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第二部
チェント男爵令息side⑤
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「急がなくていいからな。忘れ物がないかよく確かめてくれ」
忙しそうに馬車と新邸を往復する使用人達に声をかけた。その間にも荷物が馬車の中に運び込まれていく。
「いよいよ、お別れですね」
「ああ。ここに住むことは終ぞなかったな」
父が新邸の外観を見上げながらポツリと呟いた。
若木のシンボルツリーの枝がそよそよと風に靡いていた。
これから新しい歴史を刻むはずだった新邸に今日別れを告げる。男爵位を返上して平民となったからだ。
リリアの件が発端であることは間違いないが、むしろ決断する機会をくれてよかったと思う。
俺達はこれからフィンディス国へと向かう。最終目的地はジュラン皇国。長年の夢を現実することができるのだ。
領地を抱えた貴族の身では移住をするのも難しい。領地経営も上手くいき、領民との関係も良好だ。慕って信頼してくれる領民達を自分達のエゴで責務を放り出すわけにもいかなかった。
俺が相談した時は、父は領地の事を考えて随分と悩んでいた。先祖代々、受け継いできた領地と爵位を捨てるのは忍びなかったのだろう。
夢は夢だと叶えたくとも叶うはずのない夢だと半ば諦めて胸におさめて生きてきたのだから。
しかし、リリアの王族への不敬や無礼なふるまいは社交界に知れ渡ることとなり、日に日に悪化して我々は針の筵状態に陥ってしまった。
事業が成功しているからといっても所詮は男爵家。上に睨まれれば商売はすぐに立ち行かなくなる。それを思えば早々に手を引いた方が被害が少なく済むのではないかと考えた。
それに、義妹の失態は我々保護者の責任でもある。潔く爵位を差し出すことが男爵家として責任を取ることにもなるだろう。
爵位と領地を返上すれば王領となる。評判の悪い男爵家よりも王家で管理してもらう方が領民のためにもなるのではないかとも思ったのだ。
考えに考えた末、それらが決め手となり父も賛成してくれたので、すぐに実行に移した。
爵位と領地の返上は国王陛下と議会にすぐさま認められて、すんなりと話は進んでいった。
不動産等は売却して商会はフィンディス国に拠点を移すことにして、この地は支店として置くことに決めた。取引を継続している商会や個人客もあるからだ。リヴェール商会もその一つだった。
リリアの件では迷惑をかけっぱなしなのに、ブルーバーグ侯爵家の寛大な待遇には頭が上がらない。これからも。
「準備が整ったようですよ。いつでも出発できます」
新邸を眺めながら感慨に浸っていた俺はハッと我に返った。
声をかけたのはマギーだった。振り向くと荷物を積み終えた馬車と同行する元侍従のサンドと元メイド長のノラが待っていた。マギーはノラの娘で彼女も同行することになっている。
「ご苦労だった」
「いえ」
「どうしたのだ?」
何かもの言いたげに俺を見つめるマギー。
「あの……お嬢様はお元気でしたか?」
おずおずと切り出したマギーの表情は硬かった。心配げに瞳が揺れて、緊張しているようにも見えた。
「ああ。元気でやっているようだ」
先日、リリアがいるコンドール修道院を訪問した。この国を離れるので挨拶とリリアの様子を伺いに父と一緒に尋ねて行ったのだ。
初めのうちはシスターたちも手こずっていたようだが、慣れてくると規律に従って規則正しい生活をしているそうだ。この調子であれば市井に出ても生活していけるだろう。そう願っている。
「そうですか。よかったです」
マギーはほっとしたように頬を緩めた。
「リリアの事が気になっていたのか?」
「はい。お邸にいらっしゃって以来、ずっとお世話をしてきましたので」
「そうか」
