2 / 153
プロローグ
-02- オッサン、S級冒険者の美女から不審がられる
俺は声をかけられていることも忘れて、憧れの「流麗の剣姫」に会えた感動で、年齢も忘れて、ガラにもなく舞い上がってしまっていた。
年は俺の方がはるかに上とはいえ、彼女はこの世界——ダンジョン動画配信——では断然先輩だし、何よりもその動画は非常に人気がある。
どんな分野であれ、また自分よりもどんなに若くとも、自分よりも匠な技を持ち合わせている者には敬意を示して、学ぼうという意思を持たなければならない。
成長するためにはそのことが何よりも重要だと俺は異世界で散々学んできた。
だから、俺は超人気配信者である「流麗の剣姫」のことを尊敬していた。
それに何よりも彼女の配信は何というか雅なところがありPV目当てに下品なことをする配信者とは一線を画していて、そんなところもオッサンの俺としては数多いる動画配信者の中で尊敬できるところであった。
「えっと……聞こえていますか!?」
『流麗の剣姫』は、ポカーンと突っ立っている俺を見て、戸惑いの表情を浮かべている。
いかん……いかん……ついつい感動のあまりぼおっとしてしまった。
「あ、ああ……大丈夫です。ちゃんと聞こえています」
「そう……ですか。その……さきほどもお尋ねしましたが、こんなところで何を……ここはまだわたしたち以外は誰も立ち入っていない未踏査の最下層なのですが……」
『流麗の剣姫』は黒髪をなびかせながら、かなり不審そうな目で俺を見ている。
まあ……確かにこんな低ランクのダンジョンだ。
時間だけかけて、最下層まで来ても大したモンスターも素材も出現しないことは明白だから、誰も奥まで来ないのだろう。
実際、俺も一応未踏査となっているこのダンジョンの最下層に行って、動画配信したけど、全然再生数伸びなかったしな……。
「ああ。実は……ちょっと最深部に行った帰りでして。そこで動画配信したら、少しは再生数伸びるかなあ……なんて思ったんですが、やっぱりダメですね。ハハ……」
と、俺は自嘲気味にそう話す。
すると、『流麗の剣姫』は動画では見たこともないほどに、口をあんぐりと開けて、驚きの表情を浮かべる。
「え……い、今なんと……。このダンジョンの最深部に到達したのですか!? あなたが……たったひとりで!?」
「え……は、はい。ま、まあ……一応」
「そ、そんな!? このダンジョンは最初期のダンジョンの一つですが、最深部は世界中の誰も未だに到達していないはず!?」
え……そうなの?
まあ……確かに低ランクの割にやけに階数だけは多いから、あえて最深部まで行くもの好きが滅多にいなくても不思議ではない。
異世界でも、低ランクでドロップ品も大したことがない長ったらしいダンジョンは放置されていて、過疎っていたしな。
あるいは、こんなダンジョンの最深部に到達しても、冒険者としては、まったく自慢にもならないからわざわざ公表してないのかもな……。
俺はそんな低ランクのダンジョンの最深部にあえて行って、動画配信までしていた自分が恥ずかしくなってしまう。
「おいおい……美月ちゃん。こんなオッサンの言う事を真に受けるなよ。相変わらず素直すぎるなあ」
そう口を出してきたのは、「ダンジョンの支配者たち」のパーティーの一人である若い戦士の男であった。
たしか……「雷鳴の狂戦士」こと加賀美龍太——だったか……。
「ダンジョンの支配者たち」は『流麗の剣姫』の実力と人気が飛び抜けて高くて、他の二人のメンバーの影はどうしても薄くなっている印象だ。
特にこの若者……「雷鳴の狂戦士」はどうも軽薄な印象を見る者に与えてしまうらしく、あまり人気はない。
まあ……実際こう間近で見ても、チャラそうな髪型に、言動もどうも幼稚な印象があり、俺も同じような印象を受けてしまう。
