異世界帰りの底辺配信者のオッサンが、超人気配信者の美女達を助けたら、セレブ美女たちから大国の諜報機関まであらゆる人々から追われることになる話

kaizi

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第一章

新たな戦場へ-07-

 それは俺以外の面々も同じだったようで、花蓮さん、鈴羽さん、綾音さん、美月さんが一斉に麻耶さんを止めようと動いていた。

 

 まあそれはよいのだが……問題なのは、キャシーさんが麻耶さんに対して何らかの攻撃を加えようとしていたことだ。

 

 幸い麻耶さんが魔法……おそらくサンダーボルトだろう……を放つ前に、その手をつかんで、呪文の発動を止めるのは可能に思えた。

 

 麻耶さんには申し訳ないが、魔法の詠唱自体は非常に遅かったので、介入は容易である。



 だが、問題はキャシーさんの行動だった。



 一人の行動なら止めることができるが、同時に二人となるとさすがにギリギリだ。



 席の場所としては、俺は一番端にいて、麻耶さんからはもっとも離れた位置にいたが、麻耶さんの手に触れたのは俺が一番早かった。

 

 結局、俺は麻耶さんを、ついでその斜め前にいるキャシーさんをと……おおよそテーブルを一周する羽目になった。

 

 本来ならば彼女たちの手を取って、言葉で諭すというのが一番スマートな手段なのだろうが、俺はいささか不格好で乱暴な方法で止めざるを得なかった。



 というのも、キャシーさんがどのような攻撃手段を用いようとしているのか予備動作だけではさすがに不明であったために、安全策を取らざるを得なかったからだ。



 結局、俺は彼女たちの体ごとその動作を無理やり防ぐ形を取らざるを得なかった。



 まあ……要するに俺は麻耶さんを体ごと手でつかんで、ついでキャシーさんを抱きかかえて……という形で彼女たちの動きを無理やり止めたのだった。

 

 テーブルから少し離れた場所で、俺はなんとか間に合って、二人の行動を抑止できたことに安堵のため息をつく。

 

 ふと俺の両脇を見ると、麻耶さんとキャシーさんがあっけにとらわれた顔をしている。

 

 が、二人の美女たちは自分たちに密着している俺の存在に気がつくとみるみるその顔を変えて、



「ふ、二見! な、なぜあなたが!」

「い、いつの間に……」

 

 と、それぞれ驚きの表情を浮かべている。

 

 ついで、彼女たちはその顔を怒りの表情へと変えて、



「い、いつまでわたしの体に触っているの!」

「こ、この手を放しなさい!」

 

 と、抗議の声を上げる。

 

 彼女たちに言われるまでもなく、俺としてもすぐに二人の手を放すつもりだった。



 だが、一応先程のようなことをしないかどうか確認してからの方がいいだろう。



 麻耶さんは今も顔を赤くして激高しているように見えるしな……。



「えっと……麻耶さん、もう先程のようなことはしないですよね?」



「な!? しないわよ。こ、これでいいのでしょう! それよりもさっさと離れなさい……あなたに触れられるとわたしは変な気分に——ひゃん!!」

 

 と、麻耶さんは何故か少し慌てた表情を浮かべて……そして、突然妙な声を出して、体をビクリと震わせる。



「だ、大丈夫ですか?」

 

 俺は慌てて麻耶さんに声をかける。

 

 かなり抑制したはずだが、もしかしたら少し乱暴につかみすぎたのかもしれない。



「へ、平気……だから、早く手を放しなさい……」

 

 と、麻耶さんは何かに必死に耐えるような表情を浮かべている。

 

 俺は手をすぐに放す。



「ねえ……わたしの手もいい加減にはなしてくれるかしら? 言葉がわからなくとも、この状況ならわたしの意思くらいわかってもらいたいのだけれど」

 

 と、キャシーさんから睨まれていることに気づき、俺は慌ててキャシーさんの手もはなす。



 麻耶さんの様子はおかしいが、とりあえずはもう魔法を放つようなことはしないだろう。

 

 俺は二人から睨まれながら、とりあえず席へと戻る。

 

 他の面々もそれぞれ俺の方に驚きと当惑の入り混じった目を向ける。

 

 場の空気はなんとも言えない険悪な雰囲気が漂っていた。

 

 よかれと思って動いたが、もしかしたら先程よりも状況は悪化してしまったのかもしれない。

 

 いや……しかしこの場で、魔法を放つ……なんて事態になるよりはマシだろう。

 

 俺はそう自分を慰めていると、クラーク氏の顔がふと目に入る。

 

 彼だけは先程と同じく冷静な表情を浮かべていた。

 

 と、今まで沈黙を貫いてきた美月さんが、ため息混じりに立ち上がり、



「えっと……みなさま、時間も時間ですし、今日はこれでお開きということで……素晴らしい一時をありがとうございました。はは……」

 

 と、顔を引きつらせながら作り笑いを浮かべている。
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