「貴族らしくなくて、少々破天荒なお嬢様でしたが、そんなところが憎めなくて可愛らしいお方でしたから、会えなくなると思うと寂しくなります」
マギーはリリアとの思い出を噛みしめるようにどこか遠いところを見つめていた。
「憎めなくて、可愛らしいか……」
そばにいてかいがいしく世話をするメイドとは距離も近い。そういえば、リリアが学園からずぶぬれで帰ってきた時にマギーが徹夜で看病していたのを思い出した。
俺は礼儀知らずだと毛嫌いしていたが、メイド達には好かれていたのかもしれない。
「言葉が過ぎました。申し訳ございません」
思わず飛び出した言葉だったのか、マギーが口を押えたあと頭を下げた。
「別に謝らなくてもいい。リリアの事だが、今は刺繍に夢中になっているそうだ。指は包帯だらけだそうだが時間があれば刺繍を刺していると教えてもらった」
「刺繍ですか? お嬢様が刺繍?」
信じられない顔をして大きく目を見開いたマギー。
「ああ。ホールに聖母が天使を抱いている刺繍画に目を留めてじっと眺めていたそうだ。静かに涙を流しながら。その後から刺繍を始めたらしい」
「そうなのですね。あのお嬢様が……刺繍針は凶器だと言って道具箱にさえ触れなかったあのお嬢様が……」
マギーはなにやら感激している。目頭を押さえた指先に光るものが見えた。そこまで感極まるものなのか。
凶器と言っているのは知らなかったが、指に包帯と聞くとあながち嘘ではないのかもしれない。
宗教画を題材としたそれは教会にも必ずといっていいほど目にする有名な絵画を模したもの。
俺達も見せてもらったが絵画と見間違うほどよくできた心が洗われるような刺繍画だった。繊細で豊かな色使い、緻密で巧な技術。どれをとっても細部までこだわり手の込んだものだった。
リリアが何を思ったのか、何に感動したのかはわからないが、心を突き動かす何かが芽生えたのだろう。
どちらかというと怠惰な性格のリリアが夢中になるものを見つけたのなら、それはそれでいいことだ。
刺繍師という職業もあるようで生計を立てることも可能だと院長に教えてもらった。
一心不乱に刺繍をしているリリアの姿が目に浮かんだ。
「本当によかったです。お嬢様は生きがいを見つけて修道院で頑張っているのですね」
「心配していたのか?」
「少々。お転婆で自由なお方でしたから」
遠慮するのをやめたのか、なんともしがたい評価が増えていた。
謹慎中も色々やらかしたからな。我儘とか非常識とか言わない辺りはマギーの優しさだろうか。
「俺も修道院に順応できるのか、実はハラハラしていた」
「ジェフリー様もですか?」
「ああ」
内心は手に負えなくて返されるのではないかと心配していたのだ。俺達は顔を見合わせてクスリと笑った。
その杞憂もなくなり心置きなく国を出ることができる。
「お嬢様に手紙を書いてもよろしいでしょうか?」
「ん? それは構わない。好きにしたらいい。リリアも喜ぶかもしれないな」
「ありがとうございます。落ち着いたら早速書いてみようと思います」
我々はこの国からいなくなる。気にかけている者がいると知れば少しはリリアの慰めにもなるかもしれない。
話が落ち着いたところで俺達は馬車に乗り込んだ。
走り出した馬車から遠くなっていく新邸を見送った。
「さて、次は領地に行かねばな」
「そうですね。一か月滞在して挨拶と引継ぎと諸々の整理。忙しくなりそうですね」
「第三王子殿下が来てくださるのは十日後だったか」
父の顔が引き締まって領主の顔になった。
「ですね。それまでに代表の者達とも打ち合わせておかないといけませんね。確か婚約者であるブルーバーグ侯爵令嬢もご一緒でしたよね。粗相のないようにしなければ、何度もチェント男爵家の失態を見せられませんからね」
「その通りだ」
王子殿下方の目の前で繰り広げられたリリアの愚行で、我々の印象は最悪だろう。ゆえに細心の注意を払ってお出迎えせねばならないだろう。そう思うと身が引き締まる思いがした。
