異世界帰りの底辺配信者のオッサンが、超人気配信者の美女達を助けたら、セレブ美女たちから大国の諜報機関まであらゆる人々から追われることになる話

kaizi

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第一章

西条花蓮邸——強行突入!——

 それはそれで好都合である。



 少なくとも連中は花蓮さんや鈴羽さんを不必要に傷つける意図はなさそうだ。



「説明……か。既に精神操作魔法の影響下にあるであろうあなたに何を言っても無駄だろうけど……一応は伝えておきましょう。昨日のダンジョン内でのありえない二見の行動、二見に接触されてからの花蓮……あなたらしからぬ一連の異常な行動、二見の25年に渡る空白の期間、さらにはダンジョン協会本部内で起きた事件……、そのどれもが二見が外国の諜報員であることを示唆している……」

 

 と、麻耶さんはそこまで言うと、俺の方をジロリと睨む。

 

 俺はただ戸惑いの表情を浮かべることしかできなかった。

 

 麻耶さんの言っていることは正直的外れもよいところなのだが、いくつかの点では真実もある。

 

 俺がこの世界では、25年間行方不明の素性不明の怪しいオッサンであるのは事実である。



 それに、何よりも回復魔法を使用する際に人の衣服を再構築できないという「ありえない行動」をしたのもまた事実である。



「フフ……どうやら二見の方には心当たりがあるようね……」

 

 と、麻耶さんは目ざとく俺の顔色を読んでくる。

 

 この人……鋭いな。

 いや……結局は誤解なのだが……素性不詳のオッサンの俺は信用力が皆無……だしな。

 

 と、今まで押し黙っていた花蓮さんが口を開く。



「麻耶さん! 話しを聞いていればおかしいのはわたくしではなくて、あなたの方ではありませんの? わたくしの異常な行動? そんなことをした覚えはありませんわ!」



「はあ……花蓮。今回のことではあくまでもあなたは被害者……。だから、わたしも一友人として、それに女として……できる限り、あなたを辱めるようなことは言いたくないのよ」



「お気づかいは無用……ですわ!」



「……ふう……仕方がないわね。精神操作魔法にも強弱はあるから、自身の異常な行動を客観視できればもしかしたら、術の解呪につながるかもしれないしね……。花蓮……あなた、この男……二見に着せている着物はいったい何なの? わたしの記憶が正しければ、その着物は代々西条家の当主たる男……つまりあなたの夫になる——」



「ま、摩耶さん!! な、何を突然言っているのですの! そ、それと今のことと何の関係が——」



「はあ……まだ……言わせるのかしら。だいたいわたしはあなたに今まで散々縁談の話しを持ってきたけれど、興味一つ示さなかったわよね。そのどれもが西条家の当主になるのにふさわしい立派な経歴の男ばかりだったと思うけれど……。それなのに、会ったばかりの男……しかもこんな経歴もわからぬ男を家に連れ込んで、さらにこんな着物まで与えて……。見ていて正直気分が悪いわ」

 

 麻耶さんは、そう吐き捨てるように言うと、今までの中でも一番と言ってよいほどに怒りを込めた目で俺を睨んでくる。 



「こ、これは……そ、その……ち、違いますわ……いえ、違わないんですけれども……」

 

 と、花蓮さんは顔を真っ赤にして動揺している。



「鈴羽、あなたは花蓮の一連の行動とこの様子についてどう思っているのかしら? 花蓮の一番側にいる妹……いや側近のあなたなら当然思うところがあるはずなのだけれど」

 

 麻耶さんは花蓮さんの様子を見て、呆れたようにため息をついて、鈴羽さんの方に顔を向ける。

 

 鈴羽さんは神妙な面持ちで、



「……花蓮様は何もおかしなことなどしておりません。花蓮様が二見様……いえご主人様のことを慕われるのは至極当然のことです!」

 

 と、自信満々に答える。

 

 いや……鈴羽さん……かばってくれるのはありがたいんですけれど……俺との約束覚えています?

 

 と、俺は心の中でそうツッコミを入れる。

 

 麻耶さんは案の定顔を思いっきり歪ませて、



「……ご主人様って……あなたねえ……。ふう……予想以上にやっかいな使い手のようね。まさか花蓮だけではなく、鈴羽まで既に完全に術中に落ちているなんて。精神魔法は同時に一人にしか効果を及ぼせないはずだけれど……。こうなると、美月も……いやあの子の様子は普通だったはず……」

 

 と、独り言のようにつぶやいた後、まっすぐに顔を向けて、



「さて……と、時間もあまりないのだし、茶番劇はここまでね……いいわ! きなさい!」

 

 麻耶さんがそう言うと同時に、十数人の迷彩服を着た男たちが一斉に庭に雪崩れ込んできて、俺等の周りを囲む。



 その誰もが物々しい銃……短銃などではなく、いわゆるアサルトライフルやサブマシンガンといった類の銃で武装している……を携えて、その銃口を俺に向けている……。



 彼らの迷彩服には全て独特の腕章が備え付けられていて、室内は明るいにも関わらず、何故か全員が両目を赤外線スコープのようなもので覆っている。



「陸自の対異能部隊!? 麻耶さん!! あなた正気——」



「花蓮! それに鈴羽! 動かないでよ……。ここから先は冗談では済まされないわよ。たとえ、あなたたちがこの男の精神操作魔法の影響下にあろうとも……いえ影響下にあるからこそS級、A級冒険者であり、異能者のあなたたちは脅威なのだから」
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