異世界帰りの底辺配信者のオッサンが、超人気配信者の美女達を助けたら、セレブ美女たちから大国の諜報機関まであらゆる人々から追われることになる話

kaizi

文字の大きさ
31 / 153
第一章

鈴羽サイド-09-

 鈴羽は自分の目が幻を見ていると思いたかったが、いつまで経っても彼女の視界は変わることはなかった。



 二見は、のっそりとした動きで、こちらの方に近づいてくる。



 鈴羽は、必死に体を動かそうとするが、もはや体をよじらせるのが精々であった。



 二見は、倒れている鈴羽の目の前までやってきて、彼女を見下ろす。



 く……こ、ここまでか……。



 万事休す……鈴羽は体を蝕む炎の痛みとともに自身の運命を覚悟した。



「……鈴羽さん……気づかずに悪い……何か事情があるんだよね」

 

 二見はそうつぶやくと、かがみ込み、鈴羽の腕……ブレスレットを見る。

 

 そして、ブレスレットに手を触れて——

 

 こ、こいつ……ブレスレットを奪う気か……。



「うぐ……や、やめろ……」

 

 鈴羽は必死に抵抗するが、まったく力が入らない以上、無駄であった。

 

 二見は鈴羽の腕を取り、



「これ……炎の被ダメージがあるやつか。でも解呪自体は簡単だから……」

 

 何やらブツブツと言っている。

 

 やがて、二見は、



「ちょっと痛いかもしれないけど、我慢してください」

 

 と、いうとブレスレットに何やら力を込める。

 

 ……う、腕ごとブレスレットを取るつもりか……

 

 鈴羽は、自身の腕が引きちぎられる様子を脳裏に思い浮かべて戦慄する。

 

 が……しかし、二見はただブレスレットに手を置いて、意識を集中しているだけだった。

 

 やがて……製鉄する際に生じるような赤い光がブレスレット全体を包み込む。



 ついで鈴羽の腕に強烈な痛みが走る。



「う……あああ!!!」

 

 だが、痛みは一時のことであり、腕の痛みはすぐに治まった。

 

 同時に……鈴羽をあれだけ苦しめていた全身を焼く痛みも嘘のように消え去っていた。



「これで……ブレスレットから生じる痛みはなくなったはずだけど……」

 

 二見は、そう心配そうな目でこちらを見る。



「な、何をしたんだ……いや……何故わたしに……うう!!」

 

 不可思議な行動を取る二見に言葉を投げかける鈴羽だったが、言い終わる前にその口はもつれてしまった。

 

 体中から生じる痛みが鈴羽を再び襲った。

 

 が……それは先ほどの痛みとは質が異なっていた。

 

 皮膚を鈍く、骨まで深く刺すかのような痛み……それは鈴羽にとっては馴染み深いものだった。

 

 ブレスレットから生じていた痛みは確かに消えたのだろう。



 だが、ブレスレットが体中に既に負わせた火傷まで治すものではない。

 

 二見は、鈴羽のうめき声に顔を曇らせて、



「すまない……緊急事態だから……勘弁してください」



 と言うと、鈴羽のブラウスを脱がす。 



「……や、やめろ……」

 

 鈴羽は、そう力ないうめき声を漏らすのが精一杯であった。

 

 その目論見は皆目検討がつかないが、二見が自分のことを傷つける意図がないことは、既に鈴羽も気づいていた。



 だが……それでも他人……ましてや男の前で肌を晒すのには抵抗があった。



 鈴羽も女性であるから、見ず知らずの男に不必要に肌を見られたくないという気持ちがあるのは当然である。



 だが、彼女が自身の肌を晒したくないという思いはそれ以上の切実な理由があった。



 今の……いや大分前から鈴羽の肌はとても人前に見せられる状態ではないからだ。



 ましてや、憎き敵である二見に自身の肌を無防備に晒すことは鈴羽にとっては屈辱以外の何者でもなかった。 



 二見は露わになった鈴羽の素肌を見て、顔色を変える。



「これは……」



 酷いな……という言葉を口にしなかっただけ、この男は意外と紳士的なのかもしれないな……。

 

 鈴羽は思わずそんなことを頭に浮かべていた。

 

 彼女の予想とは異なり、二見は鈴羽のソレを見ても、軽蔑や蔑視……憐れみといった表情を浮かべなかった。

 

 鈴羽の現在の皮膚の大半は酷い火傷状態になっているのにも関わらず……。

 

 それは見る者からすれば、思わず目をそらしたくなるような光景だろう。

 

 鈴羽にしてもそうなのだから。

 