領主代理が決まったのは先週の事。王都での残務処理もあらかた終わり、領地へ報告に行かねばと思っていた矢先だった。まさか、領主代理が第三王子殿下だとは想像もしていなかったが。
我々の移住前に王子殿下に引継ぎ、領地経営が支障なく行われるようにとの王家の配慮だと思われる。王子殿下が領主代理となれば領民も憂いなく安心して生活できるだろう。
「それはそうと、エドガー殿も思い切ったことをしたものだな」
領地引継ぎの件を話し終えると父が話題を変えた。
先日、テンネル侯爵家へ挨拶に出向いた時に聞かされたことだった。
「びっくりしましたよ。彼が貴族籍を抜けるとは思ってもいませんでした」
「侯爵家の嫡男で後継者だった地位を捨てるとは、よくよくの事だったのだろうが。その理由がリリアとはな」
呆れたような信じ難いような複雑な表情が見て取れた。
「爵位よりも後継者よりも愛を取った結果なのでしょう。まるで……」
伯父のようだと続けようとしたが、父の事を思い止めた。
親子揃って同じような道を選ぶのは何の因果なのか。
次期当主の座を捨て平民となった伯父は幸せだったのだろうか。今では確かめる術もないが。
エドガー殿は平民となってテンネル侯爵家が経営する子会社で働いているそうだ。リリアが修道院から出てくるまで待つつもりらしい。
侯爵閣下から聞かされた時は仰天し、リリアのせいで後継者を失う羽目になった事に申し訳なく思ったのだが、夫妻は以外にもサバサバとしていらっしゃった。
生気のない引き籠りになるよりも生きがいを持って働く方がよいと。爵位もある方が望ましいのだろうが、本人に必要のないものであれば無理に継がせることもしない。次男がいるからその点は大丈夫だといい、気持ちが吹っ切れたのか晴れやかな表情が印象的だった。
何が幸せなんてわからない。我々だって爵位を返上して平民として生きていくのだから。
リリア。これからの人生に幸多からんことを祈っている。
リリア。幸せになれ。
忙しそうに馬車と新邸を往復する使用人達に声をかけた。その間にも荷物が馬車の中に運び込まれていく。
「いよいよ、お別れですね」
「ああ。ここに住むことは終ぞなかったな」
父が新邸の外観を見上げながらポツリと呟いた。
若木のシンボルツリーの枝がそよそよと風に靡いていた。
これから新しい歴史を刻むはずだった新邸に今日別れを告げる。男爵位を返上して平民となったからだ。
リリアの件が発端であることは間違いないが、むしろ決断する機会をくれてよかったと思う。
俺達はこれからフィンディス国へと向かう。最終目的地はジュラン皇国。長年の夢を現実することができるのだ。
領地を抱えた貴族の身では移住をするのも難しい。領地経営も上手くいき、領民との関係も良好だ。慕って信頼してくれる領民達を自分達のエゴで責務を放り出すわけにもいかなかった。
俺が相談した時は、父は領地の事を考えて随分と悩んでいた。先祖代々、受け継いできた領地と爵位を捨てるのは忍びなかったのだろう。
夢は夢だと叶えたくとも叶うはずのない夢だと半ば諦めて胸におさめて生きてきたのだから。
しかし、リリアの王族への不敬や無礼なふるまいは社交界に知れ渡ることとなり、日に日に悪化して我々は針の筵状態に陥ってしまった。
事業が成功しているからといっても所詮は男爵家。上に睨まれれば商売はすぐに立ち行かなくなる。それを思えば早々に手を引いた方が被害が少なく済むのではないかと考えた。
それに、義妹の失態は我々保護者の責任でもある。潔く爵位を差し出すことが男爵家として責任を取ることにもなるだろう。
爵位と領地を返上すれば王領となる。評判の悪い男爵家よりも王家で管理してもらう方が領民のためにもなるのではないかとも思ったのだ。
