バナナの皮を剥くように ~薔薇色の少年~ 

ヤミイ

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16 満員バスの中の痴態⑧

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 僕らがバスを降りると、1分と間を置かず、黒いワンボックスカーが目の前に滑り込んできた。

 降りて来たのは全身黒ずくめの人物だった。

 野球帽を目深にかぶってマスクをしているせいではっきりとはわからないが、体つきからして若い女性らしい。

 女は側面のスライドドアを無造作に開けると、僕に肩を借りたヨミを一瞥し、フンと鼻を鳴らした。

 ヨミがうなずくのを見て、そのまま何も言わずに運転席に戻っていく。

 不思議なことだった。

 確かにヨミは車を呼ぶと言ってバスを降りる直前、スマホでどこかに連絡を取っていたが、迎えが来るにはいくらなんでも早すぎる。

 僕の見積もりでは、双龍邸からここまで車で優に30分はかかるはずなのだ。

 考えても仕方のないことだった。

 ヨミには謎めいた所が色々ある。

 そもそも、バスの中のあれは何だったのか。

 行きは我慢できたのに、とはどういうことだ。

 あんなふうになったのは、僕が見ていたから、だって・・・?

 中に入ると、三人掛けのシートが三列並んだ車内は広く、ぐったりしたヨミを横たえるには十分だった。

「とんだところを見られちゃったね」

 ほとんど音を立てず車が走り出すと、ヨミがしゃべりしゃべり出した。

「僕のこと、嫌いになっちゃった?」

「べ、別に・・・」

 僕はどぎまぎして顏を背けた。

 外が昏くなってきたため、窓ガラスが鏡となって、こちらを見ているヨミの美しい顏を映し出している。

 嫌いも何も、まだ、会ったばかりだし、それに僕には、その気は、ない・・・。

 いや、ない、はずだ・・・。

「痴漢にはよく遭うんだよ」

 しどけなくシートにもたれて、ヨミが続けた。

「あんなふうに、身動きできなくされて、あちこち触られてると、相手が誰であれ、すぐにこうなっちゃうのさ」

 こうなっちゃう、というのは、投げ出されたヨミの両足のつけ根にいまだ残っている膨らみのことだろうか。

 そこだけ黒く染みになった隆起は、さっきよりは小さくなったものの、まだフランクフルトソーセージを中に仕込んだくらいの大きさはある。

「でも、漏らしちゃったのは、初めてかな。和夫に見られてると思ったら、なんだかすごく興奮しちゃって・・・」

「やめろよ」

 顏を背けたまま、僕は声を荒げた。

 股間がまた熱くなり出したのがわかる。

 下着の中で縮こまっていたアレに血流が集まり、どんどん硬く大きくなっていく。
 
 まずい。

 僕は前かがみになり、ヨミの眼から躰の変化を隠した。

 ちょっと綺麗な顔立ちをしてるからってー。

 なんなんだこいつは?

 口の中がカラカラになる。

 いったい何が言いたいんだ?
 

 




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