淫美な虜囚

ヤミイ

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639 インターバル⑥ 

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「見てなさいよ。そのほうがあんた、興奮するんでしょ」
 意地悪そうな口調で姉さんが言い、僕を鏡の前まで引っ立てた。
 等身大の鏡に映る、見慣れた貧弱な裸体。
 だが、股間の男根だけは別だった。
 ただでさえ僕のは通常サイズより大きいのだが、それが巨木のごとく肥大して、垂直に天井を指している。
 下腹に密着するほど勃起しているため、鏡に映っているのは普段見られない裏側だ。
 ごつごつとした五平餅の表面みたいな海綿体が中心の線から左右対称に配置され、あたかも肉の鎧のようだ。
 そして特筆すべきは肉の棒の先に兜を被せたような形の亀頭部分である。
 僕の場合、余った包皮が亀頭の喉の所に縮こまっているため、そこが裏筋と繋がっているのがよくわかる。
 触られて一番感じるのが、その境目の部位だった。
 少し撫でられただけで濡れてくる。
 完熟トマトみたいに真っ赤に熟れた亀頭はつるつるしているのだが、その鼻先には縦に深い切れ込みがある。
 それがいわゆる尿道口なのだが、亀頭の喉の所を触られると、その亀裂からすぐに透明な汁が滲むのだ。
 あるかなきかの貧弱な六角筋が浮き出た下腹に貼りついた肉でできた丸太のような僕の陰茎。
 そのいやらしいフォルムには、自分のことながら欲情せずにはいられない。
 今、僕の自慢の陰茎は、首根っこに黒い輪を嵌められ、赤ん坊の拳ほどもある亀頭を固く締め上げられている。
 それがSMプレイみたいで、またそそるのだ。
 僕には正直ナルシストの一面がある。
 おそらく翔と同じくらい自分が好きなのだ。
 その中でも一番好きなのが、この生殖器官だった。
 触るととたんに気持ちよくなる魔法の棒。
 いつもはあんなに柔らかいのに、ちょっと乳首を弄るだけで、あっという間に恥ずかしいほど怒張してしまう。
 そんなはしたない器官が少女みたいな華奢な躰に生えている…。
 それが僕。
 そう、そしてもう1か所。
 自慰の時触りすぎたせいかメラニン色素が沈着して干しレーズンみたいに黒ずんだふたつの大き目の乳首…。
 これも、感度抜群で自分としては気に入っている。
 本当は、翔のみたいに綺麗な薔薇色をしているが理想だけれど、感度では僕のだって負けていない。
「行きますよ」
 陽が注射器片手に突っ立った僕の脇にしゃがみこむ。
「これを打てば、痛みはすべて快感に変わります。何をされても気持ちよくなる、そんな魔法の薬なんです」
 脱脂綿で僕の陰茎の付け根を拭きながら、陽が言った。
「少しちくりとしますが、安心してください。僕、職業柄、こういうの、慣れてるんで」
 確かに手慣れた所作だった。
 陽は陰茎への注射を終えると、すぐさま乳首へと移った。
 乳頭に針を突き立てられた時にはさすがに恐怖を感じたけど、それも杞憂に終わった。
 左右二つとも、痛みを感じるまでもなく、あっという間に終了してしまったのだ。
「どのくらいで効いてくるの?」
 僕に栄養剤のパウチを渡しながら、姉さんがたずねた。
「個人差はありますが、数分といったところですかね。腹ごなしが済んだ頃には、もうバッキバキですよ」
「これ以上の勃起って、どんなのかしらね。ちょっと想像がつかないんだけれど」
 垂直に勃ち上がった僕の太く長い男根を眺めながら、姉さんが興味津々といった口調でつぶやいた。

 
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