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第7章:【イバラの森の魔女の涙】そして……
39話.シャンプーの瓶
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ドラゴンの背に乗り、ダミ子とマースは全知の森へ向かった。
「よう。久しぶりじゃのお」
「呑気に挨拶してる場合じゃなーい!」
優雅にドクダミンPを飲みながら二人を迎えた久々の精霊にチョップを入れる。
「ごふっ何するんじゃ!」
「あんたあのレシピ嘘っこじゃねぇか! なんも効かんどころか世界が眠り始めてるぞ!」
「はあ? どうゆうことじゃ」
ダミ子は今起きている現状を精霊に伝えた。
「バカな……妾の特効薬の効果が効かないなんて」
「全然全知じゃないじゃんあんた」
「なんたる言いぐさ! そのレシピで完成した薬で永眠病にかかった者は目を覚ましたんじゃろう? 妾のレシピは正しかったんじゃ」
「じゃあどうして起きた途端また寝ちゃったんだよ! それどころかグゥスカ王国なんて私たち以外全滅だぞ!? 一瞬起きたどころか被害は拡大してるんだよどういうことだ!」
「ひゃう~ほっぺたつまむな~」
「ダミ子さんどうどう」
「あ、すまない」
祖父が眠りダミ子も僅かに焦りが表面上に出てきていた。
「正確には、薬は効いたが新たに眠り病を追加された、しかもさらに強力なもので、広範囲に……といったところか」
ダミ子たちの数歩後ろに佇んでいたドラゴンが口を開いた。
「メザメールは確かに永眠病に効いた。しかし永眠病がそれをさらに上回った。このままではイタチごっこだろう」
ドラゴンは精霊に目を向け言う。
「久しいな。最後に会ったのはいつの日か。なあ、全知の精霊よ」
「お主はスカピー火山の……事態はよほど深刻なようじゃな」
「お、お二人は知り合いなんですか?」
初対面とは思えない二人(?)の話し方にマースが聞く。
「「うん」」精霊とドラゴンは首肯いた。
「遠い昔の旧友じゃ。お互い人間に興味がなく人間界との繋がりは稀薄だったんじゃが……お主が協力するとは思わなんだ」
「いろいろとあって借りができたのだ……ヨガとか」
「ヨガ?」
「そ、それより」
ダミ子供が二人の間に割り込む。
「それはメザメールに対抗して病も強度を増したということか!?」
「薬剤師なんだろう。抗原抗体にワクチン……ウイルスとのイタチごっこはよくある事例ではないか」
「でもおかしいですよ」
次にマースが口を挟む。
「セージ殿……患者がメザメールを摂取し目を覚ましてから新たな眠り病に上書きされるのは一瞬でした。いくらなんでも早すぎる。まるで、それをわかっていたかのような反応だった」
「反応?」
「はい。僕は、まるで病に“意思”があるように感じたんです……」
「“意思”だと? 永眠病に?」
「はい」
「ほほう面白いこと言うの坊主。意思とはつまりこの病は人の作為によって出来たものというのか」
「意思なんぞで病が蔓延できるのかえ? ハートでウイルスが蔓延するなんて妾聞いたことないのー」
「わ、わかりません。根拠や確信などではっきり言えないんですけど、なにか変だな……って、直感というか違和感というか僕の中で引っかかりを感じていて……」
ドラゴンと精霊の圧に押されながらもマースがたじたじと見解を述べた。
「“意思”ねぇ……」
確かにメザメールの特効薬投与からの回復、病の急変の早さは不自然なものがあった。
永眠病が誰かしらの意思で作為的につくられた病。
「……いいや、ありえないだろ医学的に。世界中を巻き込む病気を意思で?」
だとしたって一体誰が……
『早く目を覚ますといいわね』
「っ……!?」
なんで。
(なぜだろう)
あの時イバラの森の塔で話した魔女の言葉が記憶の奥底で蠢いた。
(どうして今思い出したんだ)
あの時の彼女のほの暗さを感じる微笑み、言葉がなぜかダミ子の中で引っかかっていた。
引っかかりを感じていたのはもう一つ。
それはあの女性自身のこと。
(あの人の顔、初めて会う前から、どこかで見たことあるような気がしたんだ)
ダミ子が思案する後ろでなぜかマースはいきなり背負ってたリュックをガサゴソあさり始めた。
「おいこのガキンチョ急に荷物を物食し始めたぞ!」
「ワシらがつっつきすぎたから……!?」
挙動不審な助手の様子に精霊とドラゴンが怯えていた。
「マースくん何してるの」
「これじゃないあれじゃない」
土を掘るもぐらのように一心不乱にリュックの中身を地面に並べていく。何かを探してる?