考えに考えた末、それらが決め手となり父も賛成してくれたので、すぐに実行に移した。
爵位と領地の返上は国王陛下と議会にすぐさま認められて、すんなりと話は進んでいった。
不動産等は売却して商会はフィンディス国に拠点を移すことにして、この地は支店として置くことに決めた。取引を継続している商会や個人客もあるからだ。リヴェール商会もその一つだった。
リリアの件では迷惑をかけっぱなしなのに、ブルーバーグ侯爵家の寛大な待遇には頭が上がらない。これからも。
「準備が整ったようですよ。いつでも出発できます」
新邸を眺めながら感慨に浸っていた俺はハッと我に返った。
声をかけたのはマギーだった。振り向くと荷物を積み終えた馬車と同行する元侍従のサンドと元メイド長のノラが待っていた。マギーはノラの娘で彼女も同行することになっている。
「ご苦労だった」
「いえ」
「どうしたのだ?」
何かもの言いたげに俺を見つめるマギー。
「あの……お嬢様はお元気でしたか?」
おずおずと切り出したマギーの表情は硬かった。心配げに瞳が揺れて、緊張しているようにも見えた。
「ああ。元気でやっているようだ」
先日、リリアがいるコンドール修道院を訪問した。この国を離れるので挨拶とリリアの様子を伺いに父と一緒に尋ねて行ったのだ。
初めのうちはシスターたちも手こずっていたようだが、慣れてくると規律に従って規則正しい生活をしているそうだ。この調子であれば市井に出ても生活していけるだろう。そう願っている。
「そうですか。よかったです」
マギーはほっとしたように頬を緩めた。
「リリアの事が気になっていたのか?」
「はい。お邸にいらっしゃって以来、ずっとお世話をしてきましたので」
「そうか」
「貴族らしくなくて、少々破天荒なお嬢様でしたが、そんなところが憎めなくて可愛らしいお方でしたから、会えなくなると思うと寂しくなります」
マギーはリリアとの思い出を噛みしめるようにどこか遠いところを見つめていた。
「憎めなくて、可愛らしいか……」
そばにいてかいがいしく世話をするメイドとは距離も近い。そういえば、リリアが学園からずぶぬれで帰ってきた時にマギーが徹夜で看病していたのを思い出した。
俺は礼儀知らずだと毛嫌いしていたが、メイド達には好かれていたのかもしれない。
「言葉が過ぎました。申し訳ございません」
思わず飛び出した言葉だったのか、マギーが口を押えたあと頭を下げた。
「別に謝らなくてもいい。リリアの事だが、今は刺繍に夢中になっているそうだ。指は包帯だらけだそうだが時間があれば刺繍を刺していると教えてもらった」
「刺繍ですか? お嬢様が刺繍?」
信じられない顔をして大きく目を見開いたマギー。
「ああ。ホールに聖母が天使を抱いている刺繍画に目を留めてじっと眺めていたそうだ。静かに涙を流しながら。その後から刺繍を始めたらしい」
「そうなのですね。あのお嬢様が……刺繍針は凶器だと言って道具箱にさえ触れなかったあのお嬢様が……」
マギーはなにやら感激している。目頭を押さえた指先に光るものが見えた。そこまで感極まるものなのか。
凶器と言っているのは知らなかったが、指に包帯と聞くとあながち嘘ではないのかもしれない。
宗教画を題材としたそれは教会にも必ずといっていいほど目にする有名な絵画を模したもの。
俺達も見せてもらったが絵画と見間違うほどよくできた心が洗われるような刺繍画だった。繊細で豊かな色使い、緻密で巧な技術。どれをとっても細部までこだわり手の込んだものだった。
リリアが何を思ったのか、何に感動したのかはわからないが、心を突き動かす何かが芽生えたのだろう。
どちらかというと怠惰な性格のリリアが夢中になるものを見つけたのなら、それはそれでいいことだ。
刺繍師という職業もあるようで生計を立てることも可能だと院長に教えてもらった。
一心不乱に刺繍をしているリリアの姿が目に浮かんだ。
