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第一章
晩餐会-04-
「いいわ。入りなさい」
美月さんと花蓮さんが先に部屋に入る。
「花蓮、あなたねえ……いい加減あの男の元から離れて、少し休んだらどうなの。鈴羽がようやく離れたと思ったのに——」
部屋に入るなり、麻耶さんがそう呆れたように花蓮さんに話しかける声が聞こえた。
そうか……花蓮さんは俺が意識を失っている間にずっと付き添っていてくれたのか……。
だからあんなに疲れた顔を浮かべていたのか。
大分花蓮さんには悪いことをしてしまったな……。
それにしても……鈴羽さんも付き添っていてくれたのか。
彼女にも謝らないとな。
鈴羽さんもこの部屋にいるのだろうか。
俺はそんなことを考えながら、通された部屋の中をみまわす。
部屋の中は書斎と応接がセットになったような場所だった。
奥には重厚な木製のデスクと椅子が置かれていて、その横に麻耶さんがデスクに寄りかかりながら、こちらを向いて立っていた。
部屋の中央には、それぞれ4人くらいが余裕で座れるような革張りの大きなソファーが2つ配置されていて、その間にはややこぶりなテーブルが置かれている。
片方のソファーにはやや大きすぎるソファーをもてなし気味に黒髪のショートヘアの若い女性がちょこんと座っていた。
と、俺はその女性がどうにも気になってしまい目を離すことができなかった。
彼女が容姿端麗というのもあったが、どうもどこかで見たことがあるような感じがしたからだ。
「な!? ふ、二見!? 目覚めてしまったの!?」
と、少し遅れて部屋に入った俺の方を見て、麻耶さんが驚愕の表情を浮かべ、叫びに近い大声を出す。
「目覚めてしまったって……お母様いくらなんでもそれは二見さんに失礼では……」
「そ、それは……い、いえ、み、美月……な、なぜ二見を連れてきてしまったの!?」
「いや……それは昨日の件のことを話し合うということだったので、二見さんがいた方が——」
「ま、間宮三尉はどうしたの!? ふ、二見を監視するために部屋の前にいるように厳命していたのに!」
「間宮三尉は何か急用があるとかで、先ほど出ていかれましたけど……」
「そ、そんな……」
やっぱり俺への誤解はまだ解けてないのか。
いやしかしそれにしては様子が……。
俺は母娘の大分噛み合っていないやりとりを眺めていた。
「それにしても……監視って……お母様、もう二見さんに対する誤解は解けたのではないですか? お母様もあんな姿になってまで、謝られていたじゃないですか……」
美月さんは呆れたように言う。
「ち、違うわ……あ、あれは——」
「どこが違うのですか? わたしの目にはお母様が二見さんに土下座しているようにしか見えませんでしたが……」
「み、美月! あ、あなた何を——」
「フフ……いつもわたしに対して……いえみなに偉そうにしているお母様でもあんな風に謝ることができるのですね。だいたい今回のことだって、お母様が最初からわたしの言うことをちゃんと聞いてくださっていたならこんなことにはならなかったのに……」
「な、何ですって!? み、美月! あ、あなた親に向かってなんてことを——」
美月さんは麻耶さんが苦慮している姿を楽しむように、饒舌に話しを続ける。
冷笑を浮かべている美月さんの今の様子は今までと大分イメージが違う。
門外漢の俺でも、この母娘の間に何か確執めいたものがあるのではないかと勘ぐってしまう。
まあ……これまでの麻耶さんの言動から見ても、娘……美月さんに対しても大分口うるい……いや厳しい対応をしているのは容易に想像がつく。
美月さんも何か普段の鬱憤を晴らしている様子だしな……。
とはいえ……それより問題は、俺には二人が話していることについてまったく心当たりがないことだ。
二人の話しを聞く限り、俺は意識を失っていたというよりは、単に記憶が欠落しているだけなのか。
しかし、なぜそんな長期間の記憶が失われている状態に……。
考えられるとしたら、やはり昔のように——。
「……ご、ご主人様!」
と、今まで黙って二人の話しを聞いていたように見えたショートヘアの女性が、突然感極まったような大声を出す。
うん? この声はまさか……鈴羽さんなのか!?
俺はそのことに非常に驚いていた。
というのも鈴羽さんの格好があまりにも以前と違っていたからだ。
鈴羽さんが今身にまとっているのは白色のロング丈のワンピースである。
美月さんと花蓮さんが先に部屋に入る。
「花蓮、あなたねえ……いい加減あの男の元から離れて、少し休んだらどうなの。鈴羽がようやく離れたと思ったのに——」
部屋に入るなり、麻耶さんがそう呆れたように花蓮さんに話しかける声が聞こえた。
そうか……花蓮さんは俺が意識を失っている間にずっと付き添っていてくれたのか……。
だからあんなに疲れた顔を浮かべていたのか。
大分花蓮さんには悪いことをしてしまったな……。
それにしても……鈴羽さんも付き添っていてくれたのか。
彼女にも謝らないとな。
鈴羽さんもこの部屋にいるのだろうか。
俺はそんなことを考えながら、通された部屋の中をみまわす。
部屋の中は書斎と応接がセットになったような場所だった。
奥には重厚な木製のデスクと椅子が置かれていて、その横に麻耶さんがデスクに寄りかかりながら、こちらを向いて立っていた。
部屋の中央には、それぞれ4人くらいが余裕で座れるような革張りの大きなソファーが2つ配置されていて、その間にはややこぶりなテーブルが置かれている。
片方のソファーにはやや大きすぎるソファーをもてなし気味に黒髪のショートヘアの若い女性がちょこんと座っていた。
と、俺はその女性がどうにも気になってしまい目を離すことができなかった。
彼女が容姿端麗というのもあったが、どうもどこかで見たことがあるような感じがしたからだ。
「な!? ふ、二見!? 目覚めてしまったの!?」
と、少し遅れて部屋に入った俺の方を見て、麻耶さんが驚愕の表情を浮かべ、叫びに近い大声を出す。
「目覚めてしまったって……お母様いくらなんでもそれは二見さんに失礼では……」
「そ、それは……い、いえ、み、美月……な、なぜ二見を連れてきてしまったの!?」
「いや……それは昨日の件のことを話し合うということだったので、二見さんがいた方が——」
「ま、間宮三尉はどうしたの!? ふ、二見を監視するために部屋の前にいるように厳命していたのに!」
「間宮三尉は何か急用があるとかで、先ほど出ていかれましたけど……」
「そ、そんな……」
やっぱり俺への誤解はまだ解けてないのか。
いやしかしそれにしては様子が……。
俺は母娘の大分噛み合っていないやりとりを眺めていた。
「それにしても……監視って……お母様、もう二見さんに対する誤解は解けたのではないですか? お母様もあんな姿になってまで、謝られていたじゃないですか……」
美月さんは呆れたように言う。
「ち、違うわ……あ、あれは——」
「どこが違うのですか? わたしの目にはお母様が二見さんに土下座しているようにしか見えませんでしたが……」
「み、美月! あ、あなた何を——」
「フフ……いつもわたしに対して……いえみなに偉そうにしているお母様でもあんな風に謝ることができるのですね。だいたい今回のことだって、お母様が最初からわたしの言うことをちゃんと聞いてくださっていたならこんなことにはならなかったのに……」
「な、何ですって!? み、美月! あ、あなた親に向かってなんてことを——」
美月さんは麻耶さんが苦慮している姿を楽しむように、饒舌に話しを続ける。
冷笑を浮かべている美月さんの今の様子は今までと大分イメージが違う。
門外漢の俺でも、この母娘の間に何か確執めいたものがあるのではないかと勘ぐってしまう。
まあ……これまでの麻耶さんの言動から見ても、娘……美月さんに対しても大分口うるい……いや厳しい対応をしているのは容易に想像がつく。
美月さんも何か普段の鬱憤を晴らしている様子だしな……。
とはいえ……それより問題は、俺には二人が話していることについてまったく心当たりがないことだ。
二人の話しを聞く限り、俺は意識を失っていたというよりは、単に記憶が欠落しているだけなのか。
しかし、なぜそんな長期間の記憶が失われている状態に……。
考えられるとしたら、やはり昔のように——。
「……ご、ご主人様!」
と、今まで黙って二人の話しを聞いていたように見えたショートヘアの女性が、突然感極まったような大声を出す。
うん? この声はまさか……鈴羽さんなのか!?
俺はそのことに非常に驚いていた。
というのも鈴羽さんの格好があまりにも以前と違っていたからだ。
鈴羽さんが今身にまとっているのは白色のロング丈のワンピースである。
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