って……いかん……いかん。
見た目で判断するなんて最低だ。
異世界でも、見た目がアレでも素晴らしい奴らは大勢いた。
だいたい彼はこの分野——ダンジョン配信——では俺よりも断然先輩で実力もある。
年を取るとついつい上から目線になってしまう。
反省しないといかんなあ……。
と……俺が自省していると、一番うしろにいたパーティーメンバーの一人であるヒーラーの女性が声を出す。
「龍太君。いきなり見ず知らずの他人をつかまえて『オッサン』は失礼ですわよ」
大人びた口調に落ち着いた物言いが耳に心地よく響く。
そうか……彼女が『癒やしの織姫』——西条花蓮か。
「ダンジョンの支配者たち」は先に説明した通り、『流麗の剣姫』が確かに一番人気なのだが、ヒーラーの彼女にもまた根強いファンがいる。
その見た目通りに、いつもは貞淑でおっとりした大人の雰囲気なのだが、いざ戦闘となると適格な指示出しと凛々しい立ちふるまいを見せる。
しかも彼女は超がつくほどのお嬢様である。
元々は華族でもあった日本屈指の名家の一つである西条家の令嬢だという。
そんな令嬢でありながら、冒険者として勇ましく闘う……そのギャップで見る者を魅了させている。
それに『癒やしの織姫』は、その外見も非常に美しく『流麗の剣姫』とはまた違った大人の魅力にあふれている。
ヒーラーという役割上、どうしても絵になるシーンがあまりなく、その分影は薄いのだが、その分たまに映る彼女に熱狂しているファンも多いと聞く……。
年は俺の方がはるかに上とはいえ、彼女はこの世界——ダンジョン動画配信——では断然先輩だし、何よりもその動画は非常に人気がある。
どんな分野であれ、また自分よりもどんなに若くとも、自分よりも匠な技を持ち合わせている者には敬意を示して、学ぼうという意思を持たなければならない。
成長するためにはそのことが何よりも重要だと俺は異世界で散々学んできた。
だから、俺は超人気配信者である「流麗の剣姫」のことを尊敬していた。
それに何よりも彼女の配信は何というか雅なところがありPV目当てに下品なことをする配信者とは一線を画していて、そんなところもオッサンの俺としては数多いる動画配信者の中で尊敬できるところであった。
「えっと……聞こえていますか!?」
『流麗の剣姫』は、ポカーンと突っ立っている俺を見て、戸惑いの表情を浮かべている。
いかん……いかん……ついつい感動のあまりぼおっとしてしまった。
「あ、ああ……大丈夫です。ちゃんと聞こえています」
「そう……ですか。その……さきほどもお尋ねしましたが、こんなところで何を……ここはまだわたしたち以外は誰も立ち入っていない未踏査の最下層なのですが……」
『流麗の剣姫』は黒髪をなびかせながら、かなり不審そうな目で俺を見ている。
まあ……確かにこんな低ランクのダンジョンだ。
時間だけかけて、最下層まで来ても大したモンスターも素材も出現しないことは明白だから、誰も奥まで来ないのだろう。
実際、俺も一応未踏査となっているこのダンジョンの最下層に行って、動画配信したけど、全然再生数伸びなかったしな……。
「ああ。実は……ちょっと最深部に行った帰りでして。そこで動画配信したら、少しは再生数伸びるかなあ……なんて思ったんですが、やっぱりダメですね。ハハ……」
と、俺は自嘲気味にそう話す。
すると、『流麗の剣姫』は動画では見たこともないほどに、口をあんぐりと開けて、驚きの表情を浮かべる。
「え……い、今なんと……。このダンジョンの最深部に到達したのですか!? あなたが……たったひとりで!?」
「え……は、はい。ま、まあ……一応」
「そ、そんな!? このダンジョンは最初期のダンジョンの一つですが、最深部は世界中の誰も未だに到達していないはず!?」
え……そうなの?
