むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス

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35話 夏祭り⑤

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人混みから少し離れた裏参道へ向かうと、屋台の数もぐっと減り、周囲は静かな灯りに包まれていた。
 提灯の光が石畳に淡く反射し、遠くで聞こえる太鼓の音が、まるで別の世界の出来事のように感じられる。

「……こちらの方は、落ち着いていますね」

 沙耶香が小さく微笑む。

「さっきまでとは、まるで違いますね」
「はい。坊ちゃまも、少しお休みになられた方がよろしいかと」

 そう言って、ちらりとこちらを見る。

「……ずいぶんお疲れのようですね、坊ちゃま」
「若い女性に囲まれるのも、大変でしょう?」

「……な、なんでそれを……?」

 思わず声が裏返る。

 沙耶香はくすっと上品に笑った。

「お顔に、すべて書いてございましたので」
「わ、分かりやすいですか……?」
「ええ。とても」

 その言葉に、妙に胸がむず痒くなる。

 そのとき、後ろから人が通りかかり、軽く肩が触れた。

「……っ」

 思わずよろけた瞬間、沙耶香の手がそっと支えてくれる。

「坊ちゃま、大丈夫ですか?」

 顔を上げると、すぐ目の前に沙耶香の表情があった。
 思わず距離を意識して、健斗は一歩引く。

「す、すみません……」
「いえ。こちらこそ、不注意でしたね」

 浴衣の袖がわずかに絡み、二人とも一瞬だけ動けなくなる。

 沙耶香はすぐに静かに距離を取り、柔らかな声で言った。

「……坊ちゃまは、いつも誰かを気遣ってばかりですね」
「ですが今は、少しだけご自分の気持ちを優先してもよろしいのですよ」

「……沙耶香さん……」

 健斗が小さく息を吐くと、沙耶香はふと周囲を見回し、少しだけ困ったように微笑んだ。

「……人混みで、また迷子になってしまっては困りますね」
「よろしければ……手を、おつなぎいたしましょうか」

「えっ……いや、迷子って……子どもじゃないんですから……」

 そう言いながらも、差し出された手を見てしまう。

 沙耶香は急かすこともなく、ただ静かにその手を差し出したまま待っていた。

「……坊ちゃまが嫌でしたら、無理には――」

「……い、いえ。別に嫌じゃないです」

 健斗は観念したように、そっとその手を取る。

 指先が触れた瞬間、互いに小さく息を吸った。

「……ほら、やっぱり子ども扱いだ」

 照れ隠しのように言う健斗に、沙耶香は微笑む。

「では、迷子防止というより……同行者として、でございますね」

 二人は並んで歩き出す。

 その途中、健斗は無意識のうちに、つないだ手の指を少しずつ絡めてしまう。

 ――恋人つなぎ。

 気づいた瞬間、健斗ははっとして顔が熱くなる。

「……っ、ご、ごめんなさい!」

 だが沙耶香は手を離さなかった。

 一瞬だけ驚いたように目を見開き、そして小さく微笑む。

 そのまま、指をやさしく、しかしはっきりと握り返す。

 視線が重なり、空気が静かに張りつめる。

 距離が、ほんの少しだけ近づく。

 遠くで花火が上がり、光が二人を包み込む。

 健斗は自分の鼓動が伝わってしまいそうで、視線を逸らした。

「……すみません、本当に……」

「いいえ」

 沙耶香は、いつもより少しだけ柔らかな声で答えた。

「……嫌では、ございませんでしたから」

 その言葉に、健斗の胸がさらに高鳴る。

 二人はしばらく、言葉もなく並んで歩き続けた。

 つないだ手だけが、静かに温度を伝え合っていた。

 ちょうどそのとき、夜空に大きな花火が咲いた。

 ぱあっと光が広がり、二人の影が石畳に重なる。

「……綺麗ですね……」

 沙耶香が空を見上げて呟く。

 健斗はその横顔を見つめて、思わず口を滑らせた。

「……沙耶香さんの方が、です」

 言った瞬間、はっとして顔が熱くなる。

 沙耶香は一瞬だけ驚いたように目を見開き、そして小さく微笑んだ。

「……坊ちゃま、ずるいお言葉でございます」

 視線が重なり、空気が静かに張りつめる。

 距離が、ほんの少しだけ近づく。

 息づかいが聞こえるほどの静けさ。

 沙耶香は一瞬だけ目を伏せ、そしてそっと一歩引いた。

「……ですが、今宵はここまででございますね」

 その声は、優しく、そしてどこか名残惜しさを含んでいた。

 健斗は小さく息を吐く。

「……はい」

 二人は並んで夜空を見上げる。

 花火の音が、胸の奥まで響いていた。
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