそうだし。
「僕は今の神様がいいなぁ、ゲームの話ができるのは嬉しいし」
「私も私もー。なんかね、おじいちゃんって感じがするし」
すっかり子供たちがなついているのを見て幸依も微笑んでいる。ニースは部屋の隅で寝ている。爺様も笑顔だし、まぁこういうのも悪くない......かな?
「なるほどね。それで発電所まで作れるようになったと」
「いや、期待させてすまぬがそれは無理なんじゃよ」
あれ? ここから爺様無双になると思ったんだけど違うのか?
「例えば、そこにあるのがテレビ。動く映像などを表示させる物じゃ。そこの壁に設置されておるのがエアコンで、室温を調整するんじゃろ? で、これらを作動させるには電力が必要になる、と」
おぉ! 俺達には当たり前の事なんだが、爺様が言うとなんだかすごい事のように感じるぞ。例えればこう......正和と華音が初めてシャベッタアァァ、じゃない喋った時みたいな?
「儂はこれらの事をそなた達の知識から知った訳じゃが、では儂から質問じゃ。そなた達の誰でも良いからこれらを作る事はできるかの?」
あ、なるほど。なんかわかった。
「えーと、僕達が誰も作れないから神様も作る事ができない......?」
「じゃあ私達が作れたらおじいちゃんも作れるって事?」
「お料理だったら作り方を知っていても美味しくできるとは限らないわよ」
皆が突然の爺様クイズに頭を悩ませている。ニースは部屋の隅で寝ている。俺は自らの灰色の脳細胞が導きだした答えを口にする。
「必要な部品の一つですらこの世界では再現不可能な素材と技術である事。さらにそれらが組み合わさって完成品になるっていうのは、オーバーテクノロジー過ぎて理解出来ずに手が出せないって事じゃないか?」
つまり、どんなものでなんのためにあるのかは分かるが、作り出すとなると分からない事の方が多いため実現が不可能な訳だ。
「ほうほう、さすが朋広殿。正解じゃよ」
「パパすごーい! でもオーバーテクノロジーって何?」
華音からの好感度が上がった!? チャンス! ここはすかさず倍プッシュだ!
「んー、簡単に言うとその時代にはありえない技術の事だな」
「へー!」
「あなたステキよ! さすともよ!」
「やるね父さん」
おぉ、家族からの好感度がアップした。けどさすともってなんだろ? ニースは部屋の隅で寝ている。 というか、さっきからこのニース云々のくだりはなんなんだ。俺は無意識にそんなにニースをチラチラみていたのか? ニースは部屋の隅で寝ている。いかん、意識したら余計に見てしまった。
「まぁ、そんな訳じゃからして、基本は卓越した身体能力を駆使して生活に必要なものを収集、加工していく事になると思うのじゃ」
「なんだか時間がかかりそうだなぁ」
「なに、時間はそうとらせはせぬよ」
しかし、あの答えで正解という事は、やはりこの世界の文明レベルは高くないんだな。色々苦労する事になりそうだ。
「家の周りに必要そうな地形を全て生成すれば問題なしじゃ!」
真の爺様無双が今、幕をあける。
まるで次から次へと一家で逃げ回ってるみたいで、老舗! 夜逃げ屋さん! もしくは、現実オーガごっこ! みたいな感じがしなくもないが、家ごと逃げ回るのは地上波初登場だと思う。ニースは部屋の隅で寝ている。二十四時間経たない内に、都合三度の引っ越しを体験するのは人生で初めてだが、ライフラインの目処が立たない雲の上では無理もない......ないんだが......
「ライフラインがないなら世界を変えちゃえばいいんじゃね」
パンがなければケーキを食べればいいじゃない、みたいなノリで爺様がそう言い放った。そして世界を変えちゃえと言いながらやろうとした内容が、
「やっぱり電気は必要だよね」
「よーし、じゃあ儂、頑張って家の隣に原子力発電所を建てるのじゃよー」
さすがにこれには無理があるだろ! だいたい、何で爺様が原子力発電所なんて言葉知ってんだ! ......ん?
