異世界帰りの底辺配信者のオッサンが、超人気配信者の美女達を助けたら、セレブ美女たちから大国の諜報機関まであらゆる人々から追われることになる話

kaizi

文字の大きさ
111 / 153
第一章

束の間の遊戯-05-

 結局、俺は本能と理性の間を行ったり来たりといった綱渡り状態を続けながら、なんとか魔力の痕跡を探ることができた。 



そして、一度その痕跡の先を知れば、それはあまりにも奇妙なものであった。



 麻耶さんの体に施された魔力……その痕跡は巧妙に隠蔽されてはいたが、一度気づいてしまえば後をたどるのはたやすい。



 なぜかといえば、それはすぐ近く……何よりも麻耶さんの体からまっすぐ俺の体へと伸びている。



 目の前に示された結果を見れば、麻耶さんの体に影響を及ぼしている魔法は間違いなく俺がかけたものである。 



 それは1+1=2、という答えの如く自明のものであった。



 だが、麻耶さんの体……下腹部のヘソに施されたその紋様は明らかに異様なものであり、それが俺の思考を止めた。

 

 いわゆる奴隷紋が施されている。



 それはつまり、麻耶さんは自らの意思で俺に隷属することを選んだという訳で……。



「い、いつまで見ているのよ! その様子だと何かわかったんでしょ」



「え……あ……は、はあ……わかったのはわかったのですが……」

 

 何と説明すればよいのか。

 

 というよりも、俺は麻耶さんに従属魔法をかけて、麻耶さんはそれに合意したのか。

 

 そんな無茶苦茶なことを俺はいつのまに……。

 

 いや間違いなく記憶を失っている間だろう。

 

 というより麻耶さんはそのことを知っているはずだ。

 

 なぜあえて術者である俺にあえて尋ねているんだ。

 

 疑問が脳裏に絶え間なく溢れては消えていく。

 

 結局、俺は感情を廃してただ事実のみを淡々と麻耶さんに伝えることを選んだ。

 

 そして、俺の説明を聞いた麻耶さんは一言で表すならば意外なものであった。



「うう……やっぱり……そんな忌まわしいことになっているの」

 

 麻耶さんはそうは言うが、従属魔法が自身にかけられていることについてはそれほどに驚いていなかった。

 

 この事実は率直に言って俺にとっては驚きであった。

 

 麻耶さんが自ら望んだ……というのはにわかには信じられないが……いずれにせよ従属魔法が効果を及ぼすためには、相手の同意がいる。

 

 だから、麻耶さんが自分が従属魔法にかけられていることを知っているのはある意味で当然なのだが……。

 

 だがそれにしては、麻耶さんの態度はあまり深刻そうな素振りではない。 



 俺が必ず解除の意思を示すと信用しているのだろうか。

 

 ついで、麻耶さんは俺の顔をうかがうように見た後で、



「でも、術者があなたなら、当然解除もできるのでしょ。さ、さあ……解除しなさい」

 

 と、言う。



 麻耶さんに言われるまでもなく、俺はこの魔法の解除を既に試みていた。

 

 だが、しかしやはりというか解除はできなかった。



 俺は戸惑い、ただ首をひねるしかできなかった。



 文献には確かに従属魔法は「解除ができない」と書かれていた。



 だが、解除ができない魔法など原則的に存在しないはずだ。

 

 隷属魔法は術者と非術者——魔法をかけられる者——双方の同意でその効果が発動している。

 

だから、双方の同意があれば解除は可能なはずだ。



 術者である俺が、解除をしようとしている以上、解除ができない理由は一つしかない。

 

 術をかけられているとうの本人である麻耶さんが解除を拒否しているということである。

 

 それは今の麻耶さんの態度を考えればありえないように思えるが……。



 麻耶さんは俺が怪訝な顔をしているのを見てとり、



「ど、どうしたの? 二見、解除するためになにか問題があるの?」

 

 と、不安げな表情を浮かべている。



「いえ……少し考え事を……」

 

 人の言葉と感情は一致しないということはよくあることではある。

 

 言葉で、「大好きです」と言っていても心の底では「大嫌いです」と思っていることなどよくあることだ。

 