「本当によかったです。お嬢様は生きがいを見つけて修道院で頑張っているのですね」
「心配していたのか?」
「少々。お転婆で自由なお方でしたから」
遠慮するのをやめたのか、なんともしがたい評価が増えていた。
謹慎中も色々やらかしたからな。我儘とか非常識とか言わない辺りはマギーの優しさだろうか。
「俺も修道院に順応できるのか、実はハラハラしていた」
「ジェフリー様もですか?」
「ああ」
内心は手に負えなくて返されるのではないかと心配していたのだ。俺達は顔を見合わせてクスリと笑った。
その杞憂もなくなり心置きなく国を出ることができる。
「お嬢様に手紙を書いてもよろしいでしょうか?」
「ん? それは構わない。好きにしたらいい。リリアも喜ぶかもしれないな」
「ありがとうございます。落ち着いたら早速書いてみようと思います」
我々はこの国からいなくなる。気にかけている者がいると知れば少しはリリアの慰めにもなるかもしれない。
話が落ち着いたところで俺達は馬車に乗り込んだ。
走り出した馬車から遠くなっていく新邸を見送った。
「さて、次は領地に行かねばな」
「そうですね。一か月滞在して挨拶と引継ぎと諸々の整理。忙しくなりそうですね」
「第三王子殿下が来てくださるのは十日後だったか」
父の顔が引き締まって領主の顔になった。
「ですね。それまでに代表の者達とも打ち合わせておかないといけませんね。確か婚約者であるブルーバーグ侯爵令嬢もご一緒でしたよね。粗相のないようにしなければ、何度もチェント男爵家の失態を見せられませんからね」
「その通りだ」
王子殿下方の目の前で繰り広げられたリリアの愚行で、我々の印象は最悪だろう。ゆえに細心の注意を払ってお出迎えせねばならないだろう。そう思うと身が引き締まる思いがした。
領主代理が決まったのは先週の事。王都での残務処理もあらかた終わり、領地へ報告に行かねばと思っていた矢先だった。まさか、領主代理が第三王子殿下だとは想像もしていなかったが。
我々の移住前に王子殿下に引継ぎ、領地経営が支障なく行われるようにとの王家の配慮だと思われる。王子殿下が領主代理となれば領民も憂いなく安心して生活できるだろう。
「それはそうと、エドガー殿も思い切ったことをしたものだな」
領地引継ぎの件を話し終えると父が話題を変えた。
先日、テンネル侯爵家へ挨拶に出向いた時に聞かされたことだった。
「びっくりしましたよ。彼が貴族籍を抜けるとは思ってもいませんでした」
「侯爵家の嫡男で後継者だった地位を捨てるとは、よくよくの事だったのだろうが。その理由がリリアとはな」
呆れたような信じ難いような複雑な表情が見て取れた。
「爵位よりも後継者よりも愛を取った結果なのでしょう。まるで……」
伯父のようだと続けようとしたが、父の事を思い止めた。
親子揃って同じような道を選ぶのは何の因果なのか。
次期当主の座を捨て平民となった伯父は幸せだったのだろうか。今では確かめる術もないが。
エドガー殿は平民となってテンネル侯爵家が経営する子会社で働いているそうだ。リリアが修道院から出てくるまで待つつもりらしい。
侯爵閣下から聞かされた時は仰天し、リリアのせいで後継者を失う羽目になった事に申し訳なく思ったのだが、夫妻は以外にもサバサバとしていらっしゃった。
生気のない引き籠りになるよりも生きがいを持って働く方がよいと。爵位もある方が望ましいのだろうが、本人に必要のないものであれば無理に継がせることもしない。次男がいるからその点は大丈夫だといい、気持ちが吹っ切れたのか晴れやかな表情が印象的だった。
何が幸せなんてわからない。我々だって爵位を返上して平民として生きていくのだから。
リリア。これからの人生に幸多からんことを祈っている。
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