「あった! これですダミ子さん!」
「何お腹でも空いてたの……って、これ、」
「あの女性、どこかで見覚えあると思ったんですよ! これです」
彼が手に持つのは一本の瓶だった。
アンゼリカの街でダミ子がお土産に買ったシャンプーの瓶。
『聖女のシャンプー』
そう記された瓶に描かれる女性の絵と塔で会った女性の姿が瓜二つだった。
髪型や服装などは違うが雰囲気や柔らかく微笑む表情に面影がある。
「誰かに似てると思ったんですけどこの人ですよ。【聖女・ローズマリー】。イバラの森の塔にいた魔女さんはこのローズマリーにそっくりだったんです!」
ローズマリー。
百年戦争を止めた二人の英雄のうちの一人。
勇者トグルマと共に魔王を倒し、伝説としてアンゼリカの街で称えられている聖女。
「この見覚えはシャンプーのパッケージからだったのか」
「はい。なんか初めて会った気がしなくて頭の中でずっともにょもにょしてたんです」
「よく思い出せたな」
どうやらマースも気になっていたらしい。
塔の魔女に疑問を覚えたのは自分だけではなかった。
「って話脱線しすぎたな。いや確かに似てるし納得はしたけど、仮に同一人物だとしても今の永眠病の問題と彼女の話は何も関係ないんじゃ……」
「なにローズマリーじゃと?」
「よう。久しぶりじゃのお」
「呑気に挨拶してる場合じゃなーい!」
優雅にドクダミンPを飲みながら二人を迎えた久々の精霊にチョップを入れる。
「ごふっ何するんじゃ!」
「あんたあのレシピ嘘っこじゃねぇか! なんも効かんどころか世界が眠り始めてるぞ!」
「はあ? どうゆうことじゃ」
ダミ子は今起きている現状を精霊に伝えた。
「バカな……妾の特効薬の効果が効かないなんて」
「全然全知じゃないじゃんあんた」
「なんたる言いぐさ! そのレシピで完成した薬で永眠病にかかった者は目を覚ましたんじゃろう? 妾のレシピは正しかったんじゃ」
「じゃあどうして起きた途端また寝ちゃったんだよ! それどころかグゥスカ王国なんて私たち以外全滅だぞ!? 一瞬起きたどころか被害は拡大してるんだよどういうことだ!」
「ひゃう~ほっぺたつまむな~」
「ダミ子さんどうどう」
「あ、すまない」
祖父が眠りダミ子も僅かに焦りが表面上に出てきていた。
「正確には、薬は効いたが新たに眠り病を追加された、しかもさらに強力なもので、広範囲に……といったところか」
ダミ子たちの数歩後ろに佇んでいたドラゴンが口を開いた。
「メザメールは確かに永眠病に効いた。しかし永眠病がそれをさらに上回った。このままではイタチごっこだろう」
ドラゴンは精霊に目を向け言う。
「久しいな。最後に会ったのはいつの日か。なあ、全知の精霊よ」
「お主はスカピー火山の……事態はよほど深刻なようじゃな」
「お、お二人は知り合いなんですか?」
初対面とは思えない二人(?)の話し方にマースが聞く。
「「うん」」精霊とドラゴンは首肯いた。
「遠い昔の旧友じゃ。お互い人間に興味がなく人間界との繋がりは稀薄だったんじゃが……お主が協力するとは思わなんだ」
「いろいろとあって借りができたのだ……ヨガとか」
「ヨガ?」
「そ、それより」
ダミ子供が二人の間に割り込む。
「それはメザメールに対抗して病も強度を増したということか!?」
「薬剤師なんだろう。抗原抗体にワクチン……ウイルスとのイタチごっこはよくある事例ではないか」
「でもおかしいですよ」
次にマースが口を挟む。