 裏表がない人間などいないし、むしろそんな人間がいたら逆にかなり病的だろう。

 

 だから、麻耶さんが俺に嘘をついていても何らおかしなことではないのだが……。



 麻耶さんが心の底では隷属魔法を解除してほしくない……なんて思っていることがありえるのか。



 人の心の内は本当のところではわからない……わからないのだが、それにしても奇妙である。



 それとも、やはり文献に書かれているとおり、隷属魔法には「解除ができない」理由が別にあるのだろうか。



 俺はてっきり術者が隷属魔法を自発的に解除することなどほとんど想定できないから、「解除ができない」と書かれているだけだと思っていたが……。



 もしかしたら、隷属魔法には相手の心を縛る……隷属を望むようになる効果もあるのだろうか。



 それなら、麻耶さんが拒否をしていることも説明がつくが……。



 俺は考えあぐねて、少しうめき声を漏らして、顔を俯ける。



 それにしても麻耶さんになんと説明すればいいのか。

 

 しばらく俺はそんな風に首をひねっていたのだが、麻耶さんは俺のその態度を別のことと解釈したらしい。



「ふ、二見……な、何を考えているの……ま、まさか……魔法を解除するのを渋っているんじゃないんでしょうね!」



 と、麻耶さんは詰め寄ってくる。



「い、いえ、そんなことはただ今すぐ解除ができないだけで——」
感想 23

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】

山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。 失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。 そんな彼が交通事故にあった。 ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。 「どうしたものかな」 入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。 今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。 たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。 そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。 『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』 である。 50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。 ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。 俺もそちら側の人間だった。 年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。 「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」 これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。 注意事項 50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。 あらかじめご了承の上読み進めてください。 注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。 注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。

男:女=1:10000の世界に来た記憶が無いけど生きる俺

マオセン
ファンタジー
突然公園で目覚めた青年「優心」は身辺状況の記憶をすべて忘れていた。分かるのは自分の名前と剣道の経験、常識くらいだった。 その公園を通りすがった「七瀬 椿」に話しかけてからこの物語は幕を開ける。 彼は何も記憶が無い状態で男女比が圧倒的な世界を生き抜けることができるのか。 そして....彼の身体は大丈夫なのか!?

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

召喚されたリビングメイルは女騎士のものでした

think
ファンタジー
ざっくり紹介 バトル! いちゃいちゃラブコメ! ちょっとむふふ! 真面目に紹介 召喚獣を繰り出し闘わせる闘技場が盛んな国。 そして召喚師を育てる学園に入学したカイ・グラン。 ある日念願の召喚の儀式をクラスですることになった。 皆が、高ランクの召喚獣を選択していくなか、カイの召喚から出て来たのは リビングメイルだった。 薄汚れた女性用の鎧で、ランクもDという微妙なものだったので契約をせずに、聖霊界に戻そうとしたが マモリタイ、コンドコソ、オネガイ という言葉が聞こえた。 カイは迷ったが契約をする。

最強スライムはぺットであって従魔ではない。ご主人様に仇なす奴は万死に値する。

棚から現ナマ
ファンタジー
スーはペットとして飼われているレベル2のスライムだ。この世界のスライムはレベル2までしか存在しない。それなのにスーは偶然にもワイバーンを食べてレベルアップをしてしまう。スーはこの世界で唯一のレベル2を超えた存在となり、スライムではあり得ない能力を身に付けてしまう。体力や攻撃力は勿論、知能も高くなった。だから自我やプライドも出てきたのだが、自分がペットだということを嫌がるどころか誇りとしている。なんならご主人様LOVEが加速してしまった。そんなスーを飼っているティナは、ひょんなことから王立魔法学園に入学することになってしまう。『違いますっ。私は学園に入学するために来たんじゃありません。下働きとして働くために来たんです!』『はぁ? 俺が従魔だってぇ、馬鹿にするなっ! 俺はご主人様に愛されているペットなんだっ。そこいらの野良と一緒にするんじゃねぇ!』最高レベルのテイマーだと勘違いされてしまうティナと、自分の持てる全ての能力をもって、大好きなご主人様のために頑張る最強スライムスーの物語。他サイトにも投稿しています。