異世界帰りの底辺配信者のオッサンが、超人気配信者の美女達を助けたら、セレブ美女たちから大国の諜報機関まであらゆる人々から追われることになる話

kaizi

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第一章

晩餐会-15-

 そして、いまあらためて会場となる広間を見る。



 先程見た時は準備途中で雑然とした様子が拭いきれなかった。



 まったく手伝っていない俺が言うのもどうかと思うが、後半日で間に合うのかという状況であった。



 しかし、今の様子は一変していた。



 広間の中央には、テーブルセッティングが施された長い食事用テーブルか並んでいる。



 そして、その上には綺羅びやかな銀食器が配置されていて、中央には彩り豊かな生花が入った大きな花瓶が置かれている。



 高い天井からはクリスタルのシャンデリアが吊り下げられ、柔らかな光を放つ一方で、大きな窓からは月明りが差し込んでいた。



 これらの明るさが異なる光は壁に飾られた絵画や鏡といったアンティークを絶妙なパランスで照らし出していた。



 シャンデリアやアンティーク等の設備は昼間の時分からあったのだろうが、照明や光加減、配置する場所によってこうも見る者の印象が変わるのかというくらいよい意味で異なっていた。



 俺は王族や貴族といった上流階級が集まるこうした晩餐会に何度か参加をしたことがある。



 が……広間の規模感は別として正直なところ今目の前の顕現している空間はそれらの異世界での会合と比較しても、かなり洗練されていた。



 この半日でここまでの状況を手配し、セッティングした美月さんの手腕に俺は思わず感心した。



 そして、美月さんは疲れている様子も見せることなく、自身も華麗な姿でドレスアップして、広間の中に颯爽と立っていた。



 この場の雰囲気と正装という相乗効果により美月さんの見目麗しい容姿がさらに引き立てられているように俺には感じられた。



 俺はその場と美月さんの豪華絢爛な雰囲気にいささか圧倒されて、思わず近づくのをためらってしまったほどだ。



 と、そこに後ろからドレスアップした二人の美女が近づき、美月さんに話しかけていた。



 ひとりの女性が麻耶さんということはわかったが、もう一人の女性は見たことがない人だった。



「美月も少しは成長したわね。これくらいの規模の会ならば一人で段取りできるようにはなったのね。まあいずれはわたしの後をついで二条院家の当主になってもらうのだからこの程度のことはできてもらわないと困るのだけれど——」



「……お母様はこの数日で少しは変わったと思ったのですが、どうやら気のせいだったようですね。前日に突然言われて手配をしたわたしのことを一言ねぎらうくらいはあってもよいと思うのですけれど……」

 

 と、美月さんは呆れたように麻耶さんから顔を背けて、もう一人の美女の方に話しかける。



「間宮三尉……いえ……今は一応プライベートということだから綾音さんと呼んだ方がいいのかな……それにしても綾音さんがこういう会に出席するとは思いませんでした」



「うう……わたしはこんな会には出たくはなかった。それを麻耶さんが強引に……」

 

 俺はその話しを聞いて、ようやくにその女性が誰かを特定するに至った。

 

 とはいえ、俺がイメージしていた姿と視界に映っている女性とがあまりにも違いすぎていたために、色々脳内で齟齬が起きて混乱をきたしていた。

 

 なにせ今の間宮氏……いや綾音さんというのか……は、控え目ではあったが背中と胸元を空けた淡い桜色をしたドレスを身にまとい、どう見ても女性……それもとびきり美しい女性にしか見えない。

 

 元々美形とは思っていたが、メイクアップされて、恥ずかしそうに顔を赤らめてうつむいているその姿は、俺の脳内の男としての間宮氏とあまりにも乖離していて、とても同一人物とは思えなかった。



「綾音、あなたはいずれもっと上の立場になるのだし、こういう場に出る機会も多くなるわ。今の内にこういうことを経験しておくことは大切よ」



「ですが……なんでこんな服装で……制服でよかったのに……」

 

 と、綾音さんは納得しがたい顔を浮かべている。



「一応非公式の会合なのに、自衛隊に所属するあなたが制服姿で出る訳にはいかないでしょう。それにこういう時、女性はしっかりと着飾っていた方が何かと都合がよいのよ」



 と、麻耶さんは、いつものようにどこか上から目線で諭すように綾音さんにかたりかけていた。
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