「それだ!」
俺は先程感じた違和感が何か気付いた。爺様と正和がゲームのネタで会話していた時の違和感。そして原子力発電所という言葉。
「おお、朋広殿は賛成してくれるのじゃな。まずは人口五十万人を目指すのじゃ!」
「いや、その流れはおかしい。そうじゃなくて、爺様に聴きたい事があるんだけど」
「なんじゃらホイ?」
素なのかわざとなのか分からない返事を返してくる爺様にそのまま続ける。
「爺様......妙に俺達の世界の知識に詳しくなってたりしないかな? ゲームのネタとか原子力とか、本来なら知るはずないよね?」
「あ、言われてみればホントだ」
正和も気付いたようだ。ニースは部屋の隅で寝ている。
「それだけじゃなく、俺達の世界の単語が多く含まれる会話でも、説明なしでスムーズに成立するようになった気がするんだけど」
「それは気のせいじゃないのぅ。儂の力を移譲する時に皆から知識の共有をさせてもらったのじゃから」
「目的は朋広殿が言ったスムーズな会話の為であり、名前が呼びやすくなったのもその影響じゃな」
ああ、俺達家族から光の線が伸びてたあの時か。確かに爺様になってから会話のテンポがよくなったような感じはある。
「元々そちらの世界に渡った時、現地の者との接触の可能性を考え、言語に関しては最低限の知識は得ておったんじゃがの」
「そのレベルではこれから一家の過ごしやすい環境をつくるための意思の疎通がやりにくいうえ、共に生活する上でも不便なので、力移譲のついでに行ったのじゃよ」
「あ、安心してよいぞ? 個人情報保護の観点から、知られたくないという部分の知識、もしくは記憶に関しては触れてはおらぬゆえな」
とりあえず爺様にも良識はあったって事か。いきなり個人の黒歴史を暴露され、家族関係がギスギスするのはごめんだからな。まぁ、神なのに良識なかったらそれは邪神かなにかに分類されそうだし。
「僕は今の神様がいいなぁ、ゲームの話ができるのは嬉しいし」
「私も私もー。なんかね、おじいちゃんって感じがするし」
すっかり子供たちがなついているのを見て幸依も微笑んでいる。ニースは部屋の隅で寝ている。爺様も笑顔だし、まぁこういうのも悪くない......かな?
「なるほどね。それで発電所まで作れるようになったと」
「いや、期待させてすまぬがそれは無理なんじゃよ」
あれ? ここから爺様無双になると思ったんだけど違うのか?
「例えば、そこにあるのがテレビ。動く映像などを表示させる物じゃ。そこの壁に設置されておるのがエアコンで、室温を調整するんじゃろ? で、これらを作動させるには電力が必要になる、と」
おぉ! 俺達には当たり前の事なんだが、爺様が言うとなんだかすごい事のように感じるぞ。例えればこう......正和と華音が初めてシャベッタアァァ、じゃない喋った時みたいな?
「儂はこれらの事をそなた達の知識から知った訳じゃが、では儂から質問じゃ。そなた達の誰でも良いからこれらを作る事はできるかの?」
あ、なるほど。なんかわかった。
「えーと、僕達が誰も作れないから神様も作る事ができない......?」
「じゃあ私達が作れたらおじいちゃんも作れるって事?」
「お料理だったら作り方を知っていても美味しくできるとは限らないわよ」
皆が突然の爺様クイズに頭を悩ませている。ニースは部屋の隅で寝ている。俺は自らの灰色の脳細胞が導きだした答えを口にする。
「必要な部品の一つですらこの世界では再現不可能な素材と技術である事。さらにそれらが組み合わさって完成品になるっていうのは、オーバーテクノロジー過ぎて理解出来ずに手が出せないって事じゃないか?」
つまり、どんなものでなんのためにあるのかは分かるが、作り出すとなると分からない事の方が多いため実現が不可能な訳だ。
「ほうほう、さすが朋広殿。正解じゃよ」
「パパすごーい! でもオーバーテクノロジーって何?」
華音からの好感度が上がった!? チャンス! ここはすかさず倍プッシュだ!
「んー、簡単に言うとその時代にはありえない技術の事だな」
「へー!」
「あなたステキよ! さすともよ!」
「やるね父さん」
おぉ、家族からの好感度がアップした。けどさすともってなんだろ? ニースは部屋の隅で寝ている。 というか、さっきからこのニース云々のくだりはなんなんだ。俺は無意識にそんなにニースをチラチラみていたのか? ニースは部屋の隅で寝ている。いかん、意識したら余計に見てしまった。
「まぁ、そんな訳じゃからして、基本は卓越した身体能力を駆使して生活に必要なものを収集、加工していく事になると思うのじゃ」
「なんだか時間がかかりそうだなぁ」
「なに、時間はそうとらせはせぬよ」
しかし、あの答えで正解という事は、やはりこの世界の文明レベルは高くないんだな。色々苦労する事になりそうだ。
「家の周りに必要そうな地形を全て生成すれば問題なしじゃ!」
真の爺様無双が今、幕をあける。
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