まあ……確かに低ランクの割にやけに階数だけは多いから、あえて最深部まで行くもの好きが滅多にいなくても不思議ではない。
異世界でも、低ランクでドロップ品も大したことがない長ったらしいダンジョンは放置されていて、過疎っていたしな。
あるいは、こんなダンジョンの最深部に到達しても、冒険者としては、まったく自慢にもならないからわざわざ公表してないのかもな……。
俺はそんな低ランクのダンジョンの最深部にあえて行って、動画配信までしていた自分が恥ずかしくなってしまう。
「おいおい……美月ちゃん。こんなオッサンの言う事を真に受けるなよ。相変わらず素直すぎるなあ」
そう口を出してきたのは、「ダンジョンの支配者たち」のパーティーの一人である若い戦士の男であった。
たしか……「雷鳴の狂戦士」こと加賀美龍太——だったか……。
「ダンジョンの支配者たち」は『流麗の剣姫』の実力と人気が飛び抜けて高くて、他の二人のメンバーの影はどうしても薄くなっている印象だ。
特にこの若者……「雷鳴の狂戦士」はどうも軽薄な印象を見る者に与えてしまうらしく、あまり人気はない。
まあ……実際こう間近で見ても、チャラそうな髪型に、言動もどうも幼稚な印象があり、俺も同じような印象を受けてしまう。
って……いかん……いかん。
見た目で判断するなんて最低だ。
異世界でも、見た目がアレでも素晴らしい奴らは大勢いた。
だいたい彼はこの分野——ダンジョン配信——では俺よりも断然先輩で実力もある。
年を取るとついつい上から目線になってしまう。
反省しないといかんなあ……。
と……俺が自省していると、一番うしろにいたパーティーメンバーの一人であるヒーラーの女性が声を出す。
「龍太君。いきなり見ず知らずの他人をつかまえて『オッサン』は失礼ですわよ」
大人びた口調に落ち着いた物言いが耳に心地よく響く。
そうか……彼女が『癒やしの織姫』——西条花蓮か。
「ダンジョンの支配者たち」は先に説明した通り、『流麗の剣姫』が確かに一番人気なのだが、ヒーラーの彼女にもまた根強いファンがいる。
その見た目通りに、いつもは貞淑でおっとりした大人の雰囲気なのだが、いざ戦闘となると適格な指示出しと凛々しい立ちふるまいを見せる。
しかも彼女は超がつくほどのお嬢様である。
元々は華族でもあった日本屈指の名家の一つである西条家の令嬢だという。
そんな令嬢でありながら、冒険者として勇ましく闘う……そのギャップで見る者を魅了させている。
それに『癒やしの織姫』は、その外見も非常に美しく『流麗の剣姫』とはまた違った大人の魅力にあふれている。
ヒーラーという役割上、どうしても絵になるシーンがあまりなく、その分影は薄いのだが、その分たまに映る彼女に熱狂しているファンも多いと聞く……。
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】
山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。
失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。
そんな彼が交通事故にあった。
ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。
「どうしたものかな」
入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。
今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。
たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。
そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。
『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』
である。
50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。
ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。
俺もそちら側の人間だった。
年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。
「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」
これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。
注意事項
50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。
あらかじめご了承の上読み進めてください。
注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。
注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。
男:女=1:10000の世界に来た記憶が無いけど生きる俺
マオセン
ファンタジー
突然公園で目覚めた青年「優心」は身辺状況の記憶をすべて忘れていた。分かるのは自分の名前と剣道の経験、常識くらいだった。
その公園を通りすがった「七瀬 椿」に話しかけてからこの物語は幕を開ける。
彼は何も記憶が無い状態で男女比が圧倒的な世界を生き抜けることができるのか。
そして....彼の身体は大丈夫なのか!?
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
召喚されたリビングメイルは女騎士のものでした
think
ファンタジー
ざっくり紹介
バトル!
いちゃいちゃラブコメ!
ちょっとむふふ!
真面目に紹介
召喚獣を繰り出し闘わせる闘技場が盛んな国。
そして召喚師を育てる学園に入学したカイ・グラン。
ある日念願の召喚の儀式をクラスですることになった。
皆が、高ランクの召喚獣を選択していくなか、カイの召喚から出て来たのは
リビングメイルだった。
薄汚れた女性用の鎧で、ランクもDという微妙なものだったので契約をせずに、聖霊界に戻そうとしたが
マモリタイ、コンドコソ、オネガイ
という言葉が聞こえた。
カイは迷ったが契約をする。
最強スライムはぺットであって従魔ではない。ご主人様に仇なす奴は万死に値する。
棚から現ナマ
ファンタジー
スーはペットとして飼われているレベル2のスライムだ。この世界のスライムはレベル2までしか存在しない。それなのにスーは偶然にもワイバーンを食べてレベルアップをしてしまう。スーはこの世界で唯一のレベル2を超えた存在となり、スライムではあり得ない能力を身に付けてしまう。体力や攻撃力は勿論、知能も高くなった。だから自我やプライドも出てきたのだが、自分がペットだということを嫌がるどころか誇りとしている。なんならご主人様LOVEが加速してしまった。そんなスーを飼っているティナは、ひょんなことから王立魔法学園に入学することになってしまう。『違いますっ。私は学園に入学するために来たんじゃありません。下働きとして働くために来たんです!』『はぁ? 俺が従魔だってぇ、馬鹿にするなっ! 俺はご主人様に愛されているペットなんだっ。そこいらの野良と一緒にするんじゃねぇ!』最高レベルのテイマーだと勘違いされてしまうティナと、自分の持てる全ての能力をもって、大好きなご主人様のために頑張る最強スライムスーの物語。他サイトにも投稿しています。