異世界帰りの底辺配信者のオッサンが、超人気配信者の美女達を助けたら、セレブ美女たちから大国の諜報機関まであらゆる人々から追われることになる話

kaizi

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第一章

英雄、目覚める-19-

「うう……ああ!……こ、こんなのって!」



 麻耶はうわ言のように悲痛な声を漏らすだけで、動揺し、まともに答えられる状況ではなかった。



 だからという訳ではないが、俺が花蓮たちに状況を説明してやることにした。



「ああ……お前らも来たのか。もう一匹の方も片付けてやったぞ」



「こ、これは……お前が……し、しかしこの砲撃は——」



「ああ……あの戦車も無力化しておいたぞ」



「10式戦車を! お、お前が!? い、いくら異能持ちとはいえ人がそんなことを——」



「安心しろ。誰も殺していない。それにその戦車の砲撃からそこにいるお前の上司の女も守ってやったんだ。まったく感謝してもらいたいところだな」



「そ、それは……だ、だが……会長は……麻耶さんのこの姿は……。お、お前いったい何を!?」



 綾音が気色ばんだ様子で俺に詰めよってこようとする。



 まあ……そのわりにはあいかわらず目を合わせようとしないが。



 それにこの態度……どうやら綾音にとって、麻耶は単なる職務上の関係だけではなさそうだな。



 それなら余計に麻耶のこの様子を見せつけておいた方がよいか。



「それも見ればわかるだろう。俺に何度も命を助けられて、麻耶は感謝感激して、こうしてお礼をしてくれているという訳だ」



「そ、そんなこと……で、でも……なんで、麻耶さんはその……は、裸に……まさか……お前が麻耶さんを裸に……」



 まあ……それはそうだ。



 俺が、故意に行ったことではないにしろ、麻耶が全裸である必然性はない。



 俺が説明が面倒だなと思っていたところ、花蓮と鈴羽が二人とも顔を赤らめさせながら、何か言いたげな顔をしている。



「そ、それは……きっとその……敬三様の回復魔法は……」



「ご主人様の回復魔法は、そ、その……ふ、服がなくなるという副作用がありますから……」



 と、俺の記憶にもおぼろげながら二人が全裸になっている姿が浮かんでくる。



 なるほど、以前に俺はこいつらに不完全な回復魔法を施していたのか。



 それしても、暗示がかかっている間の記憶はほとんど参照できなかったはずだが、やはり……これはそろそろ暗示が戻りそうだな。



「でも……それでも……麻耶さんがこんなことをするなんて……」



 綾音はなおも納得しかねる顔をしている。



 先ほどまでの麻耶の様子を見ればそう思うのも当然か。



 それなら本人——上司——の口から部下——綾音——に話してもらうか。



「麻耶、もう立ってもいいぞ。それより、お前から綾音に説明してやったらどうだ? 自分がいかに愚かな誤解をしていたかを」



「うう……わ、わたしは誤解をしていました。ふ、二見様は……いえ、旦那様はわたしの命を助けてくださいました。ああ!! そ、そればかりではなく、娘の命まで……。で、ですからわたしはこれまでの非礼を旦那様におわびているのです」



 麻耶はときより苦しげな表情を浮かべながらも、綾音を見上げてはっきりと言う。



 そのあまりにも女々しく弱々しい姿は、威厳に満ちていた先ほどの姿からはあまりにも乖離している。



 そういう訳で、綾音からすれば、今の麻耶から抱いた印象はかなりの衝撃だったのだろう。



「だ、旦那様って……ま、麻耶さん……そんな……」



 と、悲しみと失望が入り混じった複雑な表情を浮かべている。



「そういう訳だ。お前も麻耶のように謝ってもいいのだぞ」



「ふ、ふざけるな……は! そ、そうだ…お、お前……まさか麻耶さんに精神操作を……」



 また、その話か。



 が……綾音はすぐにあることに気づき、言葉をつぐんでしまう。



 麻耶は全裸ではあったが、ペンダントは身につけていた。



 そう……麻耶が自身満々に見せびらかしていた精神操作を防ぐマジックアイテム……フォートペンダント……だ。



 俺は意識していた訳ではないが、どうやらマジックアイテムは、その性質上、回復魔法の分離、構築の影響を受けないらしい。



「そんな……そのペンダントを身につけたままなんて……で、では……麻耶さんは本当に……」



 綾音は唯一の希望を失ったかのように、がっくりと肩を落とす。



 まあ……もう少し注意深く見れば、奴隷紋の存在に気づくことができそうなものだが。



 とはいえ、奴隷紋は俺が隠蔽魔法を施している。



 こいつら程度の技量で、この隠蔽を見抜くのは無理だろうな。



 と、今まで黙って成り行きを見ていた花蓮が突然声を上げる。



「ち、ちょっとお待ちになって……麻耶さん……いったいこれはどういうことですの?」



 まさか……この女、俺の隠蔽魔法を見破って——。



 俺は思わずそう警戒したのだが……花蓮はまるで予想外の話をしだす。
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