 彼女の皮膚にはおびただしい数の火傷の後遺症たるケロイドが腕を中心にして、体中に広がっている。

 

 もっとも、この傷は今回のことだけが理由だけではない。

 

 鈴羽は過去にも一度だけだが、『炎龍のブレスレット』を使用したことがある。

 

 相手は今回のような抜き差しならぬ敵であり、鈴羽もまた若く未熟であった。



 今回と違うのは鈴羽は、前回は、代償を支払うことによりその窮地を切り抜けたことだ。

 

 今回以上に非常に短時間の使用であったが、それでもブレスレットの効果は鈴羽の全身を重度の火傷状態にさせるには十分であった。

 

 鈴羽が肌の露出を控えた姿をしているのは、このような事情が大きいのである。



 二見は押し黙ったままだった。

 

 朦朧とした意識の中でそれでも鈴羽は、この男がいったい何を考えているのかが気になっていた。

 

 二見はいったい何の目的があって自分の体をあらためているのか。

 

 それが鈴羽には大きな疑問であった。

 

 止めをさすでもない、ブレスレットを奪う訳でもない。

 

 かといって敗者を嘲るような嗜虐心もまたこの男から感じることはできない。

 

 やがて、二見はポツリと困った顔を浮かべながら言う。



「あの……鈴羽さん。花蓮さんから……その……自分の回復魔法のことは聞いているかな?」

 

 斜め上を行く二見の問いかけに鈴羽はまるで答えられなかった。



「な、なにを……言って……」

 

 だがしかし、鈴羽の戸惑いの表情は、二見にすれば回答になっていたらしい。



「そ、そっか……聞いていないのか……」

 

 二見は何故かやや落ち込んだ顔を浮かべると、



「いやまあ……でもこの傷を見て見ぬふりはできないな……その……すまない!」

 

 と、言い、突然鈴羽の体を抱きかかえる。
感想 23

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】

山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。 失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。 そんな彼が交通事故にあった。 ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。 「どうしたものかな」 入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。 今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。 たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。 そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。 『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』 である。 50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。 ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。 俺もそちら側の人間だった。 年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。 「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」 これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。 注意事項 50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。 あらかじめご了承の上読み進めてください。 注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。 注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。

男:女=1:10000の世界に来た記憶が無いけど生きる俺

マオセン
ファンタジー
突然公園で目覚めた青年「優心」は身辺状況の記憶をすべて忘れていた。分かるのは自分の名前と剣道の経験、常識くらいだった。 その公園を通りすがった「七瀬 椿」に話しかけてからこの物語は幕を開ける。 彼は何も記憶が無い状態で男女比が圧倒的な世界を生き抜けることができるのか。 そして....彼の身体は大丈夫なのか!?

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

召喚されたリビングメイルは女騎士のものでした

think
ファンタジー
ざっくり紹介 バトル! いちゃいちゃラブコメ! ちょっとむふふ! 真面目に紹介 召喚獣を繰り出し闘わせる闘技場が盛んな国。 そして召喚師を育てる学園に入学したカイ・グラン。 ある日念願の召喚の儀式をクラスですることになった。 皆が、高ランクの召喚獣を選択していくなか、カイの召喚から出て来たのは リビングメイルだった。 薄汚れた女性用の鎧で、ランクもDという微妙なものだったので契約をせずに、聖霊界に戻そうとしたが マモリタイ、コンドコソ、オネガイ という言葉が聞こえた。 カイは迷ったが契約をする。

最強スライムはぺットであって従魔ではない。ご主人様に仇なす奴は万死に値する。

棚から現ナマ
ファンタジー
スーはペットとして飼われているレベル2のスライムだ。この世界のスライムはレベル2までしか存在しない。それなのにスーは偶然にもワイバーンを食べてレベルアップをしてしまう。スーはこの世界で唯一のレベル2を超えた存在となり、スライムではあり得ない能力を身に付けてしまう。体力や攻撃力は勿論、知能も高くなった。だから自我やプライドも出てきたのだが、自分がペットだということを嫌がるどころか誇りとしている。なんならご主人様LOVEが加速してしまった。そんなスーを飼っているティナは、ひょんなことから王立魔法学園に入学することになってしまう。『違いますっ。私は学園に入学するために来たんじゃありません。下働きとして働くために来たんです!』『はぁ? 俺が従魔だってぇ、馬鹿にするなっ! 俺はご主人様に愛されているペットなんだっ。そこいらの野良と一緒にするんじゃねぇ!』最高レベルのテイマーだと勘違いされてしまうティナと、自分の持てる全ての能力をもって、大好きなご主人様のために頑張る最強スライムスーの物語。他サイトにも投稿しています。