「セージ殿……患者がメザメールを摂取し目を覚ましてから新たな眠り病に上書きされるのは一瞬でした。いくらなんでも早すぎる。まるで、それをわかっていたかのような反応だった」
「反応?」
「はい。僕は、まるで病に“意思”があるように感じたんです……」
「“意思”だと? 永眠病に?」
「はい」
「ほほう面白いこと言うの坊主。意思とはつまりこの病は人の作為によって出来たものというのか」
「意思なんぞで病が蔓延できるのかえ? ハートでウイルスが蔓延するなんて妾聞いたことないのー」
「わ、わかりません。根拠や確信などではっきり言えないんですけど、なにか変だな……って、直感というか違和感というか僕の中で引っかかりを感じていて……」
ドラゴンと精霊の圧に押されながらもマースがたじたじと見解を述べた。
「“意思”ねぇ……」
確かにメザメールの特効薬投与からの回復、病の急変の早さは不自然なものがあった。
永眠病が誰かしらの意思で作為的につくられた病。
「……いいや、ありえないだろ医学的に。世界中を巻き込む病気を意思で?」
だとしたって一体誰が……
『早く目を覚ますといいわね』
「っ……!?」
なんで。
(なぜだろう)
あの時イバラの森の塔で話した魔女の言葉が記憶の奥底で蠢いた。
(どうして今思い出したんだ)
あの時の彼女のほの暗さを感じる微笑み、言葉がなぜかダミ子の中で引っかかっていた。
引っかかりを感じていたのはもう一つ。
それはあの女性自身のこと。
(あの人の顔、初めて会う前から、どこかで見たことあるような気がしたんだ)
ダミ子が思案する後ろでなぜかマースはいきなり背負ってたリュックをガサゴソあさり始めた。
「おいこのガキンチョ急に荷物を物食し始めたぞ!」
「ワシらがつっつきすぎたから……!?」
挙動不審な助手の様子に精霊とドラゴンが怯えていた。
「マースくん何してるの」
「これじゃないあれじゃない」
土を掘るもぐらのように一心不乱にリュックの中身を地面に並べていく。何かを探してる?
「あった! これですダミ子さん!」
「何お腹でも空いてたの……って、これ、」
「あの女性、どこかで見覚えあると思ったんですよ! これです」
彼が手に持つのは一本の瓶だった。
アンゼリカの街でダミ子がお土産に買ったシャンプーの瓶。
『聖女のシャンプー』
そう記された瓶に描かれる女性の絵と塔で会った女性の姿が瓜二つだった。
髪型や服装などは違うが雰囲気や柔らかく微笑む表情に面影がある。
「誰かに似てると思ったんですけどこの人ですよ。【聖女・ローズマリー】。イバラの森の塔にいた魔女さんはこのローズマリーにそっくりだったんです!」
ローズマリー。
百年戦争を止めた二人の英雄のうちの一人。
勇者トグルマと共に魔王を倒し、伝説としてアンゼリカの街で称えられている聖女。
「この見覚えはシャンプーのパッケージからだったのか」
「はい。なんか初めて会った気がしなくて頭の中でずっともにょもにょしてたんです」
「よく思い出せたな」
どうやらマースも気になっていたらしい。
塔の魔女に疑問を覚えたのは自分だけではなかった。
「って話脱線しすぎたな。いや確かに似てるし納得はしたけど、仮に同一人物だとしても今の永眠病の問題と彼女の話は何も関係ないんじゃ……」
「なにローズマリーじゃと?」
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