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第一章
3話 リサとの絆
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訓練場での射撃練習。
銃声が乾いた音を立て、次々に木製の標的を撃ち抜いていく。
「はい、そこ、肩が上がってる!」
リサ・シュトラール伍長は、軽快な声でユナに指摘した。
肩にかかった金髪を揺らしながら、彼女はにっこりと笑う。
「腕は悪くないよ、でも実戦じゃ一発のブレが命取りだからね。」
見た目は華やかだが、その言葉にはちゃんとした実戦経験に裏打ちされた重みがあった。
リサはまだ軍歴2年目、戦歴は浅い。
それでも、この国境線という過酷な地で生き残ってきた兵士だ。
「……ご指導、感謝します。」
ユナは素直に頭を下げた。
士官学校での訓練とはまるで違う、泥臭い実戦技術。
それを、この地で学び直さなければならないと痛感していた。
リサは笑いながら、隣にしゃがみ込んだ。
「そんな堅くならなくていいって。少尉さんも私も、まだまだこれからなんだからさ。」
肩の力が抜けた気がした。
自然に、ユナも口元をほころばせた。
こんなふうに人と笑い合うのは、何年ぶりだろうか。
その夜。
食堂でリサと並んで粗末な夕食をかじりながら、ユナは少しずつ心を開いていた。
「リサ、君は……どうして兵士に?」
ふと、ユナは尋ねた。
リサはフォークをくるくる回しながら、ぽつりと答えた。
「昔ね、帝国領で暮らしてたの。うちの家族、少しだけど魔法を使える血筋でさ。それだけで……帝国じゃ“異端”扱いだった。」
笑いながら語るリサの横顔に、かすかな痛みが走った。
ユナは、静かに彼女を見つめた。
「家族を失って、流れて流れて、王国にたどり着いた。生きるために兵士になったの。」
「……」
ユナは言葉が出なかった。
あまりにも、自分と重なっていたから。
「だからさ。」
リサは明るく笑った。
「絶対、死なないの。あたしも、君も。……そうでしょ、ユナ?」
強く、そして優しい声。
ユナは小さく頷いた。
この地で、少なくとも一人、信じられる存在ができた。
そんな気がした。
銃声が乾いた音を立て、次々に木製の標的を撃ち抜いていく。
「はい、そこ、肩が上がってる!」
リサ・シュトラール伍長は、軽快な声でユナに指摘した。
肩にかかった金髪を揺らしながら、彼女はにっこりと笑う。
「腕は悪くないよ、でも実戦じゃ一発のブレが命取りだからね。」
見た目は華やかだが、その言葉にはちゃんとした実戦経験に裏打ちされた重みがあった。
リサはまだ軍歴2年目、戦歴は浅い。
それでも、この国境線という過酷な地で生き残ってきた兵士だ。
「……ご指導、感謝します。」
ユナは素直に頭を下げた。
士官学校での訓練とはまるで違う、泥臭い実戦技術。
それを、この地で学び直さなければならないと痛感していた。
リサは笑いながら、隣にしゃがみ込んだ。
「そんな堅くならなくていいって。少尉さんも私も、まだまだこれからなんだからさ。」
肩の力が抜けた気がした。
自然に、ユナも口元をほころばせた。
こんなふうに人と笑い合うのは、何年ぶりだろうか。
その夜。
食堂でリサと並んで粗末な夕食をかじりながら、ユナは少しずつ心を開いていた。
「リサ、君は……どうして兵士に?」
ふと、ユナは尋ねた。
リサはフォークをくるくる回しながら、ぽつりと答えた。
「昔ね、帝国領で暮らしてたの。うちの家族、少しだけど魔法を使える血筋でさ。それだけで……帝国じゃ“異端”扱いだった。」
笑いながら語るリサの横顔に、かすかな痛みが走った。
ユナは、静かに彼女を見つめた。
「家族を失って、流れて流れて、王国にたどり着いた。生きるために兵士になったの。」
「……」
ユナは言葉が出なかった。
あまりにも、自分と重なっていたから。
「だからさ。」
リサは明るく笑った。
「絶対、死なないの。あたしも、君も。……そうでしょ、ユナ?」
強く、そして優しい声。
ユナは小さく頷いた。
この地で、少なくとも一人、信じられる存在ができた。
そんな気がした。
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