異世界帰りの底辺配信者のオッサンが、超人気配信者の美女達を助けたら、セレブ美女たちから大国の諜報機関まであらゆる人々から追われることになる話

kaizi

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第一章

晩餐会-08-

 その後、再び麻耶さんがなぜか先程より不機嫌になりながらも、滔々と説明してくれたところによれば、どうやら賠償責任については俺が個人で負う形にはならないらしい。



 というのも、今回の被害については、モンスターの暴走が原因ということでかたをつけようとしているらしい。



 戦車の損害についても、麻耶さんが政府の事務方との話し合いで、モンスターによる攻撃が原因ということでなんとか処理しようとしているらしい。



 肝心の費用はおそらく協会……つまり国連か、あるいは日本政府による按分になるとのこと。



 事情はどうであれ俺の魔法が原因で生じた損害について、この国の税金から支払われるのはなんとも言えない申し訳ない気持ちになってしまうが……。



 ましてや俺はこの25年間税金を一切この国に払っていない。



 まあ……異世界で俺がいた王国では税金のたぐいは散々払ったのだが……。

 

 いや待て……ふと思い出してしまったが、俺は年金の保険料も一切おさめていないよな……。



 それに病院に一度も行く機会がなかったから、気づいていなかったが、健康保険料も払っていないから、保険証もない。



 健康保険料は滞納扱いになっているのか……いや失踪扱いになっているのだろうし、少なくとも25年間については払わなくともいいのだろうか……。



 今まで見て見ぬふりをしていた諸問題が頭をよぎる。

 

 いったい俺の老後はどうなるのだろうか。

 

 嫌なことを思い出してしまった……。



 しかし、いずれにせよ日本国民には申し訳ないが、今回の損害について支払義務から免責されたのは、正直なところ助かったという気持ちしかない。



 俺がほっと胸をなでおろしていると、麻耶さんが、



「……という訳で、わたしがこの一日どれだけ大変な思いをしているか……二見……のんきに寝ていたあなたにはわからないでしょうね」



 と、呆れたように言う。



 麻耶さんの言い方は相変わらず高圧的ではあった。



 とはいえ、俺は麻耶さんには感謝の気持ちしかなかった。



 実際のところこれらの交渉をまとめるのはかなり面倒だろうし、麻耶さんの力がなければ、俺は非常にまずい状況になっていただろう。



「お母様……とは言いますけれど、二見さんがいなければわたしたちは確実に命を落としていたと思いますが……命の恩人に対して、そんなに恩着せがましく言う話ではないのでは——」



 と、美月さんが冷ややかな口調で水を差す。



「そ、それは……わ、わかっているわ! ただわたしは……い、いえこの話は、もういいわ!」

 

 麻耶さんはやや大仰に首をゆっくり降って、おおきなため息をつく。

 

 そして、やや間を空けた後、



「話が逸れてしまったけど……問題なのは、二見、あなたが目立ち過ぎてしまったということなの。さっそく米国の関係者が今回のことも含めて話したいという依頼が日本政府を通じてあったわ。二見……あなたとも直に話したいということよ」



「米国の……それはダンジョン部局の関係者ですか?」



 と、今まで黙っていた鈴羽さんが何かを考え込むように言う。



「ええ。一応非公式ということになっているけど、局長自ら来日するそうよ」



「……それはまた珍しいですわね。それだけあちらの方々としては敬三様に関心がある……ということなのでしょうか」



「まあ……そうでしょうね。しかも、日程も急遽もいいところよ。初めはスタッフだけ来る話だったのに、突然局長も後から来るという話になったそうよ」



「それは……また何かきな臭い話ですね」

 

 と、鈴羽さんが小首をかしげている。



「そう……鈴羽あなたが今考えているとおり、間違いなく米国は、二見……あなたのその異常な力のことを掴んでいるわ。どこまでの情報を持っているのかはわからないけれど」

 

 麻耶さんがそこまで言うと、全員の視線が俺に注がれる。



 が……俺としては話があまり見えてこない。



 米国政府の人間が俺のようなオッサンにわざわざ会ってまでいったい何を確認したいというのだ。



 だいたいはっきり言って俺は王国……いや政府の人間とあまり接触したくはない。



 これまでそういう輩と付き合って、よいことなんて何一つなかった。



 まあ……それは全て異世界での話である。



 この世界ではもちろん俺は政府の関係者と話したことなどない。



 こちらの世界では国の性質も当然違うのだろうが……。



 「は、はあ……」



 と、正直なところ、俺はあまり乗り気ではないために、生返事をすることしかできなかった。



 「とにかく……二見。あなたは可能な限り大人しくしていて。頼むから……ね。……まあ無理でしょうけれど……」

 

 と、麻耶さんはやや疲れ切った様子で深いため息を漏らす。



「それで……麻耶さん、わたしくしたちを呼んだのは……」



「あなたたちは曲がりなりにもみんな異能者な訳だし、二見の異常さも知っている……だから、米国の関係者が出席する晩餐会に二見と一緒に出てもらいたいのよ。相手の中には現役のS級冒険者もいるということだしね」



「S級冒険者も……それに晩餐会……ですか? それはまた大げさな……」

 

 と、鈴羽さんがやや戸惑いの表情を浮かべている。
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