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第一章
晩餐会-11-
奴ら魔族のあの顔……。
魔族か……。
戦争が終結してから今まで……どうしても拭いきれない疑念がある。
あいつらは本当に「魔族」だったのか。
いや……そもそも「魔族」など本当に存在したのか。
確かに奴らのその外見は人と大分違った。
非常に醜く、恐ろしい存在……そう聞かされていたし、確かに俺の目には長年実際
そう見えていた。
それに、王国の人間たちや「彼女」は、奴らのことを「悪魔」、「魔族」と呼んでいた。
奴らは確かに「魔族」そのものの外見をしていた。
だから、俺はなんとか「魔族」を倒すことができたのだ。
だが……今では朧気にしか思い出せないが、俺らが入隊してから、兵士みんなが定期的に受けていた「彼女」から施されたあの戦意高揚の魔法儀式……。
魔王城で、あの魔法がとけた時、見た魔族の顔……。
あれは外見が少しだけ違う「人間」にしか見えなかった……。
そして、俺らは、奴らに逆に「魔族」とそう罵られた。
忘れろ……。
いや……忘れなければならない。
もう全て終わった話しだ。
「彼女」はいなくなった。
そして、俺は異世界から帰還し、この世界に戻ってきた。
別のことを考えろ。
そうたとえば……昨日の戦闘時の記憶の欠落……これをどう考える。
昔のように闘いの最中の記憶がなくなったということか……。
やはり段々と俺は昔の自分に近づいているような気がする。
冒険者として闘って、その力が原因となり、国の注意を引く。
まるで異世界での出来事の巻き戻しじゃないか。
その行き着く先がどうなるか。
俺はもう十分わかっているはずだ。
この世界は……いやこの国は幸いにも平和を謳歌している。
だが、争いがない世界など存在しない。
そして、大きすぎる力は必ず争いを引き寄せる。
結局のところ俺には異常な力だけしか持ち得なかった。
それを受け止めるだけの異常な精神まではついに持つことができなかった。
所詮は異世界に行くまで人ひとり殺したことがない人間だったのだから、ある意味では当然か……。
何十年も闘いを続けて、多くの人を殺めて、それでもそのことから逃げずに向き合える精神を持つことができる者こそ本当の英雄なのだろう。
俺には所詮「英雄」など土台無理な話しだったのだ。
俺は大きなため息をついて、ベッドを眺める。
本来ならばとても寝る気は起きない。
だが、それでも俺はベッドに入って、無理やりにでも寝ることにした。
そうでもしなければ過去の幻影に飲み込まれそうな気がした。
結局、俺が虚ろな眠りに入ることができたのは、朝方頃だった。
翌朝目覚めてからは、幸いといってよいのか、慌ただしくことが進んでいった。
そのおかげでいまだに頭をかすめている過去の記憶は大分意識の外へと追いやることができた。
俺は朝起きると同時に、寝不足気味の中、花蓮さんや鈴羽さんに屋敷の中を引っ張り回されて、様々な服を着せられた。
俺には晩餐会に出るような服などない。
まあ近くのショッピングモールに行った時に購入したスーツ一式が一応はあるが、さすがにそれらのものは安普請感が拭いきれない。
俺がそんな懸念をする必要がないほど花蓮さんたちの手配は万全であった。
彼女たちの手によって、いつのまにやら用意されていたタキシードやら燕尾服やらが仕立てられていた。
やり過ぎといってよいほどにクローゼットにはそれらの服が準備万端に用意されていた。
正直な話しいい年をしたオッサンの俺の外見などいまさらどう見繕っても限界がある。
強いていうのならば、サイズが合っていて、オーソドックスな格好をしているのが一番よい。
それがある意味で一番無難な気がする。
下手に洒落た服装を着ても、そういうのが似合うのは一部の選ばれた人間だけで、とても俺には無理というものだ。
それにも関わらず花蓮さんと鈴羽さんは、かなりカラフルな色をしたものから、奇抜なデザインをしたものまでとにかく様々な服装を俺に着させた。
驚くべきことにそのサイズはピッタリであった。
魔族か……。
戦争が終結してから今まで……どうしても拭いきれない疑念がある。
あいつらは本当に「魔族」だったのか。
いや……そもそも「魔族」など本当に存在したのか。
確かに奴らのその外見は人と大分違った。
非常に醜く、恐ろしい存在……そう聞かされていたし、確かに俺の目には長年実際
そう見えていた。
それに、王国の人間たちや「彼女」は、奴らのことを「悪魔」、「魔族」と呼んでいた。
奴らは確かに「魔族」そのものの外見をしていた。
だから、俺はなんとか「魔族」を倒すことができたのだ。
だが……今では朧気にしか思い出せないが、俺らが入隊してから、兵士みんなが定期的に受けていた「彼女」から施されたあの戦意高揚の魔法儀式……。
魔王城で、あの魔法がとけた時、見た魔族の顔……。
あれは外見が少しだけ違う「人間」にしか見えなかった……。
そして、俺らは、奴らに逆に「魔族」とそう罵られた。
忘れろ……。
いや……忘れなければならない。
もう全て終わった話しだ。
「彼女」はいなくなった。
そして、俺は異世界から帰還し、この世界に戻ってきた。
別のことを考えろ。
そうたとえば……昨日の戦闘時の記憶の欠落……これをどう考える。
昔のように闘いの最中の記憶がなくなったということか……。
やはり段々と俺は昔の自分に近づいているような気がする。
冒険者として闘って、その力が原因となり、国の注意を引く。
まるで異世界での出来事の巻き戻しじゃないか。
その行き着く先がどうなるか。
俺はもう十分わかっているはずだ。
この世界は……いやこの国は幸いにも平和を謳歌している。
だが、争いがない世界など存在しない。
そして、大きすぎる力は必ず争いを引き寄せる。
結局のところ俺には異常な力だけしか持ち得なかった。
それを受け止めるだけの異常な精神まではついに持つことができなかった。
所詮は異世界に行くまで人ひとり殺したことがない人間だったのだから、ある意味では当然か……。
何十年も闘いを続けて、多くの人を殺めて、それでもそのことから逃げずに向き合える精神を持つことができる者こそ本当の英雄なのだろう。
俺には所詮「英雄」など土台無理な話しだったのだ。
俺は大きなため息をついて、ベッドを眺める。
本来ならばとても寝る気は起きない。
だが、それでも俺はベッドに入って、無理やりにでも寝ることにした。
そうでもしなければ過去の幻影に飲み込まれそうな気がした。
結局、俺が虚ろな眠りに入ることができたのは、朝方頃だった。
翌朝目覚めてからは、幸いといってよいのか、慌ただしくことが進んでいった。
そのおかげでいまだに頭をかすめている過去の記憶は大分意識の外へと追いやることができた。
俺は朝起きると同時に、寝不足気味の中、花蓮さんや鈴羽さんに屋敷の中を引っ張り回されて、様々な服を着せられた。
俺には晩餐会に出るような服などない。
まあ近くのショッピングモールに行った時に購入したスーツ一式が一応はあるが、さすがにそれらのものは安普請感が拭いきれない。
俺がそんな懸念をする必要がないほど花蓮さんたちの手配は万全であった。
彼女たちの手によって、いつのまにやら用意されていたタキシードやら燕尾服やらが仕立てられていた。
やり過ぎといってよいほどにクローゼットにはそれらの服が準備万端に用意されていた。
正直な話しいい年をしたオッサンの俺の外見などいまさらどう見繕っても限界がある。
強いていうのならば、サイズが合っていて、オーソドックスな格好をしているのが一番よい。
それがある意味で一番無難な気がする。
下手に洒落た服装を着ても、そういうのが似合うのは一部の選ばれた人間だけで、とても俺には無理というものだ。
それにも関わらず花蓮さんと鈴羽さんは、かなりカラフルな色をしたものから、奇抜なデザインをしたものまでとにかく様々な服装を俺に着させた。
驚くべきことにそのサイズはピッタリであった。
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