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14 調教③
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指定されたのは、同じ市内にある民間の総合病院だった。
翔は、脳外科の病棟のICUの扉の前で待っていた。
洒落たコートを着て、病院内だというのにサングラスをかけている。
「ここはうちの会社の系列病院だ。一応、最高級の治療をと頼んであるが、歳も歳だし、さてどうなることやら」
他人事のようにそれだけ言うと、内部の看護師にインターホンで連絡を取り、ドアを開けさせた。
ベッドに仰臥し、無数のチューブにつながれてた老人は、見るも無残なありさまだった。
シーツから出ている部分はほとんど包帯に覆われ、辛うじてのぞいている地肌には老人班が浮き出ている。
「どうだ。少しは、心が痛むかい?」
凍りついたように立ち尽くす僕の肩に手を置き、翔がたずねた。
言葉が出ず、うなずくことしかできない。
今更ながらに、自分の犯した罪の重さに打ちひしがれる気分だった。
僕の華奢な肩を撫でながら、落ち着いた口調で、翔が続けた。
「だが、前も言ったように、起こってしまったことは仕方がない。時間は巻き戻せはしないし、これは運命だったという見方もある。だから、大事なのは、これから君がどうするかということだ」
「僕は、何を…?」
震える声で訊き返す。
絶望感から、今にも涙が溢れそうだ。
と、翔が僕の肩を押して出入り口のほうへ向けさせた。
「行こう。ここで済ませておきたいことがある」
ICUを出て、エレベーターで数階下に下る。
「君も、気分転換したいだろう」
人気のない通路を進むと、何の表示も出ていないドアの前で翔が立ち止まった。
「ここに入れ」
鍵のかかっていないドアを開け、翔が言う。
中はベッドもない殺風景な部屋で、なんだかシャワー室に似ていた。
リノリウムの床はすり鉢状にへこみ、中央の排水口に向かってゆるやかに傾斜している。
壁から突き出た蛇口には蛇のようなホースがとりつけてあった。
「固形物は食べてないな」
念を押すように、翔が訊いた。
「うん…コーヒー飲んだだけ」
答えると、満足そうにうなずき、コートのポケットからプラケースに入った錠剤を取り出した。
「いいだろう。じゃあ、全裸になって、これを飲め」
「こ、ここで…?」
僕はびっくりして翔の顔をまじまじと見つめた。
この男、気は確かなのか?
ここは、自分の祖父が入院している病院なのに…。
「それに、その薬みたいなものは?」
おそるおそるたずねると、当然のような口調で、翔が答えた。
「下剤だ。本格的な調教を始める前に、まず、君の腸の中を綺麗に洗浄する必要がある」
翔は、脳外科の病棟のICUの扉の前で待っていた。
洒落たコートを着て、病院内だというのにサングラスをかけている。
「ここはうちの会社の系列病院だ。一応、最高級の治療をと頼んであるが、歳も歳だし、さてどうなることやら」
他人事のようにそれだけ言うと、内部の看護師にインターホンで連絡を取り、ドアを開けさせた。
ベッドに仰臥し、無数のチューブにつながれてた老人は、見るも無残なありさまだった。
シーツから出ている部分はほとんど包帯に覆われ、辛うじてのぞいている地肌には老人班が浮き出ている。
「どうだ。少しは、心が痛むかい?」
凍りついたように立ち尽くす僕の肩に手を置き、翔がたずねた。
言葉が出ず、うなずくことしかできない。
今更ながらに、自分の犯した罪の重さに打ちひしがれる気分だった。
僕の華奢な肩を撫でながら、落ち着いた口調で、翔が続けた。
「だが、前も言ったように、起こってしまったことは仕方がない。時間は巻き戻せはしないし、これは運命だったという見方もある。だから、大事なのは、これから君がどうするかということだ」
「僕は、何を…?」
震える声で訊き返す。
絶望感から、今にも涙が溢れそうだ。
と、翔が僕の肩を押して出入り口のほうへ向けさせた。
「行こう。ここで済ませておきたいことがある」
ICUを出て、エレベーターで数階下に下る。
「君も、気分転換したいだろう」
人気のない通路を進むと、何の表示も出ていないドアの前で翔が立ち止まった。
「ここに入れ」
鍵のかかっていないドアを開け、翔が言う。
中はベッドもない殺風景な部屋で、なんだかシャワー室に似ていた。
リノリウムの床はすり鉢状にへこみ、中央の排水口に向かってゆるやかに傾斜している。
壁から突き出た蛇口には蛇のようなホースがとりつけてあった。
「固形物は食べてないな」
念を押すように、翔が訊いた。
「うん…コーヒー飲んだだけ」
答えると、満足そうにうなずき、コートのポケットからプラケースに入った錠剤を取り出した。
「いいだろう。じゃあ、全裸になって、これを飲め」
「こ、ここで…?」
僕はびっくりして翔の顔をまじまじと見つめた。
この男、気は確かなのか?
ここは、自分の祖父が入院している病院なのに…。
「それに、その薬みたいなものは?」
おそるおそるたずねると、当然のような口調で、翔が答えた。
「下剤だ。本格的な調教を始める前に、まず、君の腸の中を綺麗に洗浄する